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大事にされる理由

 石田三成親子が津軽に入ってから1ヶ月後。津軽為信、信枚親子が帰国。津軽為信が石田三成の居る深味(今の板柳町)に出向く代わりに堀越にやって来たのは……。


津軽信枚「重成殿。お久しぶりです。」

石田重成「信建様始め、皆様に助けていただきました事。御礼申し上げます。」

津軽信枚「そんな堅苦しくならないで下さい。」

石田重成「ありがとうございます。……。」

津軽信枚「何か気になる事でもありますか?」

石田重成「……いえ。何故敗軍の。それも首謀者である我らに手を差し伸べていただけたのかが、正直わからないものでありまして……。」

津軽信枚「それは重成殿の御父上。三成様に父為信が助けられたからであります。

 父は南部からの独立を目指し活動をし、一定の成果を収める事が出来ました。その時、畿内で活躍されていたのが亡き太閤殿下でありました。太閤殿下の支持を取り付けるべく幾度となく上洛を試みたのでありましたが……。」


 南部や安東。そして暴風雨に阻まれ果たす事は出来ませんでした。


津軽信枚「その間、南部からの訴えにより我らは討伐の対象になり掛けた時期がありました。その時、我らを助けていただいたのが石田三成様。其方の御父上でありました。北条といくさをするため、関東に向かっていました太閤殿下と三枚橋(静岡県沼津市)での謁見を果たす事が出来たのは、偏に石田三成様の尽力があっての事。もしお会いする事が出来なかったら我らはもうこの世に存在する事はありませんでした。」

石田重成「父は何か見返りでも?」

津軽信枚「三成様は金品で動く方ではありません。強いて挙げるとするならば……。」


 鷹が効果を発揮したかと……。


石田重成「父は鷹と鷹狩には目がありません。親しい方々に

『我が家自慢の鷹をお貸ししましょうか?』

と話している時の父の姿は……。」


 無邪気な子供であります。


津軽信枚「その後も検地や新田の開発。更には大坂への移送路の確保等様々な分野で助けていただいています。その石田様が危機に立たされているのであれば、差し伸べない手はありません。」

石田重成「ただその不始末の原因は我らにあります。身から出た錆に過ぎません。」

津軽信枚「いえ、その様な事はありません。徳川様が太閤殿下の遺命を反故にし、思うがままに行動されている事。我らも知っています。それに堂々と立ち向かい、石高にして20倍にも及ぶ相手にあそこまでの戦いをされた石田三成様の姿を責める事が出来る者等いません。

 その石田様が御存命であられる。そしてここ津軽にいらっしゃるのでありましたら、全力で以てお守りするのが我ら津軽の出来る精一杯の恩返しであります。」

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