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第7話 鉄を斬れるくらいの大した事のない強さ

『・・・という訳で、俺は爺様の手違いで日本刀になっちまったってわけだ。』

「なるほど。とんでもない爺さんね。」

『美結の方は、さっきの話でいくと95歳まで生きたってことか?』

「ええ。パパの中では15歳で止まってるんでしょうけど。・・・結婚して、子供が産まれて、孫ができて。私は私の人生をキチンと生き抜いてやったわ。パパの分まで。パパのおかげで通り魔にやられなかったから、こうやって生命が繋がったんだよ?」

『・・・美結。』

 色々な事を思いだしているのだろうか。美結の声は震えていた。

「私、天寿を全うして、神様を名乗る爺さんに会って。ソイツからパパに会えるって聞いた時、本当に嬉しかった。私の人生最大の後悔はパパを死なせた事だし、これで守ることができると思った。だけど、パパ。・・・なんでゴ◯ブリみたいな動きをする日本刀になってるのよ!」

『それの明言を避けてたのに言いやがって!俺だってこの見た目はどうかと思ってるが、なりたくてなった訳じゃねぇ!』

 こうして美結の時間感覚からして80年振りの親子喧嘩が勃発したのだった。


 不毛な口喧嘩の後、俺達は真面目に情報交換を始める。

『じゃあ、爺様が俺の家族を全員転生させたって言ってたのか。』

「爺さんはそう言ってたよ。私の他にママや智樹も転生してるって。私は転生したばっかりで、この森?に放り込まれてさっきの熊に襲われたところだったの。」

『街にでもやればいいだろうに、最初からこんな森をスタート地点にするとは、あの爺様は・・・。』

 大方、近くに転生させた方が俺が喜ぶだろうとか、思ったんだろうな。あの爺様は。これで美結が死んでたら、本気でどうにかしてあの爺様を叩き斬りに行ってるところだわ。

「それで、この人?はパパが、使ってたキャラクターになるのね」

『ああ。たぶんな。だが、レベル200だったはずなんだがな。・・・そういえばさっきレベルが上がってたな。』

 美結の方を見れば、その頭上にはレベル4と表示されている。レベル1が雑魚とはいえレベル80の敵を倒したんだからもっと上がって良さそうなのに、IO(アイオー)をもとにした世界だからかレベルアップが渋いな。俺の方は・・・


『ステータス』

名前:北御門 智

種族:日本刀

レベル:4

武器名:錆びた刀

銘:天暦981年 ムラクモ作

状態:錆(重度)

攻撃力:203

強化値:10

耐久力:44/250

SP:6 new


 SP?なんか見慣れない欄が増えてるな。スキル解説の時と同じようにタップする事を意識してみる。


『SP』

レベルアップの度に増加します。消費する事で基礎攻撃力または耐久力を上昇させるか、スキルを獲得することができます。


 ふむふむ。レベル4で6って事は、1レベルアップにつき2ポイント増えるのかね。

 1ポイント消費で攻撃力は2、耐久力は5増えるのか。おっ。耐久力上昇は現在値も増加するみたいだな。緊急時用にSPはとりあえず取っておくか。

 スキルは・・・数が多過ぎるし、SPも全然足りないから見るのは後にしよう。


「パパ。ステータスって念じればいいの?」

『ああ。俺の場合はそれでステータス画面が開いた。』

「あ。開いた開いた。・・・私、IO(アイオー)ってやった事ないからよく分からないんだけど、レベル4の割にはステータスが高いような??」

『そうなのか?ちょっと教えてくれないか。』

「色々書いてあるし、いちいち言っていくのも面倒く・・・あれ?なんか出た。」

 美結が何かを言いかけたその時、美結の正面に青いステータス画面が現れた。どうやら美結のステータスらしい。どれどれ?


名前:フェイ・ウェイ(北御門 美結)

種族:エルフ

レベル:4

称号:北神一刀流(開祖)

状態:正常


『・・・ちょっとまて!北神一刀流(開祖)ってなんだ!?』

 愛娘になんか変な称号が生えてるんですけど!

「・・・あはは。あんまり知られたくはなかったんだけど。パパが通り魔に殺された後、私思ったんだ。私が通り魔を倒せるくらいに強かったら、パパは私を庇って死ぬ事は無かったって。」

 頬を掻きながら語る美結は照れくさそうにしていたが、段々とその目に険しさが宿っていく。

『通り魔が悪いんであって、美結は悪くないんだぞ?』

「それは色んな人に言われたし、パパも私の事を責めないだろうとも思った。実際、今そう言ってくれたしね。」

 美結はニコリと微笑む。

「だけどね。私は自分自身が許せなかったの。当時の私はただのオタク気質な小娘だったけど、パパが殺されてからしばらくして実戦的な事で有名な剣術道場に通い始めたの。そうしたら、才能があったんだろうね。1年後には道場で私に敵う人は誰も居なくなったわ。」

 美結は昔から一つの物事に集中するような子ではあったけど、なんか変な方向に振り切れてるような・・・。

「その程度じゃ満足出来なかった私は、色んな相手と()()()をして、勝ち続けていって、まあ、何やかんやあったんだけど、いつの間にか北神一刀流とか流派名をつけられてたのよね。多分、そのせいだと思うわ。」

『・・・それはまた。随分強くなったんだろうな。』

 恐る恐る聞いてみると。

「そんなに強くないよ?ハンドガンの弾を弾いたり、鉄を斬れるくらいで。」

『な、なるほど。それは結構なお手前で。』

 いつの間にか愛娘が剣の達人になっていたようです。何故こうなったし。

 まあ、いい。続きを見てみよう。なんか怖いが。


名前:フェイ・ウェイ(北御門 美結)

種族:エルフ

レベル:4

称号:北神一刀流(開祖)

状態:正常

HP:260

MP:191

攻撃力:244

魔法力:183

防御力:125

敏捷性:350


スキル:北神一刀流・極、威圧、見切、俊敏、瞬歩、超反応、気配察知、幻刃、逆境、気功、百戦錬磨、血祭、戦闘狂、暴走、家族愛


 うお。ステータス高っ!レベル30くらいのステータスはあるような?

 ゲームにあった命中と回避がなくなって、代わりに敏捷性というステータスができてるな。

 ゲームの時は明らかに攻撃が当たったように見えても、命中が低いとハズレ判定になってたけど、現実では流石にそうならなかったってことか?

 そしてスキルは、・・・明らかに不穏な奴があるんですけど!

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