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第1章 04 ガラスの箱の中が
「見たか、この能力を!」
紫の鱗粉を浴びた蟷螂は、弱ったように見える。いや、きっと弱ったのだろう。
「鱗粉に毒の粉みたいなものですか?」
「これがオプションさ」
「なるほどです」
しかしノトは負けたなんて思っていなかった。コントローラー内の選択肢を見て。
「確か負けは…」
「けは相手の頭を切ってコントロール不能にすればいいんだ」
「でしたでした」
ノトは深々とうなずいた。
「そうだ。どうせなら賭けでもしませんか?」
「いいけど…」
「えっと…そうですね、あなたが勝ったらこのお気に入りのオイル・ライター『catbee』をプレゼントしましょう。ただ、こちらが勝ったら二つの質問とひとつのお願いを聞いてもらいます。よろしいですか?」
「待った。そのライターは本当に値打ちがあるのか?」
「はい、以前目利きの商人に見てもらいました。確か、金200balsはするとか」
「ほう。しかし……」
「しかし?」
「こちらの条件良すぎないか?」
「それぐらい質問が大切ってことですね」
「そうか……」
「では、改めて」