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【翻訳】の才能で俺だけが世界を改変できる件 〜ハズレ才能【翻訳】で気付けば世界最強になってました〜  作者: 蒼乃白兎
第二章

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圧倒的な実力差

 闘技場にAブロックの従魔、総勢100体が入場した。

 従魔達の中でもファフニールの体は小さい部類だった。


「あちゃー。あんな小さな竜が出場してるとかマジかよ」

「あれがファフニールなんだってな。こりゃ賭けた奴バカだぜ。勝てるわけねえよ、あんなの」

「ハァ……ミスったかな……。賭けちゃったよ俺」

「お前大穴狙うの好きだもんなぁ。ま、アレは諦めろ。次の予選に期待しようぜ」


 従魔の中で竜種はファフニールだけだ。

 嫌でも目立つ。

 観客の注目の的だったが、誰も期待すらしていなかった。


(こいつら……我を散々バカにしよって……。誰が真の強者なのか、その目に焼き付けてやろう)


 ファフニールのはらわたは煮えくり返っていた。


「従魔が出揃いました! それではヘクイルテイマーズカップAブロック予選試合開始!」


 魔導拡声器が試合開始を告げると、カランカランと鐘の音が鳴った。

 一斉に従魔達は戦いを始めた。

 開始と同時に控室でドイルがノアを挑発した。


「まずはお前のファフニールに脱落してもらうぜぇ! ヒャハハハッ!」


 ドイルの発言を聞きながら、ノアは固唾を呑んでファフニールを見守っていた。


(ファフニール……やりすぎるなよ……!)


 アウルベアはドイルの宣言通り、真っ先にファフニールへ攻撃を仕掛けた。

 腕を振り下ろしたのだ。

 アウルベアの鋭利な爪がファフニールに襲い掛かる。

 ……だが、鋭利な爪はファフニールに直撃する手間でピタリと動きを止めた。

 アウルベアはこれ以上、腕を動かすことが出来ないでいた。



『──そんな爪が我に通用するとでも思ったか?』



 ファフニールから大量の魔力が流れ出た。


 闘技場で戦っていた従魔達はピタリと動きを止めた。


 ファフニールの威圧が場を支配していた。


 攻撃を仕掛けたアウルベアはガクガクと震えていた。


 触れることすらままならない。


 圧倒的な実力差。


 アウルベアは攻撃を仕掛けて、それを初めて実感したのだ。



『貴様──いや、貴様らは我のオモチャにもならん。ならんが、特別に我の怒りを解消するために役に立たせてやろう』



 ファフニールは翼を広げ、従魔達の頭上に飛び上がった。


 そして、翼を大きく動かした。


 ブゥオンッと強烈な風が巻き起こる。


 風は魔力を含んでおり、衝撃波のようになっていた。


 闘技場にいた従魔達は全て、ファフニールが起こした風によって吹き飛ばされた。


 ドンッ! ドンドンッ! ドドドドドドンッ!


 従魔はみな、壁にぶつかり、地面に横たわった。


 闘技場がシーンと静まり返る。


「……な、なあ……これは一体何が起こったんだ……?」

「あ、あの小さい竜が……魔物達を全て吹き飛ばしたように見えたが……」


 次第にざわざわ、と事態を理解し始めた観客達の声が聞こえてくる。


 そして観客達が完全に理解すると、立ち上がり、叫び出した。



「「「「うおおおおおおおおおおお!!! すげえええええええええっ!!!」」」」



 その歓声を聞いて、ファフニールはふん、と鼻を鳴らした。


『我がスゴいのは当然である』


 ファフニールは当たり前と言わんばかりに胸を張った。


「只今、予選通過者を審議中です! もうしばらくお待ちください!」


 魔導拡声器からそんな音声が流れ、会場は更に沸き上がった。


 ◇


「は、はぁ!? おい、お前……! これ……!?」


 ドイルは驚きのあまりに言葉を失っているようだった。

 俺は頭を抱えた。


 ファフニール……やりすぎだ……。


 各ブロックの予選は5体が勝ち残るまで行われる。

 これだとファフニールだけが勝ってしまっている。


「あら? まさか前回ベスト4のドイルが予選なんかで負けるなんてね。プププっ」


 控室にミーシャが現れた。

 ミーシャはドイルをバカにするように口元に手をあてて笑っていた。


「ミーシャ……てめぇ……!」

「しかもあんなに弱いとバカにしてた魔物に負けるなんて、見る目がないにも程があるわね」


 ……ミーシャはドイルのことを煽りまくっていた。


「ク、クソが!」


 ドイルは吐き捨てるようにそう言って、闘技場に向かって駆け出した。


「あらら。逃げちゃった」


 ミーシャは呆れたように両手を水平にあげた。

 ドイルは闘技場に行って何をするんだろう。


 まさかファフニールに襲い掛かったりなんてしないよな……。

 そんなことをしたらやられるのはドイル自身だぞ……。


 俺は心配になってドイルの後を追った。


 だが、俺の心配は杞憂に終わった。

 ドイルはファフニールに向かっていくのではなく、自身の従魔アウルベアの前で立ち止まった。

 そして拳を振り上げた。


「この野郎ッ!」


 ドイルはアウルベアに殴りかかった。

 俺は駆け出し、ドイルの拳を掌で受け止めた。


「てめぇ……!」


 ドイルは俺を睨みつけた。


「テイマーが自分の従魔に八つ当たりをするなんて──お前はテイマー失格だ」


「新人のてめぇに何が分かるってんだよ!」


「そんな新人に負けたアンタこそ何も分かってないでしょ」


 ミーシャは冷ややかな視線をドイルに向けて言った。


「ハッ! 俺はコイツよりよっぽど分かってるに決まってんだろォ! テイマーの従魔は契約を結ばれている存在だ! いわば奴隷と変わらねぇ! だからてめぇらみたいな部外者に何言われようと俺には関係ねえよ!」


 ドイルは悔しそうに捨て台詞を吐いて、この場から走って去って行った。

 アウルベアも起き上がり、ドイルの後をついて行った。


「クズね。ノアの言う通りアイツはテイマー失格よ。従魔がかわいそうだわ」

「……そうだね」


 俺は走り去って行くドイルとアウルベアを見ながら呟いた。


「これは異例の事態が起こりました! ヘクイルテイマーズカップAブロック予選を勝ち残ったはたった一匹! ファフニールです!」


 魔導拡声器から審議の結果が報告された。


「「「「ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」」


 闘技場に歓声が響き渡る。


「おい! 金返せ!」

「なんだよ! 一匹って!」


 同時にブーイングも巻き起こっていた。


「まあアレはファフニール一匹になっても仕方ないわね。とにかく、まずは予選通過おめでとうノア」


 ミーシャはそう言って、手を差し伸べてきた。

 俺はそれに応え、握手をする。


「ありがとうミーシャ。本選で当たったときはお互い手加減なしだ」

「ええ。楽しみにしているわ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] うん、知ってた。 殴るかぶちかますと思ってたから、威圧と風圧だけとは優しいね。(心は折れる)
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