プロローグ 通り魔は突然に!
ちょっとしたネタを思い付いたので、新作を書いてみました。勢いで書いたので、設定は定まっておらずガバガバなのですが、生暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
今回はごく短期間での投稿を予定しております。話もまだまだこれからというところで、とりあえず終わる予定ですが、その後は不定期更新するつもりなので、よろしくお願いします。
なお、本作が面白いとか、気になられた方は拙作「ロストデウス〜神去りし地にて〜」の方もぜひご覧頂けたら幸いです。
それは突然だった。
いつもの何でもない日常。何でもない週末の買い物。妻と子供2人、俺を入れた家族4人で自宅からすぐ近くのショッピングモールにやって来たのだが、突如として野生の通り魔が現れたのだ。
逃げ惑う人々の悲鳴がする方向へ目を向けると、血走った目でアーミーナイフを振り回す男が一人。何故か真っ直ぐに俺達家族の方へ向かってくる。
愛娘に襲い掛かろうとしたソイツの前に当然俺は立ち塞がった。
「美結!危ない!!・・ぐっ!」
男が持ってたアーミーナイフがズブリと俺の右胸に突き刺さる。クソ痛ぇ!よく小説で焼ける様に痛いって言うが、自分で体験するもんじゃねぇな。だが、刺されて痛いで終わったら、娘は、家族は守れない。
「おらぁ!!」
多分人生最後となる気合いを入れて、全体重を乗せた右拳をカウンター気味に通り魔のアゴにぶち当てる。ゴリっというアゴ骨を砕く感触を感じ、俺は地面に倒れ込んだ。
「パパ!パパァ!しっかりしてよ、パパ!」
倒れ込んだ俺に泣きながら美結が縋り付いてくる。
ゴツいアーミーナイフは右胸を完全に貫通し、倒れた俺の身体からは大量の血が溢れ出していた。
あぁ。こりゃ死ぬな。助からねぇわ。せめて最期に何か言い残したいが、そもそも口からは言葉の代わりに血しか出ない。
「パパ。お願いよ。魔法少女ミルキィクィーンの限定生産フィギュア〜アナタにメロメロver〜をあげるから、目を覚ましてよぉ!大好きだったでしょ!」
ちょっと待て。愛娘よ。確かにそれは大好きだ。だが、死に間際のパパの精神に何故トドメを刺す。40過ぎたゴツメのオッサンが低学年女子向けアニメキャラのフィギュアが好きとか知られたら周りからドン引きされるやん。パパにも世間体というものがだな。って、もう死ぬんだったわ!
愛娘にゆっさゆさと身体を揺らされ、しょうもない事を考えながら、俺はとうとう力尽きる。俺こと北御門 智。享年43歳であった。