二日目 新たな場所
夢を見ていた。とても長くリアルな夢だ。
誰かの葬式に参列している。
ただ、並んでいるのではなく、後ろの席に座って眺めているだけだが。
誰の葬式なんだろう。
父さん、母さんが泣きじゃくっている。
あれ、妹が来た。
母さんに抱き着き、二人して泣き崩れていった。
稽古では鬼のような父さんも泣いている始末。
どうしたんだよ三人して。
そろそろ俺もそっちに....。
そう思い立ち上がろうとしたが体が動かない。
そもそもこれ誰の葬式だよ。
ふと視界に入った遺影。
そこに写っていたのはーー。
え、俺じゃん。
俺の葬式かよ。
その瞬間、視界が真っ暗になり、しばらくすると虫の鳴き声が聞こえ出す。
「んん〜....」
あれ、声が出る。
体も動かせるぞ。
なんだ夢だったのか。
目を開けたが、そこには知らない天井が映っていた。
「ここは..?ぬぁ!手が小さくなってる!こ、声も高く...!」
そこはとても古臭い物置のような所で、窓のような穴から月日が差し込んでいる。
俺は自身の体をよく見た。
手だけじゃない、体が小さくなってるんだ。
それになんだよこの布切れ。
小袖かな?こんなの着た覚えないぞ。
俺が慌てふためくすぐ側には一人の幼い子供が眠っていた。
その子の先には扉があり、明かりが漏れている。
お、起こさないように...。
誰か居るのかな?
そっと扉を少し開けて覗いて見た。
そこには一人の妊婦がいた。
小袖を着て囲炉裏の側で藁を編んでいる。
「菊吉、目が覚めたのかい?」
菊吉?誰のことだ?
「ちょいと、隠れてたってわかるんだよ」
この子のことか。
俺は扉を開け、目を擦りながら言った。
「夕方から寝てるから眠たくないんだ」
「何言ってんの。夕方はみんなでご飯食べてたじゃない」
そんな記憶はない。
俺は夏休みに部活で学校に行き、家に帰ってすぐに寝た。
それより俺はある事に気づいた。
この人、日本語が通じる。
ってことはここは日本なのか。
「あの、あなたは?」
妊婦は首を傾げ、クスクスと笑いながら言った。
「全くさっきから何言っているの?私はあなたのお母さんよ!さては変な夢でも見たのね!」
いや、ほんとに記憶が無いんだが。
...夢を見ていた?
あの長い十七年間が夢だったのか?
いや、こっちが夢だろう。
そう思い、自分の頬を抓ってみた。
痛みがある。
これは夢ではない。
そう思った俺は一つの結論を出した。
俺はなぜか死んで生まれ変わった...のか?
もし、そうだとしても情報が少なすぎる。
この子のことが菊吉ということしか...。
俺は悩みながら扉を閉めて、元いた場所へと戻った。
昼寝のせいか目を閉じても寝ることが出来ない。
いや、それだけでは無いだろう。
悩みと不安で頭がいっぱいだ。
あぁ!!寝れん!!
朝までどれぐらいかかるんだよ!
時計がないと分からん!
まぁのんびり待つか...。
朝になったらまずは情報収集かな。
しかし、朝日は俺の気持ちも考えずに、すぐに登ってきた。
俺は朝になるとすぐに外へ出た。
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