8月9日(レギュラーシーズン)
ポストシーズンを除けば、わずか5回しか来ない日曜日。このバーチャル世界の長崎市でも、現実世界と同様に平和記念式典が執り行われたそうだ。この世界では、現実世界の過去の悲劇さえリアリティの味付けとして消費される。「現実世界ではこのようなことをやっていたから、ここでもやってみよう」が基本的な人々の行動原理なのだ。子どものままごとに似ている。
だが、たとえ形だけだとしても追悼するだけマシなのかもしれない。つい3日前にピースナイターを実施したばかりの広島を含め、バーチャル世界のプロ野球で長崎について触れる球団はなかった。むしろ日付の語呂合わせから「野球の日」とありがたがって祝っていたくらいだ。
3連戦の最終日、最もドラマチックな幕切れだったのは京都対名古屋だ。2回戦までの結果は1勝1敗。どちらも完封による勝利だった。いよいよ決着がつくという状態で臨んだきのうは、試合序盤からシーソーゲームの様相を呈する。初回に名古屋が2点を先制するも、3回裏には京都が1点を返し、5回にホームランで同点。
7回表に京都の守備の乱れを突いて1点をリードした名古屋に流れが傾いたと思われたが、その裏に打順を迎えたエラーの張本人がタイムリーヒットを放ち、譲らない。延長戦が確実視された9回裏2アウト満塁。2ストライクののち、投じられたワンバウンドの変化球を捕手が後逸。名古屋にとっては悪夢のような、劇的な幕切れとなった。
この名古屋の捕手だが、現実世界では福岡ソフトバンクホークスで投手をやっている。バーチャル世界の体は現実世界の体と分けてカスタムできるので、彼のように現実世界もまったく違うポジションにつく程度は簡単なことなのだ。
バーチャル世界は現実世界と違い、その世界に迎えられた瞬間から居場所が決まっている。言い換えれば、先に役割が存在していて、その役割をプレイしたい人に転移の時間を売っているのだ。サービス開始当初はみんな純粋に面白がっていたらしいが、徐々に転移先でビジネスを始める者が出てきた。バーチャル世界ではエンターテイメントがウケる。アイドルや歌手などの芸能人が次々と販路を拡大させていき、その大きな波にプロ野球をはじめとしたスポーツ業界も乗り出したのだ。
だが、この世界のデザイナーはプロ野球に疎かったのか、はたまた「俺の考えた最強のプロ野球リーグ」を作りたかったのか、この世界でプロ野球選手の役になった人が戦うのは、16球団制・1リーグ4地区制・全試合指名打者制不採用というガラパコス進化を遂げた野球リーグの選手だった。無意味に野球史のディテールまで作り込んでいるところを見るに、相当こじらせた野球ファンとみていいだろう。
そのようなわけで、現実世界では現役プロ野球選手や元プロ野球選手、はたまたアマチュアの野球選手や野球素人など、多種多様な人がこの世界では「プロ野球選手」として奇妙で短いペナントレースを戦っている。このリーグは現在、現実世界のNPBが運営の一部を引き継いで引き継いで管理しているそうで、入場料その他の試合収益の一部はNPBに入るらしい。
仙台 vs 埼玉 ノース3回戦
(楽天モバイルパーク)18:00
埼玉 /000 000 020/2
仙台 /010 000 000/1
新潟 vs 札幌 ノース3回戦
(ハードオフスタジアム)14:00
札幌 /000 000 000/0
新潟 /004 010 00X/5
千葉 vs 東京 イースト3回戦
(ZOZOマリンスタジアム)18:00
東京 /100 100 000/2
千葉 /000 000 100/1
静岡 vs 横浜 イースト3回戦
(静岡草薙球場)18:00
横浜 /010 000 000/1
静岡 /000 000 000/0
京都 vs 名古屋 ウエスト3回戦
(わかさスタジアム)18:00
名古屋/200 000 100/3
京都 /001 010 101x/4
神戸 vs 大阪 ウエスト3回戦
(ほっともっとフィールド)17:00
大阪 /000 100 100/2
神戸 /000 041 00X/5
岡山 vs 福岡 サウス3回戦
(マスカットスタジアム)18:00
福岡 /100 004 000/5
岡山 /011 000 010/3
高松 vs 広島 サウス3回戦
(レクザムスタジアム)18:00
広島 /201 020 000/5
高松 /000 000 400/4
[ノース]
1/仙台/6勝0分3敗/.667/-
2/新潟/5勝0分4敗/.556/1.0
3/埼玉/4勝0分5敗/.444/2.0
4/札幌/1勝0分8敗/.111/5.0
[イースト]
1/東京/9勝0分0敗/1.000/-
2/横浜/5勝0分4敗/.556/4.0
3/千葉/4勝0分5敗/.444/5.0
4/静岡/3勝0分6敗/.333/6.0
[ウエスト]
1/神戸/6勝0分3敗/.666/-
2/京都/4勝1分4敗/.500/1.5
2/大阪/4勝1分4敗/.500/1.5
4/名古屋/3勝0分6敗/.333/3.0
[サウス]
1/福岡/6勝0分3敗/.666/-
2/岡山/4勝0分5敗/.444/2.0
2/広島/4勝0分5敗/.444/2.0
4/高松/3勝0分6敗/.333/3.0




