【第一章】第十三部分
「まずはシャツを脱がしたこれが男子の乳首、かわいいですわ。右をちょっとつまんでみましょう。綿密に検診ですわ。」
「びゃあ!」
「あ、湖線ちゃん、ズルい。わたしもやる~。」
光葉は左側に進撃した。びゃあ!
乳首をつままれる度に、鰯司は腰を浮かせた。
「「おへそのカタチ、おしゃれ~。」」
歓喜のふたりはへそを攻略し、鰯司の腰はアップダウンした。
さらにふたりはディンジャラスゾーンである白いブリーフに行軍した。
好奇心溢れる少女時代。虫を触ることができるのはこの年代までである。芋虫がいますわ。ホントだ。
「伸縮自在だよ。これが男の子のシンポジウムだね。」
「それを言うならシンボルだよ!」
「あらあら自分で憲法第一条、男子の象徴を宣言しましたわね。」
「鰯司は自己主張できるようになったんだ。エライよ。」
「もうやめて!」
「「お医者ゴッコって楽しい!」」
「お医者ゴッコはコワイ!」
以後、鰯司は病院が大の苦手になった。
畳の部屋で、卓袱台に3人が座っている。
鰯司はお医者ゴッコを思い出して警戒を始めた。具体的にシャツのボタンの留め、ズボンのジッパーの締まりをふたりにわからないように、こっそりとチェックした。鰯司はやっぱり自分に戒厳令を出したのである。
ふたりは鰯司の手の動きを横目でストーキングしていた。
そんな異様な雰囲気を払拭するように真面目に勉強に集中しようとした。しかし、内実は多感な中学生。3人とも非常にナーバスになっていた。
湖線は鰯司の現在の下半身がどうなってるのか気になっていた。
今は社会科の勉強中である。鰯司は教科書のあるページを声に出して読んだ。
「衆議院は、過半数で法案可決する。」
「下半身がホウケーですって?」
「そんなこと、言ってないよ!」
鰯司は別のページを読んだ。




