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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【短編】マスクが2個届いたよ。

作者: 豊十香

「よしよしよしよし。やっとマスクが届いたぞ。どれだけ待ったことか。これだよこれ!当たり前だけど新品だ。良いねぇ〜。」


じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。

持ち主はじっくりと舐め回すかのように見つめた。


「だけどいざ届いてみると、う〜ん・・・これどうしよう。まぁ、順番に1個ずつ使うか?でもなぁ〜、まだ向こうにボロボロだけど1個残ってるしなぁ〜・・・。まいっか!あっちにあるのはボロボロだから、この際捨てちゃおう。そしてこの新しいのを使えばいいかな。じゃ、こっちの古いのはゴミ箱にポイっと。」


ゴサッ。

マスクはグシャグシャに丸められてゴミ箱に捨てられた。


「よし、じゃあこの新しいマスクを使うとするか。でもなぁ〜、普通に使うんじゃ、なんだか面白くないよなぁ〜。う〜〜〜ん。何かないかなぁ〜。」


チッチッチッ。

静まり返った部屋の中で、時計の針の音だけが鳴り続けた。


ドサン。

ゴミ箱の途中で引っかかっていたマスクが底まで落ちた音がした。その音をきっかけにでもなったかのように。


「よしっ!ひらめいたぞ!このマスク2個を戦わせてみよう!」

理解に苦しむ発想である。


「そうと決まれば早速バトルスタート!えいっ!えいっ!えいっ!」

ある意味一人遊びとでも言うのだろうか?2個のマスクをぶつけ合うようにして持ち主は遊びはじめた。


「えいっ!えいっ!えいっ!いいぞっ!いいぞっ!」

一体、何がいいのか?第三者が見たらそんなツッコミが飛んできそうだが、本人はこの遊びに没頭し、その勢いは少しずつ激しくなっていった。


「ていっ!やあっ!・・・・・!!!ありゃりゃりゃ〜。やっちゃったよ。こっちのマスク、耳のところがほつれてきちゃった。もう、届いたばかりなのに耐久力っていうのかな?無さすぎなんじゃないの!」

持ち主は文句をたれた。


「どうしよう・・・。せっかくのマスクなのに・・・。こうなれば、もういっそ取っちゃうか?えいっ!」


ビリッ!

持ち主は、マスクの耳に当たる部分を引きちぎった。耐久力がないとか言っていたくせに、自分で全部取ってしまうとは・・・。なんともメチャクチャである。


「ていっ!やあっ!・・・・・!!!」

結局、持ちヌシはまた戦わせはじめた。


「ていっ!やあっ!とりゃ!でいやぁっ!とうっ!はははははっ!何だか面白くなってきたぞ!楽しい!楽しいなぁ〜!」

えっ?何が楽しいの?えっ?ねぇ、何が楽しいの?と聞きたいくらいである。


「ていっ!やあっ!とりゃ!でいやぁっ!とうっ!・・・・・!!!ありゃりゃりゃ〜。やっちゃったよ。今度はこっちのマスクかぁ〜。どうしよう、口に当たる部分がボロボロになっちゃったよ。さすがに、さっきみたいに引きちぎるわけにはいかないしなぁ〜。なんか、このマスク本当に使えないなぁ〜。もっとちゃんとしたのなかったのかなぁ〜。」

さっきまであんなに楽しんでいたのに、今度は愚痴りだす。困ったものである。


「そうだ!縫っちゃえばいいんだ!我ながらナイスアイデアだなぁ〜!よし、そうと決まれば。」

そう言うと持ち主は部屋の端っこにある棚へと向かった。


「ここら辺に、いつも使うお裁縫セットがあったはず・・・。あったあった。これさえあればもう大丈夫。」

そう言うと持ち主は裁縫道具から針と糸を取り出し縫いはじめた。


「ありゃりゃりゃりゃ。ちょっと失敗しちゃったけど、なんとか裂けた口の部分は縫うことができたかな。これならもう、口からウイルスが入ってくる心配もなし!せっかくもらったマスクなんだから大切にしなくちゃね。」

どの口が言う!と言いたくなるセリフである。


「よし!ではバトル再開!」

持ち主は懲りずにまた遊びはじめた。


「ていっ!やあっ!とりゃ!でいやぁっ!とうっ!ていっ!やあっ!とりゃ!でいやぁっ!とうっ!」

吐き気がするほどの遊びは、それから1時間続いた。


「ありゃりゃりゃ、両方ボロボロのクタクタになちゃったよ。しかも2個とも伸びきっちゃってるし。もらったばっかりだけど、もうこれ以上修繕もできなさそうだから、いらないや。」

そう言うと持ち主は2個のマスクをゴミ箱に押し込んだ。


「ゴミ箱にポイ!」


ドサッ。

ドサッ。

マスクはゴミ箱に捨てられた。


コンコンコン。

兵士が王の間の扉を叩いた。


「王様失礼いたします。そろそろゴミ箱にゴミが溜まっている頃だと思いましたので。」


「ナイスタイミングだよ!ちょうどゴミ箱のマスクをまとめて捨てようとしていたところなんだ。」


「隣の王から頂いたマスクはいかがでしたか?」


「いかがも何も、今回のマスクはボロすぎて、すぐに使えなくなっちゃったよ。」


「そうですか・・・。」


「僕が悪いんじゃないよ。すぐにダメになるマスクが悪いんだよ。まぁ、この後もまた、隣の王が僕のご機嫌をとるために新しいマスクをくれるでしょ。」


「そうですね・・・。では、私はこのマスクを焼却炉の方へ持っていきます。」


「うん、ありがとう。」




ズリズリズリ


執事は王様の部屋から合計3個のマスクが入ったゴミ袋を引きずり、屋敷の焼却炉へと向かった。


「おいおい。そんな重そうに持ってくるなよ。たかがマスクが何個か入っているだけだろ!今日はどんなのを持ってきたんだよ見せてみろ!」

そう言うと焼却炉の係は、兵士のゴミ袋を片手で取り上げ中を覗いた。


「今日は3個か。マスクかぶったままティッシュみたいにグシャグシャにされた人間と、かぶったマスクの上から耳をちぎられた人間と、かぶったマスクの上からマスクごと口を糸で縫われた人間だな。今日の王様は控えめだなぁ。」


「・・・。」


「おら、人間!もうすぐ新しいマスクが来るから港に取りに行ってこい。時間ねえぞ!」


「はい。」

兵士は、記憶や感情を消すための魔術が掛かったマスクを被らされた、奴隷という名の人間を王様へ届けるため、今日3度目となる港へ向かった。

<あらすじをちょっとご紹介>


「【短編】ピザ」


あなたは「ピザ」って10回以上言ったことがありますか?


小説界初(多分)!

「ヒジ」と言いたくなる物語。


彼は何で呼ばれたんだ?

彼は何をお願いされてるんだ?

彼は何でそこにいるんだ?


小さいことは気にしなくていい。


だってピザよりも、

人の方が温かいのだから。




「【短編】完全反材」


かつて、これほどまでに追い込まれた犯人がいただろうか・・・?


「犯人はお前だ!!!」


そんないきなりの推理ショーからはじまるお話。


犯人が犯してしまったミスとは一体・・・?

その全てが白日のもとに晒された時、

私たちはきっと犯人に対する見方が変わっているはず。

この犯人恐ろしすぎる。




「COFFEE BEANS」


見た目は紙袋!だけど完全無敵!

世界一の大魔法使いモカ。

そして、

世界一の剣豪を目指すバンプ。

世界一の武人を目指すロボ人。

何もかもバラバラな仲間たちと、

COFFEE BEANSという秘宝を探す、

笑いあり、涙ありの、

ハチャメチャ冒険活劇!



★「作者マイページ」はこの下にあります。

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