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転生終者の覇技生誕〈ビッグバン〉  作者: 仮谷 真生
第一ノ三章 サドンリークライシス
24/32

開幕

―――――――――文字。それは果たしてどれだけの意味を持っているのだろうか。

       例えば「喜怒哀楽」「春夏秋冬」

         僕の心は哀と秋、その二つに、魅かれた。      

           哀しみは秋なのかもしれない。           

                            伊都乃桜牙〈幼少期〉
















ここは俺の部屋だ。

ようやく〈聖夜高校〉での仕事も終わり、気が付くと帰宅時間だったので、帰らせてもらえた。

今日が入学してから、三日だとは思えるわけがない。

というか三日目で出張って、急な気がしてならなかった。

でもようやくその三日目が終わる。

俺は東京ながらの嫌いじゃない夜景を見ながら、ベッドに入る。

疲れているせいか、俺の意識は遠のいていく。

意識の奥から子守歌が聞こえてくる。

睡眠のお知らせだ。

その遠のいていく意識とともに俺は静かに目を瞑る。

至福のひとときだ。



鳴り響く。

部屋中に殺したくなるような嫌な音が響き渡る。

その名は、〈目覚まし〉。

静寂な部屋のムードを壊している。

俺には金切り声にさえ聞こえる。

そんなことを思い、俺は起床する。

そして軽食、歯磨き、着替え、エトセトラ…

それらをすます。

そして俺は向かう。

黒髪会長のもとへ。


相変わらず、いい景色だ。

心の中からそう思う。

俺が一番好きな瞬間、〈癒し〉が起こる。

なんとも神心地。

そんな道を通り、今日も生徒会長室の扉前に着いた。

俺は迷いもなくノックする。


「失礼します。」


ドアを開ける。

するともちろんの如くいた。

相変わらず朝から、美貌の会長だ。


「今日も、始まりますよ。

 あなたとのモーニングコーヒータイム。」


入学から四日目の、朝が始まる。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



入学から二週間がたった。

正確には15日。

今日は、大会だ。

あれから、出張の仕事はしていないが、いろんなことをした。

会長の仕事の手伝いはもちろんのこと、一番大変だったのは、会長の時々見せる誘惑だ。

でもそんな会長も、特訓の時間を作ってくれたりする。

そこがとてもうれしかった。

そのおかげで強くもなれた。

俺も、しばらくは目立っていないので、みんな俺のことは忘れている。

なので大会で変に目立つこともない。

安心感は半端じゃなかった。


現在は、男臭漂う控室にいる。

なかなか細マッチョがいない割に、ゴリマッチョがめちゃくちゃいる。

俺は、意外と久しぶりでもない昴の隣で着替えている。


「今は俺の事みんな忘れてるよな。」


「ああ。実は会長を個人的な写真に写しちゃいけないんだよ。

 だから、みんな警戒して写真も撮らない。

 だからお前も忘れられているだろうから安心しろ。」


(良かった、影薄くて。)


俺は昔から、影が薄かった。

たまには役に立つようだ。

ちなみに戦闘の時の服は、開始2時間前からきておかないといけない。

なので服に関して作戦を立てても、あまり意味がない。

みんな見るからだ。

俺は、ものを隠せるような、大き目の服を選んでいる。

色はもちろん地味な黒だ。

若干紺よりではある。

武器は、転生の記憶(リメンバ)からのだけでなく、持参もありらしい。

相手を倒すのはダメで、場外か相手の気絶などの戦闘不能を起こせば勝ちだ。

その倒した数で、強さが決まるらしい。

だから均等に分けるように、入念にトーナメント票をチェックしていたのか。

さすが会長。

俺は少し時間が空いているので、会長がいるVIPルームに向かう。


そこには会長と、見覚えのあるメイド服を着た二人がいた。

俺は服装でもう察した。

聖夜高校でスカウトしたメイドだ。

二人とも低身長で可愛い。

今すぐにホールドしたいぐらい。


「今日が、メイドの初仕事って感じですか?」


「あら、桜牙君。

 ずいぶん服装は黒がお好きね。

 ようやくメイドをつけれたわ。

 もうスッキリスッキリ。」


「よろしくですぅ。

 執事さん。」


「勘違いしないでよね!

 ただの挨拶なんだから。」


1人目は弱々しそうだ。

2人目はあからさますぎるツンデレだ。


「よろしくね。

 挨拶も済んだので、控室で作戦でも考えてきますね。」


「頑張ってくださいね。

 勝ったらご褒美ですわ。」


「が、頑張ってください!」


「まあ、頑張りなよ…」


「うん。ありがとう。」


3人からの声援は意外とうれしい。


この大会は、毎年三年生を除く学年がやる。

実力テストの様な物だ。

学年ごとに優勝者を決め、戦いの記録と成績で強さを測る。

それがランキングとなって出される。

そのようなシステムだ。

一年生も強者はかなりいる。

俺が見た限りは、俺が楽勝に勝てるということはないだろう。

でも俺は勝つ。

本気を出すのは少し嫌いだが、手を抜くのはさらに嫌いだ。

その思いをひしひしと持つ。


後30秒後に開幕される。

トーナメント票は全生徒に知らされていない。

俺もそのトーナメント資料を見ないように、と言われたので仕分けの時は大変だった。

相手が分からないというのは非常に怖い。

でもそれに立ち向かえてこそ英傑(サムライ)

俺は心の中で闘志を燃やす。

始まりの戦線に。

カウントダウンは残り僅か。



始まった。






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