Ⅰ《未確認後部領域》(2)
CAUTION
一 分かりやすい文章ではありません。文体も重めです。
二 容赦なく人が死んでいくスタイルです。苦手な方はご遠慮ください。
三 ある程度の航空軍事用語を知っていると楽しめます。それを前提としている部分もあります。
四 明らかに有り得ない設定が無数にあります。架空と割り切ってお楽しみください。
五 多少の差別的表現、汚い言葉が含まれます。敏感な方は閲覧を非推奨します。
六 筆者の軍事知識は並み以上マニア以下といった所です。四にも書きましたがご理解ください。
上記の六つをご理解頂ける方は是非お読みください。
警告音。
「レーダー反応。距離240。アンノウン。数は二。IFF照合…IFF反応なし。登録ありません。AWACSにデータ照合要請…リストなし。」
「反応がないなら敵として認定しろ。ターゲットインプット」
「了解。ターゲットインプット。ボギーツー」
「エンゲージ」
「エンゲージ」
晴臣は交戦を宣言する。スロットルレバーを押し込む。同時に高度上昇。エンジン推力が上がる。
IFFパネル操作。レーダーが探知した不明機二機を敵機として登録。その瞬間、戦闘機動を行うと判断したメインコンピューターはメインディスプレイに無数の戦闘情報を映し出す。タクティカルコンピューターの指示によりFCS作動。レーダーモードを自動選択。目標を追尾。
「ボギーツー進路変更。ヘッドオン。同高度にて接近中…ボギーからのレーダー照射を確認。ECM、ECCM自動作動開始」
電子防御装備稼働。敵機のレーダー周波数、脅威度等を測定。同時に高出力電波によって敵機の索敵や通信を妨害する。なおも警告音。
「脅威A。情報から戦闘機クラスと推定」
「対空戦闘用意。ECMの出力レベルを上昇させろ」
「了解…レベルワン上昇。メインウェポンベイ内LRAAM第一種射程」
ディスプレイ上に表示された敵機のシンボルにロックオンマークが表示される。R1の表示。
「攻撃許可」
「攻撃許可了解。ターゲットロック。発射」
ディスプレイに表示されるウェポンベイのリストから武装選択。レリーズパネルタッチ。画面の表示がINSIDEからLAUNCHに変更。続いてNO WEAPON表示。
サジタリウス長距離AAMが二発放たれる。タニオリスのレーダーとミサイル誘導支援装置が敵機へ誘導。接近したところでミサイル本体のレーダーが敵機を捉えて追尾。
「ボギーワン、ボギーツーが回避行動。進路変更。それぞれ散開してビーム機動、高度上昇。敵機予測飛行ルートへ誘導開始。ミサイル目標へ接近。スリー、ツー、ワン、ゼロ」
「どうだ」
「ミサイルノーヒット判定」
戦闘空域を監視するAWACSの評価は「貴機が発射したミサイルは目標に命中せず」だった。当たり前と言えば当たり前である。最大限界射程でミサイルを撃とうものなら敵機に回避行動をとられた時点で当たらないと言っても過言ではない。ミサイルに背を向けて全速力で逃げられなかっただけで良い方だろう。最も、強行偵察機並みの速度、警戒機並みの索敵装備を持つタリオニスに対して背を向ける等と言う行為は根本的に間違っている。ミサイルに対して即座にビーム機動を行ったアグレッサーの二機は非常に良い判断をした。
「ボギー二手に分かれて接近。」
「戦闘機動スイッチをドッグファイトモードへチェンジ」
「了解」
スロットルレバーにある飛行モードスイッチを切り替え。機体のシステムが格闘戦に適する飛行プログラムへと切り替えられる。レーダーモード、自動索敵追尾モードへ移行。動翼、前進翼へと移行。
その流動的な翼を最大限に活用し、驚異的な戦闘性能を持つタリオニスが二機のアグレッサー機を相手に襲い掛かる。その強力な電子機器類は人智を超えた場所で声を立てず静かに戦闘を行っているのだ。ありとあらゆる電子対抗手段で、デジタル化した空戦の行方を我が物にしようと。
その雄大な姿を現し、ゆっくりと登る陽がタリオニスとレイヴン達を照らしている。
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戦術航空軍の切り札。最高の人材と機材をそろえた百戦錬磨の精鋭、アセンダンシィ。運用する機体はXMF-1040HAマキナ。その中でも最も恐れられているのが機体を漆黒に染め上げた九番機、コードネーム、タリオニスである。パイロットはシマハルオミ大尉。遠い極東の最果ての地、黄金の国ジパング出身。元外人航空部隊所属。常に見下されがち、使い捨てに等しい扱いを受ける同部隊の過酷を極めた作戦に幾度となく参加しつつ、自らが持つ実力のみで生き残った猛者である。
マキナはタンデムシート形式である。タニオリスの後部座席は常に定まりを見せず、唯一、かつて優秀だった人材は前線基地に展開した際の世辞にも衛生的とは言えない食事で不運にも命を落とした。それ以降は各方面から人材を引き抜くも、棺桶と通称される独特の搭乗形態、ほぼ上面しかない視界、機体の運動性能からもたらされる殺人的なG、その中でも電子機器を操作し続けるという過酷な戦闘は、その度に搭乗員を再起不能に陥らせるか、機を自主的に降りさせた。
まるでそれは、レイヴンと通称されるマキナ・ライダーをタニオリスが選別しているかのようにも思える。我を操る有機コンピューターに低スペックマシーンは不要である、と。
しかし、そんな中で期待の新人として配属されたのは年端も行かぬ少女だった。雪のような銀髪、透き通る肌を持つ人形のような少女である。その姿はとても戦闘機搭乗員はおろか軍人にも見えなかった。晴臣は困惑を隠せなかった。こんな人間にタリオニスのECOが務まる訳はないという次元ではなく、それ以前に何か根本的な事象だった。とにかく強烈な違和感だった。彼女の名前はアリス・ロードス。
それでも命令である。完全な実力集団であるアセンダンシィでは階級があまり意味を成さないが、晴臣は人間である前に軍人であり、上官であるバッカス・オノンネル大佐に逆らう事はしなかった。既に飛行適性検査や地上訓練を終えた彼女を後部座席に乗せ、訓練飛行を六日間ほど行った。彼女の為に特注されたと言う飛行装備、晴臣の物より小柄なそれはまるで宇宙人のようだった。
能力は晴臣の想像を遥かに超えていた。まだ慣れてこそいないものの、そのECOとしての適性は疑いようのないものだった。如何なる状況に於いても状態を分析してFCOに報告する。マキナの高度な電子機器を寸分の狂いなく操る。武装を的確に運用する。
そして何よりノックダウンしない事。意気揚々と乗り込んできたものの一回の訓練飛行で部隊を去る者も少なくなかったので、晴臣は何処となく安心感を覚える。こんな華奢な体で何故、強烈な加速度に耐えられるのかは不明だったが。
不安、違和感、安心感、様々な感情を抱いた晴臣だったが、“使えそうな”、しかもとびきり最上級のECOが配属されたのは良い事だと自分に言い聞かせた。元々、年齢や性別は関係なく完全な能力主義であるという考えは持っていた。それすら打ち砕かれるようなイレギュラーな事態だったが、アリスの態度や姿勢から伺えるのはタニオリス・ライダーとしての自負だ。晴臣はそれを認めた。
そして今日、実戦形式演習として同基地所属のアグレッサー部隊、その二機を相手にタニオリスが模擬空戦を行う。空域はボックス基地より内陸に位置する演習空域。AWACSが空域の監視、双方に戦闘情報を送信を担う。勝敗は双方の機体から送受信されるデータを解析、即時判定される。空中給油機と付近のWAー23基地がバックアップに入るという何とも贅沢なコンディション。アグレッサーの二機は敵機を模す為WA-23に移動、そこから離陸する。時間制限はなかったが、それぞれの基地へ帰還できるだけの燃料を残さねばならず、それ以上の燃料消費を行った時点で強制的に敗北という条件が課された。戦闘装備は通常の一般作戦時に於ける状態とされ、タニオリスは長射程AAMを二発、中射程AAMを四発、短射程AAMを二発、コンファーマルタンクを装備する。対するアグレッサーは主力戦闘機FA-181を運用、短射程AAMとECMポッド、ドロップタンクを装備する一般的な同部隊仕様。空戦中に前線からの援護要請が入る事も考えられた為に装備するのは実弾である。無論、実射許可はない。
双方、定刻通りに離陸。AWACSの戦術誘導を受けつつ空域へと巡航飛行。タニオリスのレーダーは距離240マイルで仮想敵機を捉えた。ARH-14EH/HA長射程AAMの最大射程である約200キロに達した時点で発射宣言。ダグテットロケットを推力とし発射後は推力を抑えて巡航、指令、慣性誘導によって飛行しつつ、目標付近でミサイル自体が目標を捕捉、最大推力で追尾し撃墜する。タリオニスを初めとするマキナ各機には改良型のHA型が搭載されており、MHS-10A/J1ミサイル誘導装置による強力な誘導支援を持つ。従来のBVRミサイルの数倍にも及ぶノーエスケープゾーン、即ちアブソリュートキルを持つミサイルだが、流石に最大射程では機動飛行を行う目標に対して命中しない。
アリスはメインディスプレイの表示された機体を中心とした索敵データを報告。
「敵機確認、距離29一時の方向。ボギーワン。ボギーツー位置不明。目視できますか」
「目視不能。恐らく直ぐに二機に分裂する。MRAAM発射、二発だ」
「了解。MRAAM発射」
二発のARH-89D/HA中射程AAMの発射をシミュレート。
晴臣の読みが当たる。サジタリウスを回避したアグレッサーの二機は、更に迫る脅威に対してブレイク。最大出力を発揮し二機のFA-181が回避行動に移る。それはディスプレイにも同様に表示される。
「ボギーワンからボギーツーに対してロックオンをチェンジ。一発でいい」
「ウィルコ」
LOAL発射されたミサイル二発の一発に情報を伝達。アップデート。ブレイクした二機双方を追尾するように指令。距離は約50キロ。アブソリュートキルゾーンに入っている。
ディスプレイに表示されるミサイルの軌道と回避行動を行う二機。全方面、その全てをカバーする複合索敵装備を持つタニオリスの目は確実に目標を捉え続ける。
「ミサイルヒット。ボギーワンに撃墜判定」
AWACSより「AR1撃墜。離脱せよ」との無線が入る。
「ボギーツーに対しては回避判定」
「AWACSめ。実戦なら間違いなく当たってるぞ」
「誘導切り替えが遅すぎました、申し訳ありません」
「少尉のせいではない。目標指示を頼む」
短射程AAMのシーカー冷却開始。冷却中である事を示すジーという音がヘルメットに響く。
タクティカルコンピューターの指示によりレーダーがドッグファイトモードへ移行。格闘戦へともつれ込む。幾ら機体性能は劣るとしても相手はアグレッサー。通常部隊に対して飛行教導を行う戦術航空軍の精鋭。ACMのエキスパートであり、格闘戦の技量は腕一つ抜きん出ている。
タニオリスはその大推力と運動性能を生かして大G旋回。耐G装備が全身を強烈に圧迫する。HUDのガンサイトに捉える。トリガーを引く。離脱される。ノーキル。一瞬で距離が縮まる。シーカー冷却を完了したピーという甲高い音が耳に響く。レリーズスイッチプッシュ。しかし、短射程AAMを発射しても距離が短すぎて自機に被害が出ると予測され発射不可能。オフボアサイト交戦能力を持ち、前方や真横、後方でもキルレンジに入ればタクティカルコンピューターによる判断で即座に発射が可能なASH-12R/HAだが、発射スタンバイとの表示がHUDになされる。
アグレッサー機がシザース機動。タニオリスの各動翼、ドッグファイトモードならではのクルビット機動で減速、敵機の背後を取る。機動を察したアグレッサー機が全速力で離脱、ダイブ。その一瞬の瞬間だったが「AAM LAUNCH」の文字がHUD、後部座席のディスプレイに表示。タクティカルコンピューターの判断によって二発が同時発射され、誘導支援を受けながら赤外線画像シーカーによって目標へ向かい突き進む。推力偏向によって一瞬で機動を修正した二発のグングニルの航跡表示。撃墜判定。
「AR2撃墜。AR全機撃墜。演習終了。帰還せよ」
燃料計に目をやるとギリギリの数値。格闘戦闘は非常に燃料効率が悪い。
AR1、AWACSにコール送信後、GPS/IRSリンク。オートパイロットオン。ボックス基地への帰還開始。タニオリスは高度を取り、超音速巡航で基地へと帰還する。
晴臣はヘルメットバイザーを上げる。空が青い。そして眩しい。バイザーを降ろす。
「大尉。お見事です」
お見事と言いたいのは晴臣の方だった。してやられたという感触。僅か六日間でここまで仕上げてきたECOは全くいなかった。航空機搭乗経験なし、あの戦闘機動の中でも冷静、かつ的確に指示を送るECOもいなかった。大抵は判断能力が鈍る。アリスの場合はそれがない。荒い息遣いさえない。化け物か宇宙人なのではないかと考える程だった。その存在自体が異常的ならば、その人間も異常だった。
十五分程で基地上空に到達。基地管制官に従ってアプローチ。本来ならば地上で謹慎中の身だが、翼を持つ特権は誰にも奪えない。アセンダンシィなら尚更だ。巡航速度の違いからアグレッサーよりも帰還は倍以上に早い。ランディング。黒い同害復讐者が翼を降ろす。
ハンガーで救護班に担ぎ出されないECOは久しぶりだった。クルーはラダーを掛け、二人の昇降を手助けする。ヘルメットが外され、その凶暴無比な翼から身を地上へと移す。クルーが地上用空調装置を手渡すと、その怪しげな装置を抱えながらハンガー脇の航空装備室へ。通常はここで飛行装備の脱着を行う。
通常の戦闘機搭乗員が身に着ける航空装備とは異なり、高高度与圧服も兼ねている特殊装備は非常に脱着が面倒である。ミッションプランによっては作戦開始前、更に純酸素を吸入せねばならない。よってここでも人の手を借りる事になる。本人はほぼ棒立ち状態であり、そこからクルーが各パーツを取り外して行くのだった。上下共に軍支給のオリーブドラブカラーのアンダーウェア姿になると、ロッカーから引っ張り出した通常のフライトスーツへと着替える。脱着を終えた飛行装備は整備班に送られる。アリスが使用する、晴臣の物より一回り小柄な装備の数々も機体同様に真っ黒だった。
「まるでリトルグレイだな」
「宇宙人ですか。私の外見が特異だからでしょうか」
「飛行装備がってコトだ。俺のより小さいだろう。ただでさえ宇宙人っぽいやつだから。逆に言えば俺だって宇宙人さ。ミディアムグレイくらいの」
「ビッグではないのですか」
「俺よりでかいのは幾らでもいる」
「左様ですか…」
約一週間、アリスと晴臣は訓練、ブリーフィング、基地の案内…その他諸々の上官命令によって行動を共にしていたわけだが、一つ分かったのは本質的にはやはり年相応という事である。大人しく、やや感性にはズレが見られ、上官に従いつつ反抗もする独特の口調が特徴的だった。不思議と嫌いなタイプではない。
「そういやTACネームはどうするんだ、何か考えついたか」
晴臣は髪をまとめるアリスに対して声をかける。髪を結うヘア・ゴムを口に銜えつつ動きを止める。
「いいえ」とモゴモゴした口調。
「上官命令だ。何か考えろ。さもないとリトルグレイにする」
「リトルグレイはイヤです、拒否します」
小さな人形型宇宙人は反抗を見せる。
「じゃあどうする。実戦が何時飛び込んでくるかは分からない」
「スティングレイでどうでしょうか。同じグレイです」
これだと言わんばかりに自信満々な顔だった。
「スティングレイ?毒針を持つエイか…宇宙人ではなくなるな」
「不可でしょうか」
「構わない」
部屋に残っていたクルーを呼び止める。
「九番機のセカンドシートのキャノピー下、空いてるな」
「ええ、大尉」
「そこに少尉のネームを書き込め。TACはスティングレイだ」
「やっとですか大尉。我が整備班としても心から祝福いたします」
「よろしく頼む」
名もなきクルーは部屋を後にする。階級章から軍曹である事をアリスは伺いとった。
「大尉、いいのですか」
「何か問題でも」
「私がタリオニスのECOで構わないのですか」
「構わない」
「ありがとうございます」
「君は優秀さ」
「ありがとうございます」
「お前はありがとうございますロボかなにかか?」
「いいえ。そのような事は決してありません」
「そうか」
「ありがとうございます」
「やっぱり変えよう。スティングレイはやめだ。ありがとうロボにする。独創的でいい」
「嫌です」
「おい整備班…」
ハンガーへのドアへと向かう晴臣に対し、その外見からは想像がつかない驚異的な暴力が片腕を掴む。あまりのパワーに腕がちぎれて持って行かれるのではと錯覚を覚えるレベルである。
既に髪を後ろで束ねたアリスは無表情で「嫌です」とのみ伝えた。よくよく考えれば彼女は感情の変化は激しいものの、表情の変化が極めて少ないと考えつつ、この腕をどうにかする必要がある。
「おい、上官に対する侮辱、暴行、命令違反、とやかくを軍法会議にかけるぞ」
「明らかな越権行為による命令で私も訴えます」
「分かった、分かったよ。スティングレイで良いんだろ。分かったから離すんだ」
腕がすんなりと離れる。晴臣はこの場も離れる事にした。
「じゃあな。次の出撃で会おう」
多くのマキナ搭乗員は群れる事を好まない。大抵、次の出撃までは訓練を除いて一人で過ごすのだ。極めて排他的である。ありとあらゆる物が揃うこの地下空間に於いて、バーに入り浸る者、部屋にこもってACMを考え続ける者、怪しげな電子部品で何かをこさえる者、ひたすらに肉体トレーニングに励む者、絵を描く者、慰安所に金をばらまき続ける者、とにかく無数のタイプがいた。対する晴臣と言えばそのどれにも属さず、タニオリスの整備を整備員と行い、オノンネル大佐と共にアセンダンシィの作戦スケジュールを検討、果ては休暇を返上して他の部隊に教導を行う等、パイロットとしての勤務以外にも様々な業務を行っていた。彼はとにかく多忙だった。唯一の趣味と言えば、与えられた宿舎のワンルームで料理をしたり音楽鑑賞に浸るといった程度。たまに年代物のブランデーを少し開ける位である。後はタバコだ。保健部からやたらと通告が来ているが、そんなものは全く気にしていない。
「大尉…」
「なにか」
「いえ、何でもありません。失礼しました」
アリスは何故か敬礼。
「お前、ここで敬礼してどうするんだ」
「失礼しました」
「じゃあな」
晴臣は部屋を後にした。今日は大佐とのスケジュール調整が入っている。それが終わったら食事をし、シャワーを浴びて就寝。明日は久しぶりの休暇だが、また何処かへ飛ぶ事になるだろう。休む時間はなかったが彼はそれで良かった。空の蒼さだけが求める物だった。そこに縛りは何もない。
遮音の為のヘッドセットを装着、ハンガーを経由してブリーフィングルームへと向かう。夜間高高度強襲偵察へと向かう三番機が機体準備を行っているのが確認できる。
やや俯きがちに足を進める男の後姿を一つの好奇心の目が覗いていた。
最近暑いですね。ですが、夏特有の蒸し暑さではなくカラっとした気温で嫌いじゃないです。アイシェードです。
えー、話をかなり飛ばしてしまいました。二人の関係はある程度は慣れたようです。長くなるので勝手に省略させてください。
私事にはなりますが、コンビニなんかでアニメやゲームとコラボするのは大賛成なんですが(私も大好きです)、やっぱり一部のどうしようもない人も集まっちゃうのが難点ですね。夜のコンビニエンスストア、静かな中で推しのグッズを目の前にして奇声を上げるのは勘弁していただきたいです。ここはアニメショップじゃないんだ。こちとら疲れてんだよ。一瞬、ここは秘境のジャングルかと思ってしまいました。並べられたパンが木に生えるバナナに、天井から吊り下げられるポップが木にぶら下がるナマケモノに見えました。一件のお方は新種の生物を発見して発狂する探検家か何かだと思います。疲れすぎでしょうか。栄養ドリンクでも飲みますか。それこそ奮発してユンケルでも。残念ながら軍人ではないのでアンフェタミンは使用できませんね。当たり前です。
話がだいぶそれてしまいましたが、以上です。皆様も体調管理にはお気を付けくださいませ。
いつも読んで下さる皆様ありがとうございます。今後ともよしなに。