小便まみれの膝枕
サンダーとマーチャーと別れたカマドはお花を摘みに……亡くなった祖父母の霊の佇む草葉の陰へ向かっていた。
「しっこっこ、しー」
ジョビジョバー
カマドは金貨10枚はたいて買った聖女のローブをめくりあげ、立強キックの姿勢で放尿していた。草葉の陰に向けて放物線を描き放たれた尿は涙ながらの祖父母の霊の顔に直撃していた。
そこに巨大な影があられる。
「カマド……? この匂い、放尿のポージング……もしかしてカマドか!?」
「オーク……! ってアヒー!? ちょちょちょ……うおっ!」
カマドは驚き、混乱し、転倒して小便まみれとなった。
「会いたかったぞ! カマドよ! 運良く元の容姿そのままに人間に転移転生していたか!」
「マジかよ……そんなにでかいのかよ……」
カマドは会話を無視する様にアヒーを下から上へと確認する様に見る。
「お……お兄ちゃんだよね? 会いたかった! お兄ちゃん!(やべー、一番会いたくないクズ野郎に会っちまった!)」
「お兄ちゃんも会いたかったデチー! ごろにゃんごろにゃんばぶばぶでちー!」
「マジキモい。死ね。なんでオーク!? 元々豚みたいな下衆野郎だったからか? マジ勘弁! 折角生まれ変われたと思ってたのに……(可愛いアヒー赤ちゃんでちゅねー、よしよしナデナデちましゅよー……)」
「アヒィイイ! ナデナデ嬉しいデチ! 久し振りのカマドの、小便まみれの膝枕は最高でち! 良い匂いするでち!」
「よーしよしよし、ってもう! お兄ちゃんったらぁ! おしっこ汚いよぉ……(うおっ!重ェ!オーククッソ重ェエエエエエ!膝が折れるだろ豚野郎!)」
「重かったかな? ごめんね! 早速ふわふわのベッドを用意するから…お兄ちゃんとカマドの愛の巣に帰ろう!」
「は? 家とかマジ勘弁。二人暮らしとか地獄だろ?(うん……えへへ!お兄ちゃんだいしゅき♥また一緒に暮らせるんだ……!嬉しいにゃん)」
「今友達来てるから、お家についたら追い出そうね♥」
カマドとアヒーは愛の巣へと向かった。
◇ ◇ ◇ ◇
カマドとアヒー、二人の祖父母は草葉の陰で血の涙を流して泣いていた。それはカマドが生理だったとか血尿出していたとかそんな落ちではない。焦り過ぎて本音と建前が逆になってしまったカマドに対して泣いていた訳でもなく、カマドが好き過ぎて読心術が発達して本音と建前が逆になっていても全く気付かないアヒーに対してでもなく、これから訪れるハッピーエンドに喜びの涙を流しているのであった。