死体が埋まっている
女子高生の春子と桜子が桜並木の下を歩いている。
春子が満開に咲き誇る桜の花を見上げながら桜子に声をかけた。
「桜の木の下には死体が埋まっているって聞いた事があるけど、本当かな?」
「家の庭にある桜の木の下には沢山埋まっているよ」
「え! 嘘でしょ?」
「本当だよ。
番犬だったベスにポチにタロ、猫のタマとチマとトマ。
それに金魚と熱帯魚が十数匹ずつに、亀と蜥蜴が数匹ってところかな」
「ペットのお墓を桜の木の下に作っているのね?」
「そういう事」
「死体が埋まっているなんて言うから、ビックリしちゃった」
その春子の言葉に桜子がボソッと呟いた。
「私を裏切った堅二も埋まっているけどね」
「え?」
「ウウン、何でも無い。
それより走ろう、バスに乗り遅れると困るから」
春子と桜子は桜並木の下から走り去った。