流力〈スピリット〉
生徒会長に、今のところ最後の能力だと思われる、気の使い方を教わることにする。
「気は、予想はついてると思いますが、普段は体の中に眠っていて、戦闘の時力になってくれるものです。
これは、甦らすことは簡単よ。
多分、桜牙君は2,3分程度だと思うわ。」
「そんな簡単なんですね。
どんな方法なんですか?」
「風を感じるのよ。」
「ど、どういうことですか?」
風を感じる、最初はどういうことなのかわからなかった。
「とりあえず、風を一番感じれる場所、屋上へ行きましょう。」
「わ、分かりました…」
生徒会長はそう言うと椅子から立ったので、俺もドアの方向に振り向いた。
生徒会長が先にドアを開けた。
それについていくように、俺も外へ出た。
「あ、そうだ。
あなたにこれを渡すわ。」
そう言って、貰ったのは、鍵だった。
「どこの鍵ですか?」
「生徒会長室に決まっているでしょう。
いつも常備しておいてね。
ついでに、ドアの鍵も閉めて。」
「やっと執事らしいことができたなぁ。」
「あら、そう。」
鍵を貰えたことによってちょっと認められたかな、と思った。
そう思いながら生徒会長についていく。
現在時間帯は、PM 4:00
この時間帯は、下校の時間帯で人が多い。
廊下を通るのを少し嫌に思ってしまった。
生徒会長と同行していたら何かと、人目につきそうだからだ。
生徒会長だけを見てほしい。
というか、起きたの2時なのに、よく魔術覚えれたと思った。
「あれ、白鐘様じゃない。」
「あ、本当だ。やっぱり綺麗だなぁ…」
「あの綺麗なスタイル。
そして美顔。憧れるなぁ。」
生徒会長は女子生徒からも憧れの的だ。
「やべぇ。白鐘さんと付き合えたらなぁ。
色んな意味で、戦闘を頼みたい。」
「お前には無理だろ。」
「そんな率直に言うなよ。
悲しいぜ…」
男子は、もちろんのこと妄想に明け暮れている。
「何だあの付き添ってる男。」
「まさか…彼氏とか?」
「いやいや、生徒会長が彼氏を作るとは思えん。
でもあの付き添ってる男ムカつくけど、少し顔がいいから…」
「やめてぇぇぇっ!」
こちらからもやめてくれと言いたい。
執事だとこんな苦労もあるのか…
目線も痛くて嫌になってしまう。
「生徒会長…こんな苦しみもあるんですね。」
「まあ、実質彼氏っていうことでいいわよ。」
「なぜそうなった…」
この苦しい廊下を歩いている時間はとても長く感じた。
そしてようやく、屋上についた。
屋上からは、都会ならではの、ビルが並んだ景色が見える。
俺は、貧乏だから味わったことがないが、意外とこういう景色も好きだ。
「…よし。風は感じるわね。さっそく行うわ。」
「いったいどのような内容なのでしょう。」
「風を感じる。つまり風の流れを読み取るの。
まあ、簡単に言えば、風を自分にまとわせるように意識するの。
もし、気が開花していけば、必ず体の周囲に風がまとわり始める。」
まあ、難しいので、風をまとうよう意識すればいいのだと思った。
「やってみます。」
そして俺は、風を感じ取る意識をした。
まず感じ取れるように目を瞑る。
風は、自分から見て、およそ右斜め後ろから吹いている。
田舎特有の、木のせせらぎは聞こえない、新しい感じの風だった。
名前で表すと、そよ風のようなもの。
そんな感じ方を続けていた。
「桜牙君!」
突然呼ばれて驚き、咄嗟に目を開け生徒会長の方向を向いた。
「自分の手見て。」
「はい。」
いわれた通り手を見ると、何か自分の手にオーラを纏っているように見えた。
「よし。そのまま一気に力を入れて。」
「分かりました。」
いわれた通り、体に力を入れた。
するとそのオーラが、大きくなり、黒に近い深い紫、名前にすれば、至極色のような色になった。
「なるほど。これがその異世界でのあなたのオーラの色よ。
これで、この特訓は完了ね。もう力を出せるはずよ。」
「確かに力がみなぎった感じがする…
これ、凄いですね!」
「ええ。それに桜牙君の能力は人一倍あるからね。
さて、生徒会長室に戻りましょうか。」
「はい!」
俺は気に少し興奮した。
「ちなみに、この気の正式名称は、流力と言うわ。」
「なるほど…」
おれはしっかり流力を使おうと思った。
そして、苦痛の廊下を通り、生徒会長室に戻ってきた。
「さて、次は剣の記憶をできるだけ極めますよ。」
ここから剣の極致を追求する…