検証
女とは連絡先を交換して別れた。
そうそう、名前は望月 光というらしい。
歳は16、俺の一個上だな。
後日、お互いに都合のいい日でお茶をすることが決まった。
望月は最後まで名残惜しそうに別れを惜しんでいたが、俺たちさっき出会ったばっかだよね?
まぁ、そういう俺も初、異性の連絡先が手に入った事は素直にうれしいけど。
ちなみに梓と香苗の番号もあるが、義理とは言え家族なのでノーカンにしている。
とはいえ少々危なそうな奴ではあるが、これは逆ナンと言えるんじゃないか?
しかも顔だけで言えば相当美人な女。
まさか俺がこれを体験するとは、以前の俺なら夢にも思わなかっただろう。
これも猫の神様のご加護の賜物か。
ありがたやありがたや。
お供えチュールを手にお墓へ向かう。
アミーゴの墓を建てた神社は俺の家からそう遠くないところにある。
都心部とは少し離れた静かな道を行く。
住宅街とは言わないまでも、家がポツポツと建っている静観な地区だ。
ちなみに俺が家がある地区でもある。
今の時間、人通りも少なく、ましてや交通量もほぼない。
その区域を越えたさらに先、ほぼ最深部といっていい所に神社はあった。
相変わらず静かな場所だ。
鳥居と小さなな祠があるくらいで、そこまで広いわけではない。
現在では人はほぼ立ち入らず、数か月前まではほぼ荒地だった。
しかし、アミーゴが眠る場所ということで俺が徐々に片付けていき、今ではそこそこ落ち着ける場所になったと自負している。
これでアミーゴも静かに眠れるというもんだ。
俺はさっそく鳥居をくぐり、一応祠に手を合わせる。
それから簡単な掃除を済ませ、祠のすぐ横に建てた簡素なお墓に手を合わせた。
「アミーゴ、今日も大好物持ってきたぞ」
俺は袋からチュールを取り出しお皿に供える。
……ってあら?
前に供えたチュールが消えてやがる。
一応毎回新品を供えて古いのは持ち帰っているはずなのに。
チュールなんて誰かがネコババするとは思えないが……。
これはもしかして、猫の神様がチュールを本当にアミーゴの元へと届けてくれたのではないのか。
だとしたら素晴らしすぎる心遣いだ。
ますます俺の信仰心が上がってしまうではないか。
「猫の神様、この度はご加護を頂き大変ありがとうございました。お陰様で僕も前を向いて歩けそうです。もしそちらにアミーゴがいるなら、よろしくお伝えください」
パンパンと手を叩く。
届け、この思い。
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さて、お参りも終わったことで今日の予定は全て終了した。
とはいえ家に帰っても気まずいので、ここでついでにステータスとやらを詳しく検証することにした。
さっそく念じると、それは一瞬で現れた。
ステータス
猫守 葉
15歳
知能5
体力3
筋力4
器用5
容姿10
スキル
ステータス操作(猫の神の加護)
ポイント1
……やっぱりゲームみたいだな。
数値は最後に確認した時から変わっていない。
容姿10だけが異彩を放ってる。
思うに、この数値10ってすげー高いんじゃないか?
ほかの人間の数値を見れればはっきり出来るんだが、この数値は最上位に位置すると俺は睨んでいる。
ボーナスポイントでまさかここまでイケメンになるとは夢にも思わなかったけど。
しかし、こうなってくると他のステータスも上げたくなってくるな••••••。
特に知能。
残り1ポイント。
恐らくだけど、このたった1ポイントでもかなり効果がある気がする。
容姿の上昇率を考える限り。
いや、まだ振り分けるのは早いか。
残り1ポイントだし、慎重に行こう。
もうちょっと詳しく調べてからだな。
『ステータス操作。
ステータスの項目をポイントを振り分けて自在にカスタムできる。
新たなスキルの習得も可能。
初回特典で10ポイントプレゼント。
クエストを達成するごとにポイントを獲得』
クエストってなんだ?
そう考えると、新たな表示が現れた。
『クエスト。
ポイントを獲得するための試練。
クエストの内容はランダムで決まる。
クエストは同時に一つまでしか存在しない。
クエストをクリアすると、新たなクエストが自動で生成される。
現在のクエスト。
猫の絵を描く……0/1
獲得ポイント1』
ウホッ、なんだこのクエスト。
超カンタンじゃねえか。
こりゃさっさとポイントゲットするしかねえ。
家に帰るのも面倒なので地面に猫を描く。
ちょうど砂なので指でちょちょいのチョイだ。
我ながらキュートな猫が描けた。
『クエストクリア……1ポイントゲット』
「うひひ、チョロすぎだろ」
確認すると、きちんとポイントが残り2になっている。
こりゃすぐに他のステータスも上げられそうだな。
いや、確かスキルってのも有んのか。
それを取るのもいいかも。
何にせよマジですげーぜ、ステータス操作。
マジで神にでも成っちまうかおい。