第1章 思い出の始まり
「じゃあな、黒夜」
「おう、また明日」
友達と別れた俺は帰路に着く。
「帰ったら晩飯作らないとな」
そう何故かは分からないが俺には親が居ない、葬式に行った覚えはないから死んだわけではないだろうが、物心着いた時には両親はもういなかった。
そういう時は普通、親戚が引き取ったり、施設に入れられたりするはずだが俺は何故か一人暮らしをしている。
最初こそ疑問に思ったが今ではすっかり馴染んで、それが普通とまで思うようになっていた。
「今日の晩飯どうするかな」
俺の意識はそこで途切れた___
「いてて、ここどこだ」
気がつくと俺は知らない場所に倒れていた。
当然だが学校の通学路なんかではない。
「とりあえず…まあ、こういう時は地図アプリを開けばどうにか………」
ポケットに手を入れるとそこにはスマホが入っていた。
意外だった、てっきり誘拐でもされてスマホは取られていると思っていた。
「!?」
圏外だった
「ちくしょう」
誘拐と決まった訳では無いが少なくとも簡単には家に帰れない様なことに巻き込まれたらしい
「まぁ、こんなところにずっといても仕方がない」
幸い近くには誰も居ず、手足も縛られてないので自由に動けた。
どうやらここはなにかの建物らしい。
俺は扉を開けて部屋を出た。