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第7章:原初の守護者

惑星に訪れた三度目の夜明けは、欺くような静けさとともに始まった。

空は漆黒から深い紫へ、そして地平線から血がにじみ出すかのような濃い桃色へと変わっていった。

ドリアンは、光が完全にクレーターを照らす前に目を覚ました。

身体は痛んでいたが、機能には問題はなかった。

琥珀色の果実はほぼ完璧な効果を発揮していた。

筋肉は回復し、関節は柔軟で、思考は澄み切っていた。

彼はゆっくりと立ち上がり、クレーターの縁まで歩いた。

エイペックスの死骸はすでに風景の一部となっていた。

新しい地衣類と黒い根にほぼ覆われ、まるで最初から存在しなかったかのように大地へと同化していた。

この惑星は、許しもしなければ忘れもしない。

ただ、吸収するだけだった。

オメガが朝の状況報告を、直接彼の視界に投影した。

「――身体状態:最適。

昨日回収した資源:生体サンプル安定。

夜間の自己修復後、スーツの完全性は100%。

封印されたフラグメントは、顕著な変動のない一定のエネルギー活動を維持しています」

最後の一文を聞いて、ドリアンは眉をひそめた。

強化コンテナは収納部の中で重く感じられた。

質量の問題ではない。

純粋な“存在感”だった。

時間が経つごとに、それはますます強く感じられた。

胸元に伝わる微かな振動。

それは、触れてはならないものに手を伸ばしてしまったという、絶え間ない警告のようだった。

彼は栄養バーを一本かじりながら、高所から谷を見下ろした。

生物発光する川が、惑星の暗い皮膚を走る青い血管のように、遠くで輝いている。

森は朝の風に揺れていた。

美しかった。

だが同時に、それは罠でもあった。

彼はクレーターの底へ戻り、シグマ12号の残骸の前に腰を下ろした。

腐食した金属が、昇る朝日の光を錆びた色合いで反射している。

ドリアンはフラグメントのコンテナを取り出し、自分とヘリオン隊の古い船との間に置いた。

しばらく、それを見つめ続けた。

虹色に揺らぐ黒い物体は、光を反射するのではなく、吸い込んでいるように見えた。

輝いてはいない。

鼓動している。

ごく微かに、しかし確かに脈打っていた。

「オメガ」

ついに彼は口を開いた。

「これについて、持っている情報をすべて出せ。フィルターなしで」

「――収集データ:エネルギー反応は、排除されたエイペックスの心核と完全に一致。

物質構成は不明。ヘリオン以前の有機・鉱物複合体である可能性が高い。

外部刺激への反応を確認。長時間接触した周囲の被験体において、神経活動の増加が観測されました。

報告された幻視は、惑星生態系のパターンと一致。

結論:制御核、またはより巨大な生体ネットワークのノードである可能性が高い」

ドリアンは歯を食いしばった。

「つまり……この惑星には脳があって、これはニューロンみたいなものか?」

「――単純化された仮説ですが、有効です。

生態系は高度な階層的協調を示しています。

このフラグメントは、接続点、あるいは調整器として機能している可能性があります」

彼はしばらく沈黙した。

やがて、シグマ12号の乗員の日誌を思い出した。

声ではない声。

常に感じる視線。

決して手放さない惑星。

研究室で垣間見た幻覚も思い出した。

無限に続くトンネル。

眠れる存在たち。

すべてを繋ぐ黒いネットワーク。

そして――

フラグメントに近づいた瞬間、何かに“認識された”と感じた、あの一瞬。

「……違う」

彼は声に出して言った。

「これは土産じゃない。時限爆弾だ」

立ち上がり、考えながら円を描くように歩き回る。

ヘリオンは、この発見を大いに評価するだろう。

研究所は狂喜し、分析に没頭するはずだ。

昇進、富、名声――すべてが手に入るかもしれない。

だが、それは同時に、シグマ12号が過去に犯した過ちでもあった。

彼らは触れた。

持ち去ろうとした。

惑星の規則を破った。

そして、惑星は応えた。

ドリアンは立ち止まった。

「俺は、あいつらみたいな馬鹿にはならない」

決断した。

「壊す。今ここで。

船からも、川からも、俺がこの惑星で大切に思うすべてから遠く離れた場所で。

この惑星を去る前にだ。

脅威でもないもの、美しいものまで汚したり壊したりはしたくない」

「――警告。標本の破壊は、クラス・アルファ科学回収プロトコルに違反する可能性があります。周期は経過していますが、推奨――」

「関係ない」

ドリアンは遮った。

「この惑星がエイペックスを差し向けるほど大事にしてるなら、俺がプレゼント包装してヘリオンに渡す役にはならない」

彼は圧縮剣を収納し、スーツを最大出力に設定し、フラグメントの入ったコンテナを担いだ。

クレーターと川から離れ、東へほぼ二時間歩いた。

地形は変化した。

森が開け、磨き上げられた黒い岩の広大な平原が現れた。

まるで、太古の溶岩湖が完全に冷え固まったかのようだった。

何も生えていない。

地衣類も、苔もない。

あるのは、石と空だけ。

完璧な場所だった。

彼は平原の中央にコンテナを置いた。

二十メートル後退する。

「オメガ。剣を150%まで充填。過負荷を許可する」

「――充填開始。警告:剣核への永久損傷リスク68%」

「数字なんか知るか」

エネルギーブレードが凶暴な唸りとともに展開した。

あまりに強烈な青が、直視するだけで痛みを伴う。

ドリアンは深く息を吸った。

シグマ12号を思い出す。

「触るな」と言った船長を。

声を聞いた乗員を。

見つめていた惑星を。

そして、全力で剣を振り下ろした。

衝撃は、まさに破局的だった。

刃は、存在しないかのようにコンテナを貫いた。

黒青色のエネルギー爆発が外へ弾け、ドリアンは空中へ投げ飛ばされた。

数十メートル転がり、スーツが衝撃の大半を吸収したが、それでも骨が悲鳴を上げるのを感じた。

砂煙が収まると、彼はふらつきながら立ち上がった。

コンテナは粉々だった。

だが、フラグメントは――

爆発で生まれたクレーターの中心に、無傷のまま浮かんでいた。

否。

無傷ではない。

膨張していた。

青い光の亀裂が表面を走り、生きた根のようなエネルギーの脈が地中へと沈み込んでいく。

黒い岩が震え始めた。

空気は静電気を帯びる。

ドリアンは後ずさった。

「オメガ……これが普通だと言ってくれ」

「――異常です。大規模なエネルギー解放を確認。

半球全域で生態系反応を検知。

当地点へ収束中。到達予測時間:数分」

空が暗転した。

飛行生物の群れが太陽光を遮る。

地面は完璧な直線で割れ、黒い蒸気を吐き出した。

そして――

フラグメントが浮かぶ中心部で、岩盤が開いた。

何かが、現れた。

ゆっくりと。

圧倒的に。

原初の恐怖、そのものが四十メートル。

分節された巨体。

生きた黒曜石の装甲に、フラグメントと同じ虹色の物質が埋め込まれている。

主肢は柱のように太く、副肢の触手は蛇のようにうねっていた。

頭部は巨大な稜線状で、目はない。

ただ、空気に可視のサイオニック波動を放つ、振動する表面だけがあった。

フラグメントはその胸部に融合し、惑星全体と同調するように鼓動していた。

干渉で歪んだ声で、オメガが告げる。

「――分類:原初の守護者。

脅威レベル:絶対。

避難不可能。

推奨行動……使用可能なすべて」

ドリアンは唾を飲み込んだ。

守護者が咆哮した。

その咆哮とともに、世界は“圧力”へと変わった。

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