プロローグ
――――――――ゼロの能力からは始まらない戦記。
それはこの世界の前駆か終焉のどちらかにしか過ぎない。
白鐘楓
俺は、七つの世界を努力で勝ち抜いてきた。
この繰り返される、転生で生き延びるために。
在る世界では、敵国の放った、無数のモンスター、そして騎兵。
そんな相手でも少数精鋭で生き延びた。
そして寿命が来た時、異世界への扉は現れた。
在る世界では、体から放つ魔法の攻撃。
そして、両手両足で綴る、呪文。
それを体にまとったり、相手に放って攻撃をしていた。
そして戦乱の末、死んでしまったとき、異世界への扉はまた現れた。
在る世界は、重装備を難なく装備。
その中での、愛用する大剣での斬撃。
悪欲を持った、無数の騎士たちに孤独で立ち向かい生き延びた。
そして、疲弊の末死んだとき、異世界への扉は現れた。
こんなことを何回か繰り返されていくうちに、俺は転生を終えた。
そう。最後の異世界へとたどり着いたのだ。
この理不尽な神の裁きが終わったのだ。
この平凡とした世界で、最後、平和に暮らそうと思った。
俺は知らない。
この八つ目の世界こそ最後の試練だと。
空には暗雲を切り裂く扉から、これでもかと異形の魔獣が出てきている。
これを見上げていられるのもあと一、二分程度。
だが、俺は動揺していない。
顔には笑顔すら見える。
その表情はまさに余裕。
この世界での能力は転生で手に入れたすべての能力。
その一撃は、一切合財を薙ぎ払う刃。
三つ以上の能力の合わせ技、〈覇技〉。
この世界で習得したオリジナルスキル。
その攻撃はまさに最強の革命。
どうやら、努力しすぎたみたいだ。