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喧騒をちょっぴり添えて

 建物の中にはたくさんの人がいた。

 普通の人もいるが、ムキムキした大男に、見た目が、俺もう何人も殺ってるぜ? みたいな、格好をした怖い人。


 待って。なんか思ってたのと違う。

 まだ、ムキムキした大男はわかるよ? いろんな所冒険者するんだもんね? うんうん。わかるよ?

 でもさ、あれは違うと思うんだ。


 ……なにあのアサシンみたいな奴。え? あれどっちかって言うと、裏の世界の人じゃない? 表に出てきて良いの?


 なんかすごいわ。さすが異世界。想像の斜め上をいく。


 周りを見回すと、左側に木作りのテーブルと椅子があり、テーブルには料理とか、飲み物かな? 木で作られたコップみたいなのがある。

 酒場かな? 

 左側には、木のボードがあって、何かよくわからない紙がたくさん貼ってある。何人かの人がその紙を見てるけど、あれはなんだろう?

 前方には、受付らしき人がたぶん4人くらいいる。なんでたぶんなのかというと、2列だけ5、6人ほど並んでていて先がよく見えないから。左側の受付誰のいないのに、なんでみんなそっちいかないんだろう?


 あと、ここが冒険者ギルドで合っているかもしれない。だってほとんどの人、剣とか持ってるし。

 少ないけど女の人もチラホラ…うわ、あの人胸大きい。…それに引き換え私は……やめよう。虚しくなってきた。


 …たぶん、あの受付で登録とかするんだよね。


 「すいません。ここって冒険者ギルドであってますか?」


 「はい。そうですよ。どうなさいましたか?」


 「ここでカードを作ると身分証の代わりになりますと聞いたので作りたいんですけど、作れますか?」


 「はい。大丈夫です。確認のため仮の身分証のご提示おねがいします」


 スカートのポケットにいれていた身分証を受付の女性に渡す。

 どうするのか聞くと、ちゃんと正規な手続きで入国しているのか確認するためらしい。不法侵入の場合だと仮の身分証は持っていないため、どこに行っても身分証を作ることができない。


 「ありがとうございます。そうしましたら、こちらの紙に必要事項をお書きください」


 そうして、渡される紙とペン。って、これ羽ペンだ。生で見たの初めて。

 …ああでもどうしよ。この世界の文字わかんないんだけど。


 「それならば代筆しますよ」


 受付の女性に伝えると嬉しいことを言ってくれた。

 なんでも、子供から大人まで文字を書けない人は結構いるらしい。なので、よく代筆することがある。

 …この世界の学習機関どうなってんの。さすがに読み書きくらいは覚えさせようよ。


 「では、初めにお名前を教えてください」


 「迷花です」


 「メイカ様ですね。では次に……」


 たんたんと質問に答えていく私。

 さて、みなさん。お忘れではないでしょうか。

 私は自分の記憶が一切ないという事に。


 そう! つまり! 


 埋まったのは、名前だけである…!!


 「…えぇと…せめて年齢が分からないと……メイカ様、見た目が結構ギリギリでして…ちょっと待っててくださいね。ギルドマスターに聞いてきてみますので」


 そう言って裏に消えていった。…………その後、彼女を見たものは誰もいない………


 …いや、冗談だけど。


 まだかなまだかな。といった感じで少しそわそわしながら待つ。


 「…ぉい」


 それにしてもギルドマスターというのは、どういう人なんだろう。マスターだから、ここで一番偉い人だよね。

 

 ……はっ!? まさか門前払いとかされちゃう…!?


 「ぉい…!」


 …いやいや、大丈夫でしょ。さすがにそこまでは…ねぇ? 


 「おい!」


 優しい人でありますように。優しい人でありますように。優しい人でありますように。


 「っ…こんのクソガキがぁ!!」


 「おい! よせ! それだと…!?」


 「あぶない!?」


 …あぁもう。近くで喧嘩でもしてるのかな。うるさいなぁ。

 巻き込まれないようにしなくちゃ。


 ……グギッ


 「…ぐっ…ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


 「「「「はっ?」」」」


 ひぃぃぃ!? なになに!? 今の音!? なんかすっごい私のすぐ後ろで聞いてはいけない音が聞こえたんだけど…! もうやだ! 帰りたい! ……帰る家ないけど…!


 と、とにかく、絶対に後ろ振り向くのはやめよう。向いた瞬間絶対に捲き込まれ決定だよ。本当にもう喧嘩なら他所でやってほしい。


 「んもう! …一体何の騒ぎぃ? ここで喧嘩は…だ・め・よ?」


 ……ムキムキのボディ。肌をこれでもかというほど見せている衣服。まるで、自分は女だからと思っているからか、化粧された顔。

 そして…太陽に当たればピッカーンと、光るんじゃないかと言うほどの…頭。


 「…あら? そんな顔してどうしたのかしら? お・じょ・う・ちゃん?」


 「……は……」


 「ん?」


 「…は……はっ…………ハゲたオカマだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


 「……だぁぁぁれがハゲたオカマじゃこのクソガキがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!? ごめんなさい! ごめんなさい!! ごめんなさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ!





 背景:全く覚えてないけどお母様とお父様へ


 異世界にオカマがいました。……おねがいしますたすけてくださいなんでも…………!

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