《翻訳者の加護》
ファフニールVSオークの回が変な風に改稿されていたので修正しました。
重要なところが抜けていました……。
「なんだこれ?」ってなっていたのが解消されたと思います。
またパラパラと本がめくられる。
《闇の神メルの呪縛》と同じように俺はこの本に《刻印》をすればいい。
そうすることでリヴァイアサンに魔法をかけることが出来る。
「呪縛はなんか物騒で嫌だから──そうだ、加護にしよう」
本にルーン文字を書き込んでいく。
効果は以前、妖精達の住処に記したものと似ている。
闇の神メルに関連する敵対反応が周囲に現れたとき、リヴァイアサンのもとに《空間転移》するという効果だ。
魔法名はどうしようか。
ノアの加護とか?
……なんだか自分の名前を使うのは恥ずかしいな。
「《翻訳者の加護》とかにしておくか」
《刻印》を完了させ、『本の力』を解除する。
『よし、これで大丈夫だ。リヴァイアサンの周囲に闇の精霊が現れたら、俺がいつでも駆け付けるよ』
『いつでも駆け付ける? どうやってだ? 俺は陸からかなり離れたところにいると思うが……』
『リヴァイアサンのもとに魔法で瞬間移動できるんだ』
『人間はそんなことが出来るのか。すごいな』
どうやら納得してくれたようだ。
『しかし、ノアがピンチのときに駆けつけてくれるなら俺も安心だな』
『それなら俺も嬉しいよ』
『だな。ピンチの時以外にまた会えることを願っているぞ』
『ああ、また会おう。リヴァイアサン』
そう言って、リヴァイアサンは海中に潜り込んだ。
海上からヒレを出して、波を立てながら沖へと進んでいく。
そしてすぐに水平線へと消えていった。
「解決した?」
アレクシアが空中に浮かぶ俺に近付いてきた。
「ああ、これで一件落着だ。早く大会に戻ろう。決勝戦が待ってる」
港に到着すると、
「アンタ、テイマーズカップで話題のテイマーじゃないか!」
「しかもラスデア王国を救った救国の英雄なんだってな!」
大勢の人が寄って来た。
船からも「ノア万歳! ノア万歳!」と歓声が聞こえてくる。
救国の英雄って、ラスデアのときの話じゃないか。
風が吹いて、大判紙が顔を覆った。
手に取ってみると、見出しに大きく『救国の英雄』と書かれていた。
夢幻亀戦に参加していた冒険者の話がまとめられていて、英雄の特徴が簡単にまとめられていた。
英雄は二人。
一人は黒髪の男性で一人は銀髪の女性。
名前は男性がノアで女性がアレクシアという。
二人はとんでもなく強く、空を飛ぶことが出来る。
……なるほど。
これで俺達が『救国の英雄』と現在呼ばれているわけか。
よし、ここはひとまず。
「すみません! テイマーズカップの決勝が残っているので失礼します!!」
逃げるとしよう。
俺はアレクシアの手を取って、全速力でこの場を走り抜け、会場に向かった。
◇
そして、ついにヘクイルテイマーズカップ決勝。
ノアの相手はもちろんフェンリルを従えるミーシャだ。
闘技場の中央でノアとミーシャ、そしてファフニールとフェンリルが対峙している。
観客席は満席どころか、立って見学する者もいて、人で埋め尽くされていた。
理由はノアの地位と功績が明かされたからだ。
救国の英雄であること、S級冒険者であること、そしてリヴァイアサンを撃退したこと。
その話を聞きつけた人々が最強の従魔同士の戦闘を一目見ようと集まったのだ。
「ファフニール! 頑張れー!」
「フェンリルの三連覇を阻止しろよー!」
「主人に恥じない戦いをするんだぞー!」
など、ノアやファフニールに対する声援が多く飛んでいた。
「ミーシャ! 今回もお前に賭けているからな!」
「王者の意地を見せてやれ!」
「勝つのはフェンリルだぞ!」
しかし、ミーシャとフェンリルを応援する者の存在も多い。
その証拠に賭け金の倍率は両者2倍とかなり拮抗している。
「いよいよ最強の挑戦者ファフニールと最強の王者フェンリルの世紀の一戦が始まります!」
魔導拡声器から音声が流れた。
闘技場に、わー! と歓声が鳴り響く。
その中、ファフニールは振り向いて、後方にいるノアを見た。
『ノアよ、このような催し物に参加させてくれたこと、嬉しく思うぞ』
『はは、お安い御用さ。ファフニールのおかげで良い出会いにも巡り合えた』
『ふ、ふむ。それなら嬉しいがな。まあノアは安心して見ているが良い。必ず勝ってみせよう』
『ああ。悔いのないようにベストを尽くしてくれ』
そう言ってノアはファフニールに微笑みかけた。
「ノア、どちらが勝っても恨みっこなしよ!」
ミーシャが言った。
「もちろんだ」
ノアはそれに応える。
この勝負では互いの進退を賭けていた。
ノアが勝てば、ミーシャはエルフの森への案内。
ミーシャが勝てば、ノアとアレクシアはミーシャの服従。
条件だけ見れば明らかに吊り合っていないが、ノアはそれを承知で条件を呑んだ。
一つはファフニールへの信頼。
もう一つはミーシャの瞳に宿る覚悟を見たからだ。
それを応援したい、とノアは心から思っていた。
契約魔法を交わした訳でもないため、この約束に強制力はない。
だけど、二人共その約束を破るつもりは微塵もなかった。
「それでは決勝戦! 試合開始ッ!」
ついにヘクイルテイマーズカップ決勝戦が始まった。
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