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天下一の向日葵  作者: 茶眼の竜
第二章 成り上がる向日葵
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四十八日目 疑われる者

 

一五四七年(天文十五年) 十ニ月 岡豊城


 初めての論功行賞の後、俺は次郎左衛門(じろうざえもん)に呼び止められ、再度大広間に着座していた。

 呼び止められたのは俺だけでなく、孝頼(たかより)重俊(しげとし)清宗(きよむね)の三名も同席していた。


菊之助(きくのすけ)、残ってもらったのは他でもない。お主の家臣団入りについてじゃ」


 そう、昇進したと言ったものの、まだまだ足軽大将だ。

 まぁ、農民が足軽大将になる事自体、珍しいのだろうが...。


「儂は、お主を家臣団に迎えようと思おたのじゃが....。」

「ま、真ですか?!」

「ま、まぁ聞け」

「あっ、失礼しました」

「やはり次郎(じろう)がまだ早いと申すのでなぁ」


 チラッと国親(くにちか)は孝頼の方を見た。

 孝頼はそのアイコンタクトに呼応するように、答えた。


「まだ、農兵から上がって半年足らず。これではまだ周りから疎まれる存在となりまする」

「と、という訳じゃ。す、すまぬのう」

「い、いえ、農民という立場から、取り立てて頂けただけでも、嬉しく思います」

「こ、此度の事も儂への貸しとしておく為、気を落とすでないぞ!」

「そんな、十分御恩は頂きましたし、十分でございます!」

「そう謙遜するものではない。お主の知恵は必ずや我が家に必要となる。期待しておるさぞ」

「も、勿体なきお言葉です」


 国親の顔から察するに、功績を決める話し合いで何かしらあったのであろう。


「それより、其方に話があるものがおる。入って参れ」


 俺に話?

 一体誰が....。


「はっ。失礼つかまつる」


 襖を開け、入ってきたのは論功行賞の時に対面に座っていた男だった。


「某は神森(こうのもり)藤十郎(とうじゅうろう)出雲(いずも)と申しまする。此度はこのような席を設けて頂き、感謝申し上げます」

「良い。お主は既に儂に仕える身。そのような気遣いは不要ぞ」

「ははっ。では、早速、菊之助殿っ」

「は、はいっ!」

「此度の戦で、城を囮にすると提案されたのは真ですか?」

「え、ええ」

「なんとっ!やはり...。某を菊之助殿の友、いえ、陪臣にして頂きたくっ!!」


 ...はい?!!

 な、何故そうなる。

 別に嫌と言う訳では無いが...。

 良いのかそれ?


 驚きを隠せないのは俺だけでなく、この場にいる全員だった。


「ふっ、はっはっはっ!!面白いでは無いか!」

「と、殿...」

「良い!菊之助に藤十郎を着けるっ!立場的にも足軽大将と組頭。そう問題はないしのぅ。菊之助もそれで良いか?」

「は、はい。ただ、理由を聞いても?」

「此度の策...、真に感服致しました!某には到底あの様な素晴らしいことは思いつきもしませぬ!あの盤上を描いた菊之助殿から、その一端でも学べるのなら、それ以上の喜びはごさいませぬ」


 ゴンッ!!


 と、出雲は勢いよく土下座をして来た。


 いや、痛くない?

 頭。


「あ、あの大丈夫ですか?」

「....」

「お、御館様....」

「はっはっはっ!話は着いたようなもんでは無いか!次郎らもそれぐらい良いであろう?」

「...陪臣という事ではなく、仲の良い者同士と言うことであれば共に居ても宜しいのでは無いでしょうか」

「ふむふむ。次郎が良いと申すのなら良いであろう!」


 ん?どっちが主ですか?

 と思わせるような会話だな。

 まぁそれはさておき。


「藤十郎殿はそれで良いのですか?」

「某は菊之助殿にお仕え出来るのであればどんな形でも構いませぬ」

「よし、では藤十郎の事頼んだぞ、菊之助」

「ははっ!」


 こうして俺に陪臣が着くこととなった。

 やった!



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



同刻 岡豊城 長宗我部国親


 菊之助と藤十郎は...行ったか。


「次郎、儂らを集めて話とはなんじゃ」

「はっ、家中に間者がおるという話にごさいます」


 間者、つまり裏切り者ということか....。

 儂に使える重臣らは幼少期からの付き合いじゃ。

 そのような前から間者を用意しておるとは思わん。

 で、あれば、新参の中からか...。


「先の二人が怪しいかと...」

「兄上、菊之助は某が統治していた村の子。出自が明確に分かっておる。彼奴を疑うのは些か無理があるぞ」

「では、何故、神森は足軽大将の、しかも農民の出なんかに着いた?元々繋がりがあったと思うのが自然であろう」

「そ、それは...。きっと彼奴の才に引かれたのであろう!」

「ふんっ、それは無理があると言うもの」


 この二人だけでは埒が明かんのぅ。

 次郎の言う事も間違ってはおらぬが、彼奴は野盗から弥三郎(やさぶろう)を助け出しておる。

 儂も三郎(さぶろう)と同じく白と見とる。


虎次郎(こじろう)、お主はどう見る?」

「....某は、様子を見るべきかと存じまする」

「それでは、手遅れになるかも知れぬぞ」

「次郎殿の懸念も無視は出来ませぬ。しかし、某の中では疑いよりも実績の方が上でござる。(ひかる)様救出の件も然り、此度の戦も然り。もしも、何処ぞの間者とあらば、此度の戦で見限っていたはず。某は儀実(よしざね)殿を含めた我ら重臣の中から誰かの下に着け、様子を見るべきかと」

「虎次郎、よう申した!菊之助については、引き続き儀実の与力とし様子を見る事とする!次郎、異論は無いな?」

「....はっ」

「心配じゃと申すのならお主の目でしっかりと監視せよ。他の者も同様に致せ」

「「ははっ」」


ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思ってくださった方や気になった方はブックマーク追加と評価をよろしくお願い致します!!

また、些細なことでも構いませんので、感想がありましたらそちらもよろしくお願い致します。

次回もお楽しみに

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