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ステータス操作

 



 ある日、猫を助けた。


 その猫は真っ白な毛並みを血に染めて倒れていた。


 急いで動物病院に連れて行って治療してもらい、一命を取り留めた。


 それが嬉しくて、俺が助けたんだと誇らしかった。


 俺はその猫を引き取った。名前を付けて大切に育てた。


 学校で虐められ、家族からも疎まれていた俺にはその猫だけが唯一の癒しだった。


 猫は家族には懐かず、俺にだけはよく懐いてくれた。


 可愛かった。猫さえいればいいと思った。


 しかし、猫の寿命は人より短い。


 俺が拾った時には既に残り少しの命だった。


 ある朝起きると猫は死んでいた。


 一年も共に過ごした猫が居なくなってしまった。


 俺は泣いた。


 家族から蔑まれてもみっともなく泣き喚いた。


 庭に埋めようとして怒られたので、近くにある神社に行って勝手に墓を作った。


 毎日お参りして手を合わせ、大好物だったチュールをお供えした。


 すると、猫の鳴き声が頭に響いた様な気がした。


 ••••••そうか。お前はまだ俺のそばに居てくれるのか。


 溢れてくる涙を拭うこともせず、俺は手を合わせた。


 アディオス、アミーゴ。




 ###




 ステータス


 猫守(ネコガミ) (ヨウ)

 15歳


 知能5

 体力3

 筋力4

 器用5

 容姿1


 スキル

 ステータス操作(猫の神の加護)


 ポイント10





「なんだこれ••••••」



 朝、目が覚めると奇妙な物が目に入った。

 まるでAR映像のように半透明なボードが空中に浮いていた。

 手で振り払ってもスカスカとすり抜ける。


 夢でも見てんのか。

 ぼやけた頭でそう考え、まるでゲームの様なふざけたボードを眺めてみる。



「容姿1••••••気分悪りーな、おい」



 いや、まあ実際そうなんだけどね。

 俺の容姿ははっきり言って最低レベルだ。

 太った体に汚い肌、死んだ様な目。

 ブサイクな上に目つきも悪い。

 自分で自分の顔が嫌いになる。



 はぁ、とため息をついてざっと眺める。

 他の数値は容姿に比べると高いけど、どうなんだ。

 学校の成績はそんなに悪くない。

 その俺の知能が5ということは、5が平均と考えて良いのか。


 そう考えると他の項目も頷ける数値をしている。

 体力3、筋力4。

 太っているし力も弱いので、平均よりも劣っている。

 器用5はよく分からないが、まあ普通って事か。


 そして容姿1。

 ••••••改めて気分悪りーな。



 そもそもなんなんだ、このボード。

 触れないし、浮いてるし。

 ステータスとかスキルとか、マジでゲームじゃねーか。


 目が覚めて10分。

 既に頭は冴えている。


 目線をずらしてもボードはついてくる。

 消えろと念じると消え、出ろと念じると出てきた。

 夢じゃないとしたら頭がバグってしまったのか。


 しばらく眺めていると、スキルの欄にあるステータス操作が点滅していることに気づいた。

 意識してみるとステータス操作の詳細らしき物が表示された。



『ステータス操作。

 ステータスの項目をポイントを振り分けて自在にカスタム出来る。

 新たなスキルの習得も可能。

 初回特典で10ポイントプレゼント。

 クエストを達成するごとにポイントを獲得。


 不遇ながらも猫に優しいヨウ君へのプレゼントだよ。なんでも出来るし、何にでもなれる。好きな人生を送っておくれ〜!

 by猫の神』



「by猫の神••••••」



 猫の神様のネコ好きな俺へのプレゼントらしい。

 グスッ、と鼻をすする。

 俺の親友、アミーゴのことを思い出した。


 そうか。アミーゴは死後も俺を支えてくれるのか。


 改めてステータスを見る。

 ポイントの項目。

 意識するとポイントを動かせるようだ。


 試しに9ポイントを容姿に割り振ってみた。

 深い意味はない。

 ケンショウ、ダイジ。


 すると、突然大きな眠気に誘われた。

 ベッドに座っていた俺はそのまま倒れ込む。

 そして、困惑する暇もなく深い眠りへと落ちた。





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