表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『七行詩集』

七行詩 881.~890.

作者: s.h.n



『七行詩』



881.


きっと意味があったのだと思う


学舎の窓 差し込む光を受けながら


ともに過ごした年月に


恥じらう君を 逃がさないように 肩を組んだ


これは僕らの青春物語


終わりは何処だろう 見届ける人が居なくても


誰一人欠けることなく 僕らは卒業する



882.


貴方は今も闘っている


負けずに立ち上がろうとして


朝日の中 重い身体を持ち上げる


息苦しくても 生きづらくても


生き急ぐような 無茶はしないでください


貴方を休め 受け止めるのは 貴方が本当に欲するのは


薬などではなく 愛情であるというのに



883.


時間など いくらあっても足りるはずがない


狭い歩幅で 緩い歩調で


小さな記憶の部屋に 拾って詰め込めるものなど


それほど多くはないのだから


悩みもなく また手に掴むものもなく


大地の中で 人波の中で


私は詩を失ったのだと気づいた



884.


私は舟を漕ぐでしょう


決して干上がることのない


まっさらな涙の湖で


自由に生きるなら 人の自由を奪わぬように


時間をかけて進むのです


空と鏡の青に挟まれて


私はまた 言葉を広い集めるでしょう



885.


長く生きれば 分かるようになる


多くの人を見て 分かるようになる


自分が与えてもらったものは


自分が守ってきたものは


他の誰の手にも渡らない


誰かにとっては 奪う価値もない


私だけの生きる希望だから



886.


ただ貴方を 認めることが 出来たなら


誰かが貴方を 救ったでしょう


貴方は出会わねばならない


同じ苦しみを理解して


同じ言葉を欲する誰かを 救わねばならない


いつか貴方が 願ったように


世界はそこで生まれるのです



887.


私の半身である貴方よ


貴方は何も 言ってはくれず


今の私に聞こえるのは


貴方を探す 自らの声


止むことはなく 今に鼓膜を破るでしょう


けれど私は分かっています


反響させるその壁を 越えて行かねば会えないのだと



888.


この町に 今年はもう雪は降らない


君を想う 月は降らない


川は穏やかに 涙を運ぶ


橋は静かに 人を渡す


歩を踏む足は 覚束ない


それでも私は 渡らねばならない


この空に 今宵はもう星は降らない



889.


神は何故 心優しき魂に


こうも重い試練を与えるのか


それでも神様 どうかあの方をお守りください


私の両手が自由なのは


私が傍で支えられなかったから


苦しい 悔しい 出来ないことばかり


思う言葉さえ 貴方を苦しめる



890.


僕らは時々 美しい誰かに憧れるけど


この目が見えなくなったら


それさえも分からなくなって


形ある綺麗なものには 意味がなくなるのかな


貴方の手は 鍵盤を覚えている


全ての旋律を覚えている


貴方を想う誰かの声が 音楽が傍にありますように


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ