緊急戦
その発言から少々時間を巻き戻す。
それは俺が三回戦をやっている時だ。
「ねえ輪廻、恵美奈…
桜牙君に特異能力はあると思う?」
「まあ彼ならありそうですけどね。」
「でも少し気になるところがあったのよ。」
そう言ったのは清水恵美奈。
「何のこと?」
「私が桜牙ちゃんに用があって会いに行って、少し特訓を見ていた時のことなのだけど。
違う異世界同士の技を難なく合わせていたの。」
その戦いは実験獣との戦闘のことだ。
「確かに…
その技は異世界ではできなかった。
ということはこちらの世界で身に着けたということになるね。」
「なるほど…
確かに二つの能力を合わせれるのは極微小だもんね…
しかもできたとしても力は半減することが多いですわ。
でもその力を物にした。
まさか、それが桜牙君の特異能力なのかしら?」
「彼が三つ以上の混合技をできるのなら、その可能性が高いわね。
三つからはできたという前例はないから。」
「後で試しておきますわ。」
そこで伊都乃桜牙についての話題は途切れる。
そのタイミングである男が部屋に入ってくる。
「ただいま襲撃予告をいただきました。
敵はただいま、人里離れた山で行動しているので幸いですが、早めに倒さないとまずいです。」
その報告は急なものである。
だが慣れている会長たちは冷静だ。
「敵の種族は?」
「神道族の神社獣。
かなりの強者です。
前例はありますが、突然姿を消すなどの行動により、消息は不明になりました。」
「出撃人数は何人?」
「実は…霧美学園、海木学園、聖夜高校以外の生徒会長は、他の地域での敵と戦っているため、まだゼロです。
なので強い戦力が必要となると思われます。」
「…分かりました。
では出撃メンバーはこの部屋にいる人員、三年生生徒、そして私の執事よ。」
「了解です。
準備ができ次第、この場所に来てください。」
「分かりました。」
その生徒会長の後ろには、多くの強者が並んでいる。
「行ける、桜牙君?」
俺の答えは一つ。
「俺は会長についていくだけです。」
「なら行きましょう。」
「もう準備はできてるよ。」
後ろに並ぶ強者が言う。
そして敵のもとへ向かう。
その場所は山の中。
隠れやすいのが良い。
ここなら頭脳戦なのだと思った。
だが俺はここでは戦わない。
俺は山のふもとに、会長、メイド二人と待機をする。
というか二人の名をまだ知らない。
万が一、消えるという前例があったので、保険だ。
山で戦うのは、俺と会長以外の、三年生メンバー、桜庭、霧峰、清水だ。
戦闘力では信頼できるだろう。
だが三年生の強い人員は遠征に言っているというのが少し不安だ。
「攻撃準備三秒前。」
会長がボイスをかける。
「…二」
緊張が伝わる。
「…一」
会長の声にも緊張が少し見える。
「始めッ。」
聖戦の鐘は鳴り響く。