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第14話 姉の信頼と妹?の信頼(一部限定)

数日置きに投稿予定と言ったが、アレは嘘だ。

連投するぜ!

 さて。そんなこんなでやって来ましたグルピン鉱山。IO(アイオー)時代にも勿論存在したマップだが、デネブリスの森とは決定的に違うことがある。

 デネブリスの森は最奥にいるボスを倒せばストーリーが進展するステージであるのに対して、グルピン鉱山は元々とあるクエストの為に準備されたイベント専用マップなのだ。

 要はサブイベント用のマップであるため、デネブリスの森ほど広くはない。ただそこは最序盤のダンジョンを迷いの森に魔改造する鬼畜なゲーム会社。複雑な造りでしっかり難易度を確保している。

 ・・・いやいや、ふざけんなし。サブイベントくらい簡単なヤツを作れや!と、全国のプレイヤーは思ったはず。少なくとも俺はそう思ったしな。

 因みに後に鉱石採掘用のマップとして常時開放されることになったんだが、サブイベント時の安全地帯に即死級トラップを配置するという悪辣さを発揮した鬼畜メーカーの毒牙に、何人ものプレイヤーが犠牲になったという。かく言う俺もその1人なわけだが。

「薄暗い場所ね。まあ、夜目は効く方だけど。」

 木枠が組まれた通路を進みながら、美結がポツリと呟く。

『鉱山内に魔物が出た後、鉱夫達は道具やら松明やらを放置して逃げたらしいからな。所々松明が消えてるから余計に暗いんだろうな。』

 魔物が出たらしい目的地までまだ距離があるため、のんきに話しながら歩いて行く。

「それにしてもパパ。錆び取りに鞘、良かったわね。」

『ああ。智樹様々だな。』

 言いながら、俺は改めて自分のステータスを見る。


『ステータス』

名前:北御門 智

種族:日本刀

レベル:12

武器名:錆びた刀

銘:天暦981年 ムラクモ作

状態:錆(中度)

攻撃力:381

強化値:10

耐久力:102/355

SP:22


 注目すべき所はやはり状態のところだろう。錆は変わらんが智樹の錆落としで重度から中度になっている。そして、その影響で一部スキルにも変化が訪れていた。


『脆弱(錆)』

 通常より耐久力が減りやすくなる。刀身は重度の錆により脆くなっている。錆の状態が改善されたため、少し頑丈さが戻った。

『なまくら(錆)』

 斬れ味が鈍くなっており、ダメージが激減する。刃が錆びればどんな名刀も斬れなくなる。錆の状態が改善されたため、少し切れ味が戻った。

『耐久力減少極大』

 刀身全体が錆に侵されているため、本来の耐久力はなく、壊れやすい状態。錆の状態が改善された為、少し耐久力が戻った。


 錆関連のスキルの最後に、それぞれデバフが改善されたと明記されたのだ。

 その影響だろう。攻撃力と耐久力が大幅に上昇している。特に嬉しいのは耐久力だな。だって、日本刀な俺にとっては耐久力=生命力だし。

 結果、最大値の上昇にあわせて現在値も上がり102まで上昇し、俺の人生、もとい、刀生最大の耐久力となっている。


『美結も智樹から新しい刀を貰ってたろ。』

「オリハルコンとミスリルの合金で作った刀で、配合とかはまだ研究中だから満足のいく出来じゃないと言ってたけどね。」

 今の美結は右の腰に俺を、左の腰に今回の依頼の報酬でもある智樹が作った刀を差している。智樹が作った刀は普通の刀とは違う輝きを宿した綺麗な刀身で、吸い込まれるような美しさの、それは見事な物だった。

 因みに鑑定では攻撃力550、耐久力500といずれも俺を上回る逸品だ。属性値を考えれば俺の方が実質ダメージは上だろうが、実数では攻撃力、耐久力ともに劣っており、耐久力は特に勝負にならない。

 ・・・く、悔しくないからな!錆が取れれば俺のが強いし!!


『しかし、智樹を1人で店に置いてきて大丈夫だったのか?』

 会話の途中、そんな話を美結に振ってみた。

「今朝の話、気にしてるの?パパ?」

『ああ。だって、不穏な話だったしな。』

 そう言いながら、俺は今朝の出来事を思い出していた。



 それは朝起きて、テーブルで美結と智樹が朝食を食べていた時のことだ。俺はテーブルの上に臨時で置かれた刀掛けの上に安置され、2人との会話を楽しんでいたんだが・・・。

「そういえば美結ねえ。この店の周辺に、いま居るかな?」

「・・・そうねぇ。この店に来た時には2人くらい居たけど、今は少し数が増えて4人ね。」

「僕じゃはっきり分からなかったけど、やっぱり居るんだ。ありがと、美結ねえ。」

「ん。」

 美結は自慢げに頷いている。

 急になんだ?何のことか俺には分からなかったが、2人の間では通じてるようだ。

『なあ、一体何の話をしてるんだ?』

「最近、僕の店の周辺で変な奴がウロついてるみたいでさ。敵意のある奴はいるのか美結ねえに確認してもらったのさ。」

「向こうにいた時に色々あったからか、いわゆる気配を探るのが私、得意なのよ。特に敵意がある奴は見逃さないわ。」

『ってことは、今ココは敵意のある集団に囲まれているって事じゃねぇか!』

「そうだね。」

「そうね。」

 俺の指摘に食後のお茶を啜りながら答える2人。緊張感ねぇな。俺が死んだ後の世界(修羅の国)に慣れすぎだろ!

『早く逃げた方がよくないか?あと、心当たりはあるのか?』

 俺の問いかけに対して心当たりの返答はあったものの、前半部分については以下のとおり全否定された。

「どうせこんな下らない事をしてくるのは、売店の件で嫌がらせをしてくる様な奴。つまり鍛治士組合の組合長でしょ。逃げる必要なんか無いわ。襲ってきたところを叩きのめせば良いだけだし。」

「流石美結ねえ。鍛治士仲間から組合長がまた何か企んでるとは聞いてたから、その推理は合ってると思うよ。そうだね。襲ってきたら色々吐かせて組合長にはご退場願おうかな。折角穏便に済ませようと思ったのに。」

・・・智樹さんや。穏便にって、昨日の夜、最終的にヤルのは構わないとか言ってなかったっけ?



 とまあ、癒し枠のはずの智樹の黒い部分に若干ビビった後、やはり心配なので襲撃に備えて残ろうと提案したが、それは美結だけでなく智樹からも却下された。「美結ねえが僕1人で大丈夫と判断して依頼に出掛けるんだから大丈夫!美結ねえのことを信じてるから。」と笑顔で言われたら引き下がらずをえなかった。

 姉を信頼する智樹は可愛いなぁと思ったのも束の間、「こと()()()()()()()、ね。」とボソリと呟いた智樹の目は昏かったから、昔何かあったんだろうな。

 その時の美結?智樹の、美結ねえを信じてるから+笑顔のコンボにやられてうわの空で、何も聞いてなかったな。


『襲撃があるかもしれない中で残していくんだ。不安にもなるだろ。あんなナリにもなってるんだし。』

「パパは心配し過ぎよ。智樹はアレでも結構強かったんだから。」

『ん?美結と比べて上達しなかったから、自衛程度の力を身に付けて武の道を諦めたとか智樹は言って無かったか?』

「パパは話を真に受けすぎよ。私が最初に行った剣術道場で、私が辞めた時に2番目に強かったのは当時中学生だった智樹だし。」

『は?』

 意外な話に思わず呆けた声が出る。

「私を除いて、私が知っている中で2番目に強いのも智樹だしね。鍛治士なら剣の扱い方を知らなければならん!とか言って、40超えたあたりで学び直してたわ。」

『な、なるほど。ところで1番目は誰なんだ?』

「ママに決まってるじゃない。」

 ・・・なんとなくそんな気はしたが、操さんも強いんだ。今から再開するのが楽しみのような、怖いような。

 将来出会うであろう操さんに思いを馳せていると、いつの間にか目的地に着いたらしい。

「パパ。アイツじゃないの?暴れている魔物って。・・・ってロボットじゃない!」

 美結の声に目を向けると、大きめの鉱床でもあったのか広く高く削り取られて部屋のようになった空間に6本の腕を装着し、4本の足で動き回る一体のロボットが、その4つのレッドアイでこちらの方を見ていた。

『ちっ!やっぱりアシュアムかよ!』

 見覚えがありすぎるそのフォルムに俺はつい舌打ちをする。何故ならば、そのロボットはIO(アイオー)の数あるサブイベントの中でも最狂と謳われた戦闘人形(バトルマシーン)で、俺が何度も挑んだ相手だったからだ。

冒頭は調子に乗って失礼しました。

このお話の今回の更新は後1、2話で終わりの予定ですので、良かったら最後までお付き合い下さい〜

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