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第10話 ロリっ子転生

ロストデウスの方がひと段落したので、こちらも久しぶりの更新をしたいと思います。数日おきに更新予定です。

 デネブリスの森を抜け、ようやっとピオニアの街にやって来た俺と美結だったが、街に入って先ずした事は、宿屋を確保することでも、開拓者(パイオニア)と呼ばれているプレイヤーが依頼を請けるリメス辺境伯開発局を訪ねることでもなく、鍛冶屋を探すことだった。何故かというのはステータスを見れば分かる。


『ステータス』

名前:北御門 智

種族:日本刀

レベル:12

武器名:錆びた刀

銘:天暦981年 ムラクモ作

状態:錆(重度)

攻撃力:211

強化値:10

耐久力:2/255

SP:22


 注目して欲しいのは耐久力だ。メタルゴリィと最後の攻防をする直前にSPを消費して11になっていたはずの耐久力が、たったの2になっていたからだ。

 ・・・耐久力2とか少な過ぎだろ。タンスの角に小指をぶつけたら死ぬんじゃないかってレベルじゃないか?まあ、日本刀な俺にはぶつけるべき小指がないがな。触手ならあるけど。

 ・・・触手ならあるって台詞に違和感しか感じないな。


 最後のあの攻防。メタルゴリィへの一撃の際、美結は全力では攻撃出来なかったらしい。理由を聞いたら、経験上これ以上は日本刀()が壊れるような気がしたから、だとか。実際耐久力は2になってたわけだし、美結の感覚は正しかったわけだ。


 そんなわけで俺と美結は鍛冶屋を探している。IO(アイオー)の時と比べてピオニアの街はかなり規模が大きくなっているようで、元々怪しかった俺の脳内地図は全く役に立っていない。

 これも現実化した影響かね?人の手が入らないデネブリスの森と違って、人の影響下にある街は変化が大きいってことかな。10年も経てば街の景色なんてちょこちょこ変わるしなぁ。


 道行く人に質問しつつ本日5軒目となる鍛冶屋に辿り着いた頃には既に日が暮れていた。ピオニアの街に到着したのは昼過ぎくらいだったんだがな。

 IO(アイオー)の時は鍛冶屋は一軒しか無かったが、見たところ軽く数万人は超える人口があるように見えるピオニアの街に鍛冶屋が一軒しかない訳がない。

 因みに今までに巡った4軒の鍛冶屋からは錆びた俺を見るなり速攻で直せないと匙を投げられている。

 職人ならもっと意地を持って不可能を可能にするくらいに熱くなれよ!そう思ったが、現実には某国営放送の某番組のような職人気質な人間はなかなかいないらしい。


「ねぇ。パパ。日が暮れてきたんだけど、何処か泊まれるところを探した方が良くない?鍛冶屋を見つけたのはいいけど閉まってるみたいだし。」

 2〜3日は休まずに動けるらしい美結も、安全に休めそうな街に来てまで無理はしたくないのだろう。茜色に染まる空を横目に入り口に下げられた閉店の看板を指で突っつきながらそんな事を言ってきた。

『宿泊場所については検討はついている。鍛冶屋は見たところ閉まったばかりみたいだし、ちょっとノックしてみてくれないか?』

「わかったわ。」

 扉は閉まっているが、窓から中の明かりが漏れているため、誰かがいることは確実だ。道ゆく住人の話では少し前に開業したこの鍛冶屋はかなり腕が良いらしく、置いてある武具も一級品らしい。今までの鍛冶屋よりもかなり期待出来るのではないかと思うと俺は我慢出来なかった。


 美結が右手を軽く振り、ドアをノックする。すると、軽く叩いたように見えたその拳はかなりの力が入っていたらしい。頑丈そうなドアはミシミシという音を立てており、今にも壊れそうだ。

 俺がビックリして固まっている間にも美結はひたすらにノックを続けていく。蝶番のあたりの壁にヒビが入り、ハッとした俺が美結を止めようとしたその瞬間。バタンと音を立てて勢いよくドアが開き、

「閉店だって見てわからないの?うるさいよ!」

 明らかに怒った様子でドワーフの女性が大きな声を上げてきた。短く切り揃えられたエメラルド色の髪から覗くルビーのように赤い瞳は釣り上がり、怒り染まっている。

 

 ところで、一言にドワーフと言っても漫画やゲーム毎にそれぞれ設定は異なっている。IO(アイオー)の世界のドワーフは男性は身長150センチ以下の筋肉質な体型をしており、顔にはサンタクロースのような立派な髭を生やしているスタンダードなザ・ドワーフといった佇まいだ。

 対して女性の方は身長120〜130センチくらいの華奢な体型で顔には髭も生えておらず童顔の可愛らしいタイプの奴だ。つまり何を言いたいかというと・・・


 そのドワーフの少女は明らかに怒ってはいるが、見た目は小学校低学年の美幼女がぷんぷんと怒っているだけであり、何というか全く以って迫力が無い。

 まるで小さなチワワから盛んに吠えられているような感覚と言えばお分かりだろうか。

 そんなことより、その少女の顔には見覚えがあった。IO(アイオー)で俺が使っていたサブキャラにそっくりなのだ。ふとその頭上に目をやると・・・


名前:アーチェス・パドロック(北御門 智樹)

種族:ドワーフ

レベル:45


 北御門家の長男、智樹の名前がハッキリと記載されていたのだった。

 ・・・いやいや、智樹の奴。なんでロリっ子になってんだよ!

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