21/34
――幕間―― 君を思う
僕を呼ぶ君の声が、遠ざかっていく。
懸命に君に手を伸ばしても、届かないんだ。
懐かしい香りに包まれて、僕は眠る。
早く目を覚まして君を迎えに行きたいのに、瞼は重く、身体は動かない。
僕はここだよ。
愛する君への思いを胸に抱いて、彷徨っている。
あの日君と聞いた音に包まれて。
光に透ける柔らかな髪。
海のように潤んだ瞳。
眩しい笑顔。
君というすべて。
愛している。愛しているよ。
君を抱きしめたい。
君の涙を拭ってあげたい。
だけど、今の僕には何もできない。
もう一度君に会えたなら、きつく抱きしめて、もう二度と悲しませないと誓うよ。
読んでくださり、ありがとうございます!
次回はまた本編に戻ります。
よろしくお願いいたします!