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初パーティー

 「言っておくけど、私より前に出ない。迷子にならない。遊ばない。騒がない。ちゃんと約束は守ってもらう」


 「任せて! 死んでも守る」


 泣きついた結果、見事パーティーを組んでくれる事になりました。

 やったぜ。

 その子の名前はレイナ。まさかの銀髪で目が赤い可愛い女の子だ。

 さっすが異世界。さいこーだね! 


 そしてレイナちゃんは見た感じ私より小さい。10歳かそこらだと思う。

 そんなレイナちゃんに泣きつき、身を守ってもらう私。

 うーん…クズだ。


 だけど、何もしないわけじゃないよ!?

 たとえば、レイナちゃんが疲れたらマッサージしたり、喉乾いたら飲み物…持ってないや。お腹すいたら食べ物…持ってないや。暇になったら遊び道具でも…それも持ってないや。


 ……マッサージくらいしかすることねぇ……


 うーん。これは、他の人からクズとか言われても仕方ないな。うん。しまいには、報酬の1割くらいは貰うというクズ中のクズっぷり。

 クズ選手権があったら、どうどうの1位になる自信がある。


 「メイカ」


 「はい! 何でしょうレイナちゃん!」


 「…普通でいい」


 「あ、うん」


 敬意を持って接したらジト目で見られた。


 「明日からはどうするの?」


 「…一応、ギルドでまた声かけしてみるつもり」


 私がそう言うと、「そう」とだけレイナちゃんは言って前を向いた。


 私はね思ったんだよ。きっと今回みんなが逃げたのは何か別な人と勘違いしたんじゃないかって。

 だって、そうじゃなきゃあんな脱兎のごとく逃げるわけないじゃん。

 本当に私何もしてないのに。


 今度は、ただ話しかけるんじゃなくてもういっその事、抱きついて逃がさないようにしてみるか。…あ、女の人にね。男の人には、さすがにやらないよ。


 …よし。その作戦ならなんだかいける気がする。

 明日は私の勝ちだな。


 「メイカ止まって」


 そんな事を考えていたら、レイナちゃんが声を低くして言ってきた。

 どうやら敵さんのお出ましのようだ。

 私は何の依頼を受けたのか聞いてないから、どんなのが来るのかちょっとわくわくしてたりする。


 「そこで待ってて」


 レイナちゃんの言葉に小声で「はい」と言っておとなしく待つ。

 …あ、でも、どんなのか見たいからちょこっとだけ見てみよう。大丈夫。邪魔はしないから。


 …何もいなくね?


 こそぉーと、隠れ見してるけど、レイナちゃんは見えるんだけど敵の姿はどこにもない。隠れているのかな?

 それだったらよくレイナちゃん気づいたね。もしかして、結構強いのかな?


 そんな事を思いつつレイナちゃんの動向を見守る。

 …あ、動いた。


 レイナちゃんは上を見たかと思うと、手をある方向に伸ばす。

 すると、手に何か変な模様が現れて、そこから何か飛び出した。


 ……ビシャ


 …これは水の音?

 わずかにそんな音が聞こえ驚く。

 ……もしかして、魔法、というものなんじゃなかろうか。というと、あの変な模様は魔方陣?

 でも、どうして木に向かって撃ったんだろう?


 …だが、そんな私の考えはすぐに変わることになった。


 スウゥゥっと、何かが現れたのだ。

 …あ、あれって、私が前に水辺であったカメレオンもどきだ!


 ということは、透明になってたってことか。まんまカメレオンじゃん。

 てか、よくレイナちゃん気づいたね。私全然気づかなかったんだけど。


 カメレオンもどきは姿を現すと、口を開けて長い舌でレイナちゃんに攻撃する。

 レイナちゃんは、今度は両手に1個ずつまた魔方陣をだすと、片方は、長い舌に何か向かっていった。


 ……鎖だった。

 水色の鎖。それがカメレオンもどきの長い舌に巻き付き、その動きを止めていた。

 …すごい。

 純粋にそう思った。


 今度はもう1つの方からまた何か飛び出し、カメレオンもどきに向かっていく。

 カメレオンもどきはその攻撃から逃げようと、別の木に移ろうとしたが、


 「キエェ!?」


 慌てていたからか、自分の舌が止められているのを忘れていたみたいで、無様に下に落下していく。


 …あのカメレオンもどきアホだ。


 レイナちゃんもそう思ったのかなんかカメレオンもどきに冷たい視線を向けていた。


 しかも、追尾式なのか、空に消えるのかと思っていた、レイナちゃんの魔法が方向転換し、カメレオンもどきに巻き付いた。


 …鎖? レイナちゃん縛るの好きなのかな?


 そう思っていると、また魔方陣が現れ、半透明な何かが現れカメレオンもどきに向かっていく。


 …シュ…シュシュ……


 長い舌が切り取られ、カメレオンもどきは4当分にされた。


 そうして無事レイナちゃんは勝利したのだった。


 …てか、レイナちゃん強くない?





 依頼はあれだけだったみたいで、現在街に帰るため森の中を歩いている。

 あのカメレオンもどきはフライカメレオンというそうだ。ネーミングセンスわるっ。


 長い舌を切り取ったのは、あれが討伐した証拠にギルドに提出するものだったみたい。


 「あれ、ランクいくつなの?」


 「一応、イエロー。だけど、姿を消す能力があるから、レッド寄りのイエローみたいな感じ」


 ……ん!?


 「…レイナちゃんランクいくつなの?」


 「ブラック寄りのレッド」


 …うそやん。

 てか、ブラック寄りのレッドってどう言うことなの。


 「ブラックになる力はあるけど、あえてレッドに止まってる」


 「…え? なんで?」


 「…ブラックになると、国から呼ばれて王宮のお抱えになる。私はそれが嫌。権力持ってる人は嫌い」


 …な、なるほど。ブラックになるとそんな事になるのか。

 あれ、でもそんな事私に言っていいの?

 そう伝えると、


 「大丈夫。メイカはもう私のだから」


 …………ん!?

 今何か変な事言われた気がするぞ。


 幻聴だと思い、もう1回言ってと、伝えると、


 トンっ


 …と、軽く押された。

 バランスを崩してしまい、後ろにあった木にもたれ掛かるように、倒れる。


 「……え?」


 …なになに? 何が起こってるの!? 

 訳が分からなかった。


 「…最初は面倒だなって思ったけど、そういえば私ソロだし。そろそろ一緒に行動する人欲しかったから、ちょうど良い」


 「レイナ…ちゃん? 顔が近い…よ?」


 絶対絶命のピーンチ。

 痛いことされる訳じゃないと思うけど、なんかある意味やばいことされそうな雰囲気しかないよ。


 「…良いこと、教えてあげる」


 「ひぇ」


 レイナちゃんが私の耳元で囁く。

 ちょっとびっくりして、変な声がでてしまった。


 「…私…吸血鬼だから…これからもよろしく」


 カプリと、首筋に噛みつかれた。

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