零依とほのかと 1
差し込む光が夢の世界から現実へと戻す。
朝日が少年、柊 零依の意識を呼び覚まし、覚醒の時を告げる。
身を起こし布団から出て通っている学校指定のブレザーを除く制服姿に着替える。
洗顔を済まし、リビングルームに行くがカーテンすら開いていないことかまだ起きていないことがわかる。
起こしに行く前にいつも通り食パンをトースターにセットし、熱したフライパンで二人分のスクランブルエッグを焼く。
そして冷めないうちに義妹の部屋へ向かう。
二回のノックをする。
「ほのちゃん、おきてる?」
「・・・・・・」
呼びかけてみるが反応がない。
まるで屍の-といったどこかで聞いたようね台詞が頭に過るのをスルーし、目の前の扉を開ける。
案の定彼女は静かに寝息を立てていた。
「ほのちゃん、おはよ。朝だよ」
「ん・・・・・・んぅ」
すこし揺すりながら呼びかけると微弱ながら反応があった。
零依がほのちゃんと呼んだ少女、柊 ほのかはまだ眠気の取れない眼を摩りながら零依に身を起こされる。
「朝ごはん、できてるよ。リビングで待ってるね」
「うん・・・すぐいくー・・・」
これより彼女の更衣室となる部屋を後にする。
戻るころには香ばしい匂いとともにトーストが焼きあがっていて、食欲を掻き立てる。
もう使わないフライパンを洗って戻し、テーブルの上に盛りつけた朝食を並べる。
「おはよ、お兄ちゃん」
割と早いお出ましと共にフリルのついたかわいらしいワンピースタイプのセーラー服姿に身を包んだほのかがリビングに顔を出す。
そのまま二人とも席に着き、手を合わせる。
「「いただきます」」
いつも通りの日常。
ほのかはいつもおいしそうに食べるから零依としても作った甲斐があるというものである。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様です。後片付けするから準備済ませておいてね」
「はーい」
そういってほのかは再び自室に戻る。
零は台所で使った食器を元に戻し、あらかじめ準備のおえている通学用の鞄を自室がからリビングルームに持ってくる。
同じタイミングでセミショートの茶髪を左にサイドテールで結んだ姿で現れる。
その結んでいる赤い大きめのビーズのついたヘアバンドが、彼女のトレードマークのようなものである。
「それじゃあ行こうか」
「うん!」
戸締りを確認し、二人で家を出た。