外の世界にレッツゴー
念願の外に出ることが出来た私だったが、はっきりいうと、あまり状況は変わってはいなかった。
なぜなら、
「…ここどこぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
あの洞窟を出た先は、一面何もない大草原だったのだから。
拝啓:全く覚えてないけどお母様とお父様へ。
……助けてください。おねがいします。なんでもしますから。
だがしかし。そんなことを言っても誰も助けには来ない。ちくせう。
とりあえず、後ろを振り返ると、私が思った通り洞窟だったみたい。…あれ、でも何か看板らしいものが立て掛けてある。
し……が……こに……むる……ぜっ……に……ふう…ん……くべか……ず
よ…読めねぇ。
なにこれ。掠れすぎでしょ。ちゃんと定期的に来て掃除しなさいよ。
「…はぁ。どうしよ」
看板は放っておいて、草原の方を見る。
天気は雲一つない晴天。風は温かく心地良い。…こんな状態じゃなかったら100%寝てる。てか寝たい。
「…暗くなる前に人がいる所に行かないと」
今の季節が何なのかは知らないけど、冬だったらまじでやばい。凍え死んじゃう。
洞窟出ても、未だにハードモードってひどすぎじゃない? 私はイージーモードの方が良いんだけど……。
そんなことを思いながら歩く。
歩き始めて数分。よくわからないものを見つけた。
「…キノコ?」
綺麗に赤半分と黒半分に別れたキノコだった。
こんなキノコは今まで見たことがない。こんなキノコあったらテレビとかに出てきそうだけど。
こう、珍しいキノコを発見! みたいなタイトルで。
このキノコ取りたいけど、毒キノコだったら嫌だな。…あ、食べる訳じゃないからね? 持った瞬間に毒で殺されちゃうのが嫌なだけで…
あれ、触るだけなら大丈夫なんだっけ?
…なんか、怖いし取るのは止めておこう。
さらに歩く。
次は、ちょっとへこんだ場所を見つけた。しかも、
「水辺だ!」
そこまで大きい水辺ではないけど、別に気にしない。
私はただ手とか洗いたいだけだし。あの洞窟で壁をいっぱい触ったから汚れてるんだよね。
見た感じこの水は汚れてはいない。これなら綺麗になりそう。
バシャバシャと手を洗う。
冷たくて気持ちいい。ついでに肘辺りまで洗っておこう。
…そういえばこの水って、何か効能みたいなのあるのかな? 洗った場所がちいさくパチパチしてて、これが意外に気持ちいい。
回り見渡しても、どこにも看板ないし天然のやつなのかな?
そんなこんで、しっかりと洗った私は出発する。未だに手から肘までパチパチしてるけど、やっぱり効能みたいなのあるのかもしれない。ふっふふーん♪ もし、またここに来れる機会があったらここに来よう。
いやー、最初は記憶無くなってるし、変な洞窟で目を覚ますし、やっと外に出たと思ったら、一面大草原だったけど、今のところなんとかなってるし、結構気持ちいい水辺も見つかったしで、意外に悪くないかも知れない。
そんなことを思っていると、私にすこし大きめな影がさした。
さぁーと血の気が引く。冷や汗だらだらである。やばい。超やばい。
ただの影…! ただの影…! と、強く思いながら首だけ動かして後ろを見ると、
「キェ」
見た目がカメレオンに、なんか、ドラゴンぽい翼が生えた、ゾウさんサイズの生き物がいた。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「キエェェェェェェェェェェ!!」
拝啓:お母様とお父様
やっぱり助けてください。おねがいします。なんでもしますから。
美毒水
綺麗な色のした水。実は毒である。すこしでも触れると、ピリピリとしだして、それが徐々に体全体に行き渡る。最終的に心臓に行き、心臓が止まる。
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