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≪解説≫XMF-1040HA

解説 XMF-1040HA


 XMF-1040HAとはヴォータル中央兵器開発厰が開発した試作戦闘攻撃機。軍事大国として著名なヴォータル連邦の実現可能な技術を結集して建造された機体であり、通常戦闘機の数十倍とも揶揄された非常に高コストを持つ機体ながら、計十三機が生産された。通称は「マキナ」。


概要

 ヴォータル連邦戦術軍の「少数による極めて強力な攻撃を行う事が可能な機動兵器」という要求によって同国中央兵器開発厰が開発。陸上兵器、二足歩行兵器、強化装甲服等のプランが提案されたが、後に条件として展開が容易な事、高い軍事的機動力を持つ事が加えられた為に戦闘攻撃機として開発が行われる事となった。以降は戦術航空軍内部の技術試験部隊も開発に参加した。

 開発要求を充たす為に投入可能な技術を可能な限り採用した結果として開発段階の時点で既に莫大な予算が生じ、その額は戦術軍総予算の三パーセントを占めていたとされる。開発計画は軍の中でも極秘中の極秘であり、更には嵩み続ける予算獲得の為に「現主力戦闘機の改良型の開発、並びに新世代技術を採用した新型機の開発」という主なダミープランから、全く関係のない、もしくは実態すら存在しないプランから分配された予算を得る手法で開発は継続された。

 完成した機体はXMF-1040HAの形式が与えられ、試作機三機を含む計十三機が生産された。同時に機体を運用する為の部隊が結成され、戦術航空軍の内部より機体運用に関わる精鋭中の精鋭が集められている。同部隊は戦術航空軍第二四航空師団第九飛行部隊"アセンダンシィ"と登録された。


機体

 多様な機能を求められた為に大規模な機体である。ブレンデッドウイングボディの滑らかな外見とは裏腹に設計は非常に野心的な物となっており、速度域に応じて前進翼と後退翼に可変可能な可変主翼とコックピット中央から発生するストレーキに繋がる全遊動式カナード、機体後部の左右に二枚、計四枚の三次元稼働式の尾翼を持つ。これらのカナードは機動飛行時のみならず減速や着陸の為のエアブレーキとしても作動する。機体下部には飛行時の安定性を保つフィンが備えられ、左右に離れる形で三次元式ベクタードノズルを持つエンジン二基を搭載する。その間には通常装備のレーダーの機能を簡素化した後方用レーダーを装備する。エアインテークは機体下部の左右二基、上部に幅広の吸入口を持つ一基を備える可変複合式である。機体下部、エンジン間にメインウェポンベイ、左右エアインテーク脇に短距離用空対空ミサイルを内蔵可能なサブウェポンベイを備える。可変を行わない主翼本体部分の下部には各種武装や燃料タンクを懸架可能。また、機体上部のエアインテーク左右脇に密着させる形でコンファーマルウェポンポッドも装着可能であり、それらと内蔵武装による圧倒的な高火力は多の追従を許さない。また、固定武装としてR4-LGI5F30ミリリボルバーカノンを装備する。

 機体としてはセミモノコック構造を採用、超音速巡航時や高速飛行時に発生する熱への対策としてチタニウムが素材の大半を占めている。主翼非可変部の前縁に前縁フラップ、後縁にフラッペロン、後縁外側には補助翼、可変部前縁にはフラップを有する。可変部前縁のフラップは前進翼形態時、後縁フラップの役割を果たす。空中給油装置として機首左側に格納される形でプローブアンドドローグ方式のプローブを装備する。

コックピットはタンデム方式。前席にはFCO(フライトコントロールオフィサー)、後席にはECO(エレクトロニックコントロールオフィサー)が搭乗する。前席は右脇にサイドスティック、左脇にスロットルレバーが配置され、正面にはヘッドアップディスプレイ、中央には分割式のマルチファンクションディスプレイが配置されており、機体の戦闘情報を確認可能。主要な飛行計器類はアナログ式が採用されている。HOTAS概念が導入され戦闘飛行に於ける機能は両手を離す事無く可能である。後席は機体の強大なレーダー、索敵装備、戦術データリンク、同型機体間のデータリンク等を統合した複合情報を表示するメインディスプレイを基とし、ECMコントロール、各種航法装備等のユニットが配置される。操縦装置はない。非常に高密度であり、シートのリクライニングもありほぼ上面しか視界がない事から棺桶の通称で呼ばれる。キャノピーには前方固定、後方稼働型の分割方式が採用されている。信頼性は元より洋上作戦に於けるバードストライク時の保護の意味合いも兼ねている。キャノピーは厚さ七ミリのクオーツを三枚重ねて形成され、前部キャノピーには更に五ミリのポリカーボネートシールドが重ねられる。射出座席はゼロゼロ脱出に対応したAS-1MK-12を装備。前席はもとより後席は大きくリクライニングされて配置される。

エンジンはアーシェヘビーインダストリアルが専用開発したAXE-104-AHI可変サイクル式ターボファンを二基搭載。ミリタリー推力での超音速巡航、アフターバーナー使用時の最高速度を追求した結果、ミリタリー推力での最大推力は152.1kn、アフターバーナー時最大推力で192.5knを発揮する。更に安全装置の解除でそれ以上の限界性能を発揮する事が可能である。非常に強力なエンジンを二基搭載した結果、加速力や高速性能も高く戦闘域に於ける推力重量比の高さは無論、超音速巡航速度でM2.0、制限を受けつつも一定時間を維持できる最高速度はM2.8に到達する。実際にはそれ以上の速度を出す事も可能であり限界最高速度はM3.2を発揮するが、吸入温度や燃料の関係で速度の維持は一分間がリミットとなっている。それ以上の速度はキャノピーの強度の問題でM3.2以上は制限が掛かり速度を上げる事は不可能になる。エンジンノズルは三次元式に稼動する事で、特殊機動や高速度域でも高い旋回性能を発揮する事が可能である。

 主な操縦系統はメインコンピューター一基、サブコンピューター二基、火器管制コンピューター一基、フライトコンピューター一基、エンジンコンピューター二基で構成される。主に各コンピューターが割り当てられた処理を行うが、動作停止時にはメインコンピューターの補助やサブコンピューターのメインマシン化によって最低限の機能を維持する。メインコンピューター故障時には操縦系統がフライトコンピューター単独に切り替わる事で最低限の飛行機能は維持されるが、航法誘導、目標追尾等の複雑な戦闘機動は行えない。各動翼の動作には油圧アクチュエーターが用いられる。JFS、APUを備える事でエンジンは単独起動が可能である。これら二つの装置により何らかの要因で停止しても二通りの再起動方法を持つ。搭乗員の失神や不安定な操縦を検知するとフライトコンピューターが強制的に飛行を安定化させる。機体の安全制御はメインコンピューターが行うが、搭乗員からの要請があった場合には段階に応じて解除する。中央コンピューターの演算処理にはハルバニア社製マイクロプロセッサM24sp-highpowerをベースに採用している。本マイクロプロセッサは一秒間に最低でも一兆回を越える演算を行う性能を有する。機体運用のミッションソフトウェアとしては九百万桁程度のソースコードを持つ。

 火器管制システムはメインコンピューター、火器管制コンピューター、フライトコンピューター、ARV-168/Nアクティブフェイズドアレイメインレーダー、ARV-168/Sアクティブフェイズドアレイサブレーダー、ASC14-A1統合監視装備、MHS-10A/J1ミサイル誘導支援装置からなる。それらをタクティカルコンピューターが統括、サブコンピューターがバックアップする。各系統への指示は主にメインコンピューターが行う。早期警戒機並みの強大な探知距離を持つレーダーを機体前部と後部に装備することで三百六十度をカバーし、赤外線画像探知やレーザー誘導爆弾の誘導能力を持つ複合装備で索敵を行う。

 防御用装備としては敵索敵探知や脅威測定を行うACD4-V/Q1防御型電子防御システム、高出力電波による索敵妨害や通信妨害を行うACD4-9V/Q2攻撃型電子戦システム、AC-T64/XR8複合防御ディスペンサーを装備。これらはコックピットからの操作の他、メインコンピューターの判断による自動使用も可能となっている。ステルス性能を犠牲に運動能力を極限まで高めた機体に対して必須とも言える装備であり、殺傷能力を持つほどの高出力電波を常時使用する関係で、搭乗員の防護の為にキャノピーには二十四金が薄く塗布されている。

 その他の装備としては戦術軍中央データリンク、戦術航空軍データリンク、XMF-1040HAリンク、IFF、航法装備等を有し、それらが収集したデータはタクティカルコンピューターで解析、メインコンピューターによってコックピットに表示される。

 武装は前述の通りR4-LGI5F30ミリリボルバーカノンを固定装備とし、ASH-12R/HA赤外線画像誘導方式短射程空対空ミサイル、ARH-89D/HAアクティブホーミング式中射程空対空ミサイル、ARH-14EH/HAアクティブホーミング式長射程ミサイルを胴体内のウェポンベイに基本装備する。これらのミサイルは母機からの精密誘導支援を行う事が可能な改良が施されており、通常運用時と比較して高確率での目標命中を期待できる。その他にも誘導爆弾等も装備する事が可能だが、任務の性質上装備することは少ない。追加装備のコンファーマルウェポンポッドや翼下のパイロンにも武装は搭載可能である。

 大柄ながら高出力のエンジン二基と優れた空力特性、ベクタードノズルによる高い運動性能を持つが、強大な積載量や補強による重量増加はダブルタイヤの採用をもたらし、規格外ではあるが艦上機としても運用可能な本機に重量面での運用制限も発生させている。また本気の殺人的とも言える運動性に対し、頭部も含む全身の加圧を行う分割式の耐G装備が開発されている。その為、小型化は困難としてヘッドマウントディスプレーの採用は見送られた。

 欠点として、戦術機体としての性能を優先した設計の結果、専門の電子戦機並みの防御装備を持つものの対レーダー性能には乏しい事、燃料消費量、搭載量が多くコストが増大する事、規格外の設計ゆえに運用には専門の一飛行部隊が必要になる扱いづらさ、損耗時の補給が困難で軍の一部としての使用が困難な事実、最高軍事機密の固まりであり運用に支障が出ること、結果として驚異的なまでに高騰した運用コストが挙げられる。


スペック

全長 22.4m

全幅 15.8m(前進翼形態時)

全高 6.34m(尾翼最大稼働時)

自重 13421kg

最大離陸重量 39582kg

最高速度 M3.2

巡航速度 M2.0

実用上昇高度 25142m

航続距離 1780km(完全武装状態)

最大荷重 +12G/-3G(機内搭載、コンファーマルウェポンポッド装備時。機外搭載時は8G)


 なお、これらの内容は実戦投入された計十機の内の一機であり、他の九機も同一の仕様とは限らない。

本小説に登場する機体の解説です。明らかにぶっとんだ性能を有していますが小説なのでアリです。ミリオタからなめてんのかと言われそうですがアリです。[ぼくのかんがえたさいきょうのせんとうき]があってもなくても…と言ったストーリーになる予定ですので、そもそもコイツが出ない事には始まりません。

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