侵入者〈ディース〉
「みんな、何かが頭をよぎっただろう。」
担任が言った。
どうやら全員の思想の儀が終わったようだ。
「全部は思い出せなかったが、少しは頭の中に記憶が来ただろう。
それが君たちの、転生の記憶。つまり旅してきた異世界だ。」
「…」
唖然とした空虚な空気が、教室中に広まっていた。
「これから君たちには、転生の記憶をしっかり思い出すために、授業を行ってもらう。
主に知識をつけるための授業と、実戦の記憶を思い出すための授業をしていく。
早速だがこれから、英傑についての知識の授業を行う。」
「何か用意するものはあるんですか。」
「いや特にいらん。授業時に異世界の記憶がよみがえったときのための本を渡すだけだ。」
「はーい。」
そして俺は胸を張って、授業を受けることにした。
が、その前に。
「昴。お前はどんな記憶が甦ったんだ?」
「ああ、俺は銃のような記憶が一番鮮明に残っていた。」
「俺が一番鮮明に覚えているのは、剣と魔術かな。魔術といっても呪文的な感じだった。」
「す、凄いな…」
剣と魔術。
まさにファンタジーを感じるだから驚いているのだと思った。
「それでは、今から授業を始める。」
みんな真剣な姿勢だった。
「まず、英傑が戦う相手について紹介したいと思う。
この世界では迫ってくる敵の事を、侵入者という。
侵入者は主に、他の異世界から、崩れた空間を通ってくるというもの、もしくは何らかの現象で現実世界に発生してしまう敵の事を言う。
これらと戦うのが君たちの主な任務だ。
だが安心してくれ。出撃するのは相手の強さによってだ。いきなり強い奴と戦うのはそうそうない。」
「じゃあランク的なのがあるんですか?」
「ああ、様々なものがあるよ。
強いものからその強さを表す称号がね。」