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【第一章】第十一部分

翌日朝、鰯司の下駄箱には2通の手紙が入っていた。

「なんだこの白い紙は?も、もしかしたら、人生初のラブレター!?それもツートップの二人から。書いた人は誰かわからないけど、きっと美少女に違いない!」

「放課後、校舎裏に来てほしいですわ♥」「待ってるから来て、放課後の校舎裏にね♥」

♥マークは、気合いの入った真剣モードを表現したものであるが、ラブレター作成歴ゼロのふたりは使い方を誤っていた。

鰯司は送り主が誰かわからないまま、悶々として授業の内容がまったく頭に入らなかった。フツーはふたりから同時告白シチュに遭遇すれば修羅場必至であるが、そんなことが頭に及

ばないほど、テンパっていた。


そして件の放課後になった。

「「「えええ!?」」」

一堂に会した3人は他のふたりを見て、阿呆のように口をあんぐりしていた。

「湖線さん、光葉さん!?」

「どうして光葉がこんなところで告白しようとしてますの?」

「それはこっちのセリフだよ。湖線が鰯司にコクるって、どういう風の吹き回し?」

「どうして、ふたりが僕に告白してくるの?これもイジメ?ガクガク、ブルブル。」

「これは鰯司さんへの告白なんかじゃありませんわ。ただの使用人使用権の行使ですわ!」

「わたしが鰯司にコクるとかあり得ないよ。単なる下僕への命令だよ!」

「そ、それはそうだよね。ごめんなさい。」

心なしか、湖線、光葉の頬は薄く赤くなっていた。

「では、使用権の内容を申し渡しますわ。」

「じゃあ、命令を言うよ。」

「ワタクシと、」「わたしと、」「「 同じ高校に行くこと。でも偏差値が足りないので、一緒に勉強すること!」」

「勉強っていったいどこでするの?」

「ウチは、無関係生物男子・侵入禁止ですわ。」

「うちは狭い。それに男子が入ると汚染される。」

ということは、僕の家でってこと?」

「「そういうこと!」」

「僕の家の近くの公園とか。」

「公園で野外プレイとか鰯司さんは過激な歌劇団ですわ!」

「鰯司、犬とか使うつもりなのか?」

純情可憐な女子中学生はソンナことを妄想する動物である。


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