第1章 01 昼寝後に旅人と
「おはようノト」
「お早うならばもう少し寝かして」
「これだからノトは旅人向きじゃないんだよ」
「頼りになる仲間がいるからだよ」
「そう。うれしい」
「ZZZZZZZ」
「寝るな」
それから、六時間ほど経った。
「起きて」
やっとノトは体を起こした。
「お遅う、ノト」
「いやちょうど良いよ」
「で、続きは?」
「なんの事?」
「とぼけるな」
「あー。あの後、文が決まって、それをもとに小説書いて投票で僕が一番。で、ゲット。はい、シュウリョー」
「テキトーハムスターノトめ」
「何か。テキトーは、旅で大事なのさ」
「僕がいないと旅ができないくせに」
「はいはい」
「赤ちゃんでしゅか?」
「この前のむらでムチ買っていたっけ」
「…………」
ノトは、朝ごはんとなるヒマワリの種を食べた。そして、草原に横になった。寝た。
「寝るな」
「ZZZZZZZ」
一時間後。起きた—————————わけがない。ティグリスに起こされたのだ。そう、旅人が来たのだ。
「ここから五百メートル先に旅人六人いる」
「ラジャー」
「でも全然ノト動かないじゃん」
「め——ん——ど——い」
「もう知らない」
それから少ししたあと——。
「こんにちは。旅人さん」
「こんにちは。旅人さん」
——旅人たちは出会った。ノトたちが出会った旅人は、全員男で、トラック二台でやってきた。皆、モモや腰、肩に銃器をもっていた。
「皆さんは、どこへ?」
ノトは聞いた。
「あぁ。俺たちはこの先にあるむらへ向かっている。物を売るためにな」
一番大柄な男が答えた。
「なるほど」
ノトは、うなずいた。
「なるほど」
ティグリスもうなずいた。
「え………」
旅人たちは、驚きを隠せない。
「動物が……喋った」
「ああ。ティグリスの居たむらは、動物をとても可愛がっていて、動物と会話をするために薬を開発したそうです。むらで見かけたときティグリスがしゃべって驚きました」
「そうなのか。たいしたむらもあるものだ。そこに行くときは、動物用の服でも持っていくか」
男たちは驚くほどすぐに納得し、冗談も入りまじり周りも和やかになってきた。さすが商人と言うべきか。
「ねぇノト。聞いちゃえば?」
ティグリスは、その空気のテンションのまま楽しそうな口調で言った。
「そうだね」
ノトもウキウキしているという表情で答えた。
「なんの事だい?」
ノトたちの表情や口調に男たちは不思議がった。