表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

大変! みんな逃げていく!?

 宿のご飯が美味しかった件について。

 ありがとうございます。

 これからも是非泊まりたいと思います。


 そんなこんなで翌日。


 私はさっそく冒険者ギルドにやってきていた。

 何しに来たのかだって? 依頼を受けるために決まっているでしょう。むしろ依頼以外に何しにここに来るのさ。


 さてさて、どんな依頼があるかなー?


 …………?


 ……討伐? 依頼しかないんだけど…


 …ふっ…ふふっ……ふっふっふっ…


 無理です☆


 …ちょっとー、ルミナさーん。ルミナさまー。どこにいますかー?

 …あ、いた。


 「どうしました?」


 昨日と同じく何故か誰もいない受付にルミナさんはいた。


 「依頼が討伐しかないです…死にそうです」


 受付のテーブルに突っ伏して困ってますアピールをしてみる。


 「ここ元々採取依頼が少ないんですよ。近場にそういった物がないので。それと、3日に1度商人が大量に仕入れてくれたりするので、さらに依頼が少なくなってます。なので討伐くらいしかないんですよね」


 うえぇ…まじですか。初心者は一体どうすれば良いのさ。ハードモードに呪われてるんじゃないの私って。


 「みなさんパーティ組んで討伐に行ってますね」


 「私みたいな戦った事がない子に救済案はないですか」


 「ないです」


 うわ、笑顔で言い切りやがった。素敵な笑顔をありがとうよ。こんちくしょー。


 「うぅ…武器すらない、こんなか弱い超絶美少女な私がソロで討伐とか無理ですよぉ…」


 「メイカ様…何故ソロで行こうとするのですか。パーティー組みましょうよ。パーティー」


 「…? 私でも組めるの?」


 もしや、ちょっとだけ希望が見えてきたんじゃ。

 そう思ったのもつかの間、ルミナさんの笑顔が急に曇り、顔を横にむけた。

 ……ん?


 「……たぶん」


 「自分から言い出したのに!?」


 期待させるだけさせて落としてきやがったよこの受付嬢! 言い出しっぺのくせに!


 「と、とりあえず、ここにいる冒険者の皆様にパーティー組んで依頼行ってくれる人を探すしかないですよ。もしかしたら、組んでくれるかもしれないですし」


 「丸投げかいな!?」


 なんて無責任な受付嬢ルミナだ。結局自分で探すんかい。

 ……ふっ、まぁ良い。

 ここはこの私の華麗なる話術で1発で成功させてしんぜよう。


 今の時間はそんなに人はいないけど、まぁ1発で決まるだろうからいいかな。

 といっても、男だけだと怖いから出来れば女の人がいる所がいいんだけど…。


 …よし。あそこの男2人と女1人のパーティーらしき所に行こう。


 良い迷花。最初が肝心よ。出来るだけ丁寧に愛想よく、もう逆に向こうからパーティー組んでくださいって言ってくれる感じになれば勝ちだよ。


 「……い、っち、るぞ」


 「お…いや……ぞ」


 「……」


 およ? 気のせいかな? 私が向かってるパーティーの人達が、私を見ながらひそひそと話し合ってるような…?

 てか、女の人涙目になってない? めっちゃ首を縦に振ってるけど…喧嘩かな?


 …よし。パーティーを組ませてもらうんだ。仲直りしてもらえるよう仲介しよう。


 「すいませーん」


 「ごめん!」


 「よし行こう!」


 「まだ死にたくないんです!」


 …………え? 


 「あ、あの!?」


 再度呼び掛けたら、大声で謝られて3人ともギルドから出ていってしまった。


 …………ぐすん。


 私が一体何をしたと言うの…


 チラリと、ルミナさんを見ると、ポカーンとした感じで私を見ていた。

 とりあえず、ルミナさんの所に行く。


 「…どう、なってるんですか……」


 「え…いや、私に聞かれても……むしろ、メイカ様何かやったんじゃないですか?」


 「…何もやってないですよぉ!」


 うぅ…くそ。何もやってないはずなのに何であんなに全速力で逃げられたの……? 本当に何もやってないのに…


 「……もう1組当たってきます…」


 「あ、はい」


 …きっとさっきの人達は、少女恐怖症だったに違いない。今度は大丈夫。

 女の人いないけど、今度はあっちの男3人のパーティーらしき所に声かけてみよう。


 「あの」


 「すまない!」


 「入れてあげたいんだけど、本当ごめん!」


 「俺、もうすぐ好きな人と付き合えそうなんだ。だから、まだ…!」


 声をかけた瞬間、各自一言言ってギルドから出ていった。…あ、最後の人は頑張ってね。うん。


 …………


 ルミナさん!? どうなってんのこれぇ!? なんで、みんな逃げていくのさ! おかしいでしょうが!!?


 「知りません! 本当に知りませんよ私!?」


 「…くそ! こうなったら、片っ端から行くしかない……!」


 次の人!


 「悪い!」


 はい次!


 「…逃げるが勝ちってな!」


 なんでやねん!


 「……やめてくれ」


 なんかごめん。


 「俺はまだ死にたくない!」


 私だって死にたくないよ!?


 「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 やめて! 話しかけただけでパニクらないで!? 普通の女の子だよ私!?


 「……」


 生きて! お願い生きて!? かみさまぁぁぁぁぁ!!?


 ……と、いうわけで全滅です。


 「ルミナぁぁぁぁぁぁ!!?」


 「メイカさんは一体何をやったんですか! ギルド史上初の閑古鳥ですよ!? どうするのこれ!!?」


 「私が聞きたいよそんなこと!」


 受付のテーブルで泣く。

 どうなってんのこれ。

 私は悪魔か何かなの。

 ただの人間だよ。

 か弱い人間だよ。

 超絶美少女迷花だよ。


 「…はっ!? まさか、私が可愛すぎるからみんなから神々しく見えて、緊張して逃げてってたんじゃ……!?」


 「…っんなわけないでしょ!?」


 バン! と、ルミナさんがテーブルを叩いた。


 ……で、ですよね~。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ