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いいねを押しただけなのに……。

作者: ありま氷炎

フィクションです。

ツイッターで、あるツイートを見て浮かんだネタです。




私はおっさん、はげ専科だ。

しかしくたびれたおっさんは駄目。

しなりとした渋いおっさんが好きだ。しかも頭部が薄いとさらに大好物だ。


そんな私の好みを一心に集める人がいる。

ロンデルド・ソーロンだ。

彼は某国の大統領であり、時折検索しては、その麗しい姿にうっとりしている。


ある日ツイッターを見ていると、その国の大使館のツイートが目にとまった。

なんと、大統領の私生活のプロモーションビデオらしい。

私は周りをちょっとだけ気にしながら、動画をクリックした。


彼のホリディの過ごし方で、なんとまあ、健全な内容だった。

当たり前だ。大使館なんだし。

スキーをしたり、泳いだり、器用な方だなあとますます憧れを強めて、他の人はどんな風に思っているのか気になって、コメントを見ていく。


褒めているのが多いなあ、やっぱりかっこいいもんね、と見ていたら、

一つ……。


やべー。ロンデルト、フリーフじゃん。


「ちょっと、フリーフって!」


 頭の中で子ども番組のマスコットでありながら、冬はスキー、夏はジェットスキー、スカイダイビングになんでも挑戦する萌えキャラが浮かぶ。

 私の中で、ロンデルト大統領とフリーフが被り、気がつくと「いいね」を押していた。

 でもちょっとだけ、一国の大領領と日本の萌えキャラを一緒にしちゃいけないんじゃないかと、少しだけ思った。


 ☆


 【悲報】フリーフ引退!


  2時間後、寝る前にスマホでツイッターを見ていたら、そんなニュースが飛び込んできた。 

  フリーフは私が生まれる前から活躍しているキャラなので、びっくりしたが、ニュース系のアカウントではどこでも取り上げていて、事実らしい。理由はなんだろうとググってみたけど、中の人が年取ったとか、視聴率が悪くてキャラを全新するとか、そんな噂みたいなものしかひっかからなかった。

 フリーフのことなんて、普段考えないし、どうでもいいかと思ってそのまま寝てしまった。


 ☆


 「さむっつ」


  そういえば10月に入って、めちゃめちゃ寒くなったモンね。

  目を閉じながら布団を被りなおそうとしたけど、布団らしい感触はなかった。代わりにベッドが何かごつごつしたものに変わっていて飛び起きた。


「おはようございます」

「ロ、ロンデルト?!」


 そこにいたのは、私の好みを一心に集めたあの人。

 ロンデルト・ソーロンで、慄いた。


「まさか、気がつかれるとはおもいませんでした」


 ロンデルトは、溜息をつきながら流暢な日本語を話す。


 ……偽者?だよね?

 だって、ロンデルトは日本語話せないはずだし、大体一般市民の私が会えるような人じゃない。っていうかめっちゃ寒いけど、ここどこ?!


「あ、説明してあげます。ここは私の家です」

「は?!」

「正体に気がついた人はすべて収容しました」

「正体?!」


 何のこと?

 

「あなたたちのおかげで、フリーフは引退せずにはいられませんでした。私がずっと演じていたフリーフを!」

「え?!」

 

 今なんて言った?この人。

 っていうか、やっぱりロンデルトじゃない。

 フリーフの中の人か!

 でも……ちょっとまて。


「秘密を知ってしまったら、わかりますよね?」


 偽ロンデルト、多分偽、はテレビやネットでよく見る不敵な笑みを浮かべた。


 やばい。

 こいつ、殺す気だ。

 だって、この国の人たちって気性あらいし、ウォッカ好きだし。やばいよ!

 意味わからないけど、殺される!


「殺そう、と思いましたが、私の中のフリーフが止めるのでやめておきます」


 フ、フリーフありがとう!


 私はあの緑色のキャラに心の底から感謝した。

 

「その代わり、あなたたちには今後私のスパイとして活動してもらいます。そのための訓練をしますから、覚悟してください。大丈夫、フリーフができるのだから」


 いや、フリーフ、関係ない!

 

 そうして、私と日本人数人。

 あの、『やべー。ロンデルト、フリーフじゃん。』をぼやいた本人、そしていいねを押した4人は、日本国からいなくなり、某国のスパイとして活躍することになった。


 いいねを押しただけなのに、とんでもない人生を送ることになってしまった。


(おしまい)  

 




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