第6章 探査と新種
異星の太陽がゆっくりと昇り、クレーター全体を紫の光で包み込んだ。夜明けの金色と溶け合うその光は、静かで荘厳だった。
ドリアンは、スーツが完全に起動する前に目を開いた。
装甲コンパートメントに封印されたフラグメントが、胸元でほとんど感じ取れないほどの振動を発していた。まるで、自分のものではない第二の心臓のように。
低いうなり声を漏らしながら上体を起こす。身体が抗議する。昨日の戦闘で硬直した筋肉、そして一晩で何年も歳を取ったかのように軋む関節。
朝の空気はひんやりとしており、湿った土の匂いに、これまで気づかなかった甘くほぼ花のような香りが混じっていた。
「オメガ、全体状況は?」
『回復睡眠:4.7時間。エネルギーレベル92%。半径500メートル以内に敵性反応なし。フラグメントのエネルギー活動は安定、夜間の異常ピークは検出されませんでした』
ドリアンは立ち上がり、腕を伸ばした。
アペックスを倒した後に登った崖へと歩き、粉々になったアペックスの死骸を見下ろす。夜の間に、新たな地衣類がその身体を覆い始めていた。まるで惑星が、すでにそれを回収し始めているかのように。
砕けた黒曜石の装甲板の隙間から、小さな黒い根が伸びていた。
「感傷に浸ってる暇はないな……」と彼は呟いた。
「今日は、この美しい惑星を探索する日だ」
ドリアンはスーツの栄養バーを口にしながら、オメガが投影する惑星の部分ホログラムマップを眺めた。それはシグマ12から回収したデータと、独自のスキャンを基にしたものだった。
『優先エリア:北西8kmに生物発光河川、東12kmに結晶構造体、南15kmに有機的遺構を検出。初期推奨ルートは河川。水資源と非戦闘的観察可能な生物の存在確率が高い』
ドリアンは頷いた。
圧縮剣を収納し、スーツを探索モードへ調整する――重装甲を抑え、センサー重視。
そしてクレーターの出口へと歩き出した。
日中の登攀は容易だった。
岩壁は淡いエメラルド色に光る苔に覆われ、所々には筒状の花が太陽に向かって開き、金色の粉のような花粉を放っていた。
手袋越しに指先で触れると、その花は息を吐くような音を立てて、ぱっと閉じた。
「面白いな」ドリアンが言う。
「防御反応か」
『接触型受粉機構の可能性あり。後ほど解析用に記録します』
クレーターの縁に到達すると、景色は一気に開けた。
黒い植生が波打つように広がり、まるで暗い海のようだった。
黒樹皮の木々が高い樹冠を形成しているが、十分な空間があり、紫の光が地面に踊る影を描いていた。
風が音を運んでくる。
低く響く羽音の合唱、遠くの軋み音、そして時折――鳥か、あるいはまったく別の何かの鋭い叫び声。
ドリアンはスーツの効率歩行モードを起動し、川へ向かって進み始めた。
最初の数キロは穏やかだった。
地面は柔らかく、黒い葉の層に覆われており、踏みしめると崩れて柑橘系の香りを含んだ土の匂いが立ち上る。
拳ほどの大きさの小型生物たちが根の間を走り回っていた。
半透明の身体、脈打つ青い血管、六本の細い脚、宝石のように光を反射する複眼。
オメガが即座に分類する。
『非敵対種。生態系における役割:一次分解者。落下した有機物を摂取し、土壌へ栄養を還元』
ドリアンはしゃがみ込んだ。
一体が怯えることなく近づき、彼のブーツを登り、足首で止まる。調べるように。
触角が振動し、スーツ素材に触れた。
ヘルメットが開く。
「そんな目で見るなよ」ドリアンは苦笑した。
「俺は食べ物じゃない」
生物は納得したかのように降り、葉の間へと消えた。
やがて地形は緩やかに下り、広い窪地へと続いていった。
空気は湿り、水音が姿を現す前に耳へ届く。無数の声が囁くような、絶え間ないざわめき。
開けた場所を抜けた瞬間、川が現れた。
幅は少なくとも五十メートル。水は透明ではない。
それ自体が光っていた。
深い青に、光の粒が魚のように動いている。
水面には巨大な六角形の葉が浮かび、虹色の緑が紫の空を映して、催眠的な模様を描いていた。
ドリアンは岸辺で立ち止まった。
「……くそ。綺麗すぎる」
『水質構成:異常。生物発光粒子高濃度。水温18℃。流速中程度。推定平均水深:4メートル』
ドリアンはヘルメットを外した。正確には、首元までスライドさせただけだ。起床してからこれで二度目。
空気は澄み、予想外にわずかな塩気を含んでいた。
彼は深く息を吸った。
水辺へ近づく。
中では細長い影がゆったりと泳いでいる。全長三メートルほどの蛇状生物。半透明の身体、ステンドグラスのように輝くヒレ。
目はなく、動きを感知すると振動する感覚隆起のみがある。
一体が半身を水面に出し、光る繊維で満たされた円形の口を開いた。
敵意はない。水中の粒子を濾過しているようだった。
ドリアンはバイアルを取り出し、サンプルを採取する。
「生物発光研究所なら、これだけで大金になるな」
彼は川沿いを上流へ進んだ。
地形は次第に岩がちになり、自然の彫刻のような構造物が現れる。
風が通ると、結晶に覆われたねじれた柱が、低く物悲しい音を奏でた。
ある地点で、川は小さな滝となり、十メートルほど落下して円形の淵を作っていた。
水が落ちるたび、青い煙のような発光霧が立ち上る。
ドリアンは平たい岩に腰を下ろした。
栄養バーをもう一本取り出し、今度は川の水で流し込む――もちろんスーツで濾過して。
食事をしながら、水中の生命を観察する。
翼膜を持つオタマジャクシのような生物が跳ね上がり、短距離を滑空しては再び水へ。
円盤状の生物は水面に浮かび、太陽光を吸収していた。
「オメガ、全部高解像度で記録してくれ。ここを覚えておきたい」
『記録を開始しました。理由は?』
ドリアンはしばらく黙った。
「この惑星のすべてが、俺を殺そうとしてるわけじゃない。それだけで十分な理由だ」
「それに、探索だ。サンプルも証拠も記録もない探索なんて、探索じゃない」
彼は何時間もかけて上流を探索した。
植生は徐々に濃くなり、先端が蛍のように光る蔓が垂れ下がっている。
黒い砂州に出た。
そこでは水晶の甲殻を持つカニに似た生物が、何百体も集まり、岩片で完璧な幾何学構造を築いていた。
オメガが解析する。
『集団構築行動。用途推定:避難所、または小型獲物用の罠』
ドリアンは慎重に近づいた。
生物たちは逃げず、複眼で彼を見つめながら作業を続ける。
一体が、小さな六角形の構造物を彼の足元に置いた。
まるで捧げ物のように。
ドリアンは拾い上げた。
軽く、完全な対称性を持ち、内側から淡く光っている。
「記念品だな」
そう言って収納した。
太陽は天頂に達し、世界を濃い紫に染め上げる。
ドリアンは川を離れ、内陸へ向かうことにした。
規則的だが人類のものではない、大きな足跡が続く自然の小道を辿る。
森が彼を包み込む。
紫の光が柱のように差し込み、塵が舞う。
地面は発光する菌類の絨毯に覆われ、踏みしめるたびに光る足跡が、ゆっくりと消えていく。
直径二十メートルほどの、完全な円形の空き地に出た。
中央には異質な木が立っていた。
銀白色の幹、祈る腕のように上へ伸びる枝、光を捉え虹色の模様を地面に投影する半透明の葉。
周囲には果実が落ちていた。
リンゴほどの大きさの琥珀色の球体。内部には金色の脈。
ドリアンは慎重に近づき、一つ手に取る。
温かく、わずかに脈打っていた。
「オメガ、解析を」
『複雑な有機構成。高栄養価。回復特性の可能性あり。毒性なし。ただし本惑星外の生理体系への副作用は不明』
ドリアンはしばらく眺め、噛みついた。
味が口内で弾ける。
蜂蜜のような甘さ、柑橘の酸味、最後に微かな金属味。
純粋なエネルギーが身体を駆け巡り、蓄積された疲労が陽光の霧のように消えた。
「……くそ。どんなヘリオン刺激剤より効く」
さらに二つ食べる。
スーツはエネルギー28%上昇、筋回復加速を記録した。
サンプル区画に十二個収納する。
木が応えたかのように、葉が強く輝き、柔らかな風が枝を揺らした。
承認のため息のように。
ドリアンはしばらく木の下に座った。
静かで、ほとんど神聖な場所。
到着以来、初めて本当に力を抜いた。
目を閉じ、耳を澄ます。
遠くの川、森のざわめき、胸元で微かに脈打つフラグメント。
再び歩き出すと、道は岩の高台へと続いていた。
そこから谷の大半が見渡せる。
青い光の血管のように蛇行する川。
地平線まで続く森。
そして紫の霧の向こうに、遺跡か巨大な自然構造物と思われる影。
太陽が傾き始めた頃、帰還を決めた。
帰り道は早かった。
発光する菌類に残した足跡が導いてくれる。
クレーターに戻る頃、空はすでに暗い色に染まっていた。
ドリアンは再びシグマ12のそばに腰を下ろす。
予想していなかった、穏やかな気持ちで。
「オメガ……今日は戦わなかった。ただ……見ただけだ」
『確認。新規サンプル18種。映像記録14時間。琥珀果実摂取による生理的利益を確認』
ドリアンは微笑んだ。
「いい一日だった」
慣れ親しんだ金属にもたれ、最初の星々が現れるのを見つめる。
この惑星は、致命的だ。
だが――美しくもある。
同じ場所に、そんな二つが存在できることが、まだ理解できなかった。
そして初めて、
ほんの少しだけ――理解できるかもしれない、そう感じた。




