表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

第3話 よろしくの意味

 ミューレンさんにこの世界の事情を聞いていると、クレンさんが駆け足で近付き、敬礼をした。

 本当、美人が並ぶと絵になるなぁ。死と隣り合わせの世界だからか、種を存続させるためにこういう進化をしたのだろうか。



「隊長、馬車の準備が整いました。いつでも出発できます」

「ご苦労。私は車内で、イブキ様の護衛をやろう。皆は周囲を警戒するのだ」

「えっ、ズルくないですか!? 女を怖がらない男と、密室で2人きりなんて……! そんなのスケベ物語じゃないですか!」



 言い方、言い方。てか、この世界にもあるのか、エロ同人みたいなものが。

 でも確かに、気持ちはわかる。俺も逆の立場だったら、同じこと思いそう。



「しっ、仕方ないだろう。私は彼の事情を把握し、報告書をまとめるという仕事があるのだ。仕事だ、仕事。決して私情を挟んでは………………いないから、安心しろ」

「間」



 クレンさんがジト目でミューレンさんを見る。他の女騎士たちも、ジトーっと見ていた。なんか、緩いなぁ。騎士ってもっと規律がしっかりしてるイメージがあった。



「ええいっ、うるさいうるさい! ほら準備しろ! 総員、移動開始!」

「「「はっ!!」」」



 こういうのを鶴の一声と言うのだろうか。ミューレンさんの号令に、今まで緩んでいた空気が一気に引き締まり、各々が配置についた。

 一糸乱れぬ隊列……地球では、なかなかお目にかかれるものではない。



「イブキ様、どうぞこちらへ」

「あ。は、はい」



 ミューレンさんに案内され、布で覆われた馬車へ案内される。リアル馬車なんて、初めて見た。

 左右に控えていた女騎士が、恭しく垂れ幕を開ける。と……な、なんだ? 中から、むせかえるような濃厚な匂いが……?

 若干怯みつつ、馬車の中を覗く。床に赤い絨毯が敷かれ、くつろぐ為なのか一ヶ所にクッションが積まれている。頭上にはランタンがあるが、それ以外の灯りはなく、どこか妖しい雰囲気を漂わせていた。

 それにしても……この匂い、もしかして女性の匂い……か? 作られてから今まで女性しか触れてこなかったからか、床や天井、布にまで濃い匂いが染みついてる気がする。

 あ、やば。一気に体温が……俺、まだ女性と付き合ったことがないから、こういうのに慣れてないんだよ。

 一向に入ろうとしない俺を見て、ミューレンさんは頭を下げた。



「申し訳ありません、イブキ様。急遽準備した馬車故、このようなみすぼらしいものしか用意できず……」

「あ、いやっ、そうじゃないです……! むしろこんな立派な馬車、ありがとうございます」



 俺としては、馬車ってだけでテンションが上がるんだ。ただ、匂いに慣れてないだけで。

 が……周りのリアクションがおかしい。なぜか俺を見て、ざわついている。



「え……待って。男って、みんなこんな優しい方なの……?」

「私が聞いた噂では、もっと自分勝手で暴力的だって……」

「私、昔見たことあるけど、もっと粗暴な感じだったわ」

「でもイブキ様って、そんな感じしないわよね」

「むしろ優しいというか……」

「こんなスケベ物語から出てきたような男が実在するなんて……!?」



 え、何? ぼ、暴力的? 粗暴? いやいや、待ってくれ。こっちの男性たちがどういう人かは知らないし、確かに地球にも一定のそういう層はいるけど、優しい人も多いぞ。

 ここはしっかりと挨拶をして、地球人男性代表の地位を下げないようにしなければ。



「あ~……こほん。み、皆さん、安心してください。俺はそんな野蛮な男じゃないですし、女性は守る存在だと親父にこっぴどく言われてきましたから。あと……いきなり俺みたいな男が現れて、困惑していると思いますが、これからよろしくお願いします」



 深々~。とにかく深く頭を下げる。もしここで粗相をして置いて行かれたら、マジで死んでします。これも、この世界を生き抜くための処世術だ(多分)。



「よ、よろしく……? よろしくできるの……!?」

「ふっ……私も遂に、添い遂げる方が見つかったようね」

「んなわけないでしょ。添い遂げるのは私よ」

「せ、先輩たちずるいですっ。私もよろしくしたいです……!」

「まあまあ、落ち着きなさい。時間はあるのだし……ね?」



 ん……? あれ、おかしいな。よろしくの意味が歪曲して伝わってるような気が……?



「やれやれ……私語は慎め。イブキ様、早く中へ。皆が落ち着きませんので」

「あ、はい」



 これが地球と異世界の分かの違いなのか……? 早く、この世界にも慣れないとな。

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】と【いいね】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ