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油断大敵

作者: 霧島

 ここは、どこだ?


 目が覚めたとき、俺は知らない場所にいた。正確には、周りが真っ暗でここがどこなのか確認できないだけだが。もしかしたら、見えないだけで知っている場所なのかもしれない。

 俺はとりあえずこの場所を離れようと、立ち上がろうとした。が、体がつかえて、立ち上がるどころか、満足に腕を動かすことすらできない。俺はどうしてこんなに狭いところにいるのだろう。どこか、狭くて暗い隙間か何かに挟まったまま眠ってしまったのだろうか。いや、いくら俺が呑気だからといってもそれは有り得ない。あって欲しくない。

 俺は、もう一度、立ち上がろうと試みた。だが、結果は同じ。おかしい。こんな隙間に入った覚えはないのだが。


 何十回ともがき、何十回と自問自答を繰り返して、俺はもう疲れきっていた。そんなときだ。突然、俺の動きを制限していたつかえがなくなり、目の前が一気に明るくなったのだ。何者かがつかえを取り払ってくれたのだろう。俺はほっと溜め息をついて立ち上がる。長い時間、狭い空間に閉じ込められていたせいからくる疲労感と空腹感に俺の体は限界だった。とりあえず、何か食べるものはないだろうか。そう思って辺りを見回した。すると、頭上で何かの動く気配がする。つられて上に視線をやると、人間が驚いたような目で俺のことを見ているではないか。

 その瞬間、俺は全てを悟った。俺の友達や兄弟も、こんな風に連れ去られていたのだろう。そして、奴等に……。くそっ、俺が仇を討ってやるぜ!


 俺は最後の力を振り絞って、両腕を振り上げた。


***


「おかーさん、このかに、いきてるよ」



 おわり。


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