女未神転生(めヶみかみてんせい)
シスターコンプレックス、つまりシスコンと言う言葉に気付いた日より私は堂々と妹依存と公言している。そんな俺だが、今シスコンと全く関係ない窮地に陥っている。
謎の光に包まれて死んだ俺は気が付くと醜いオークとなって生まれ変わっていた。突然の事で混乱に陥ってはいるが、落ち着いてその時の事を思い出す……。
確か……。
妹が友達とファクドナルドでいつものように会話しているのを盗聴しながら俺は右手と左手と中手を慰めていた。ああ、あと右耳と左耳も妹の刺激的な声に癒されていた。
すると、妹が突然謎の光に包まれて死んだような音がした。それを聴きつつ快楽の絶頂に達してしまった俺は……そうだ、たまたま汚れた俺の周辺を拭くための拭くもの……を探してそれをシュッと取った瞬間……俺も謎の光に包まれて死んだ。
これは……異世界転生じゃないか!
しかも俺はオーク!
伝説の子孫繁栄の神……オークじゃないか!西では、草原に立ち小便しただけで周囲の雌花がミニオークを孕み、東では人里で暴れまわり、北に行けば雲を孕ませ降り積もる冬将軍を産ませたと言う。南では流石に大丈夫だろうと中棒を太陽に向けて干していたら…月が誕生してしまったと言う……。あの、あの、あの、伝説のオークさんになったんなら……!
これは、これは……。
愛しのカマドとの両思い恋愛結婚フラッシュモブの大歓迎に子孫繁栄のフラグじゃないのか!?うおおおおおお!妹故の呪縛はさっき死んだ。現世よさらば!いや、俺の生きるここが……今が現世だぁあああ‼
アヒー「未だ見ぬカマドよ、待っていろ。例えタンポポに生まれ変わっていようと、豚に産まれ変わっていようと……必ず探しだして、俺のこの腕よりも太い逞しい足で幸せの絶頂に連れていってやる!」
オーク「おい、そこのオークはん」
アヒー「何だお前、オークみたいな面しやがって」
オーク「お前も俺もオークだろ」
アヒー「そうだ! 俺もオークだ!」
オーク「今からふもとの街を襲いに行くけど……行く?」
アヒー「ふふふ……今日はいかなーい♪ 明日もいかなーい♪ だって……カマドを探さないといけないからぁ~~♪」
オーク「そうか、まぁ勝手にしろ。ここの洞窟は見ての通りオークの洞窟だからな」
アヒー「あれ、ちょっと待て。もしカマドって奴が居たら絶対に手を出すなよ。出したらただじゃおかないぞ」
オーク「じゃあ手は出さないけど……」
アヒー「代わりに足 (さんぼんめの)を出すってのも無しな、小学生の手袋じゃあるまいし…」
オーク「そんなん言っても……名前聞いてからってのもだるいし……」
アヒー「うるさい!」ポカリ!
アヒーはオークを殴る。
オーク「あんさんも名前聞かんと殴っとるやん!」
アヒー「ゴメンね!」
オーク「まぁ……近頃は冒険者も手強いらしいからお互い気を付けましょ、ほなまた……」
オークは一通りの漫才を終えて去っていった。
アヒー「関西……京都?あいつなにじんだ……」
アヒーはオークの口調に疑問を持ったが興味がないため瞬間霧散した。
アヒー「さて、街か。ぶっちゃけ人間かエルフに転生してると良いな……」