因乎跋物
陽が落ちた。
ふむ、どうやら起きる時間のようだ。
「………おっはろー」
とりあえず挨拶してみた。
もちろん返事が返ってくるワケもなく、ただ夜の闇に声が響いただけだったが。
「よーいしょっと」
自分の眼前にあるものを足で押し除ける。
そこそこの重さはあるだろうそれは、しかし呆気なく退かされた。
「ふあーああっとぉ」
あくびを一つ吐いた後、寝床である薄汚れた、しかし穴は一つも見当たらない木製の空き箱から出る。
一応周りを見渡したが、やはりそこには鼠一匹居やしなかった。
「んじゃ、行くとしますかね」
手に取ったボロ布を払ってホコリを落とす。
焼け石に水なのは重々承知だが、しかしそこは女子としての最低限の身だしなみとしてだ。
枕代わりにしていた、この場には似つかわしくない程に小綺麗なバックを空き箱から引っ張り出す、まあ流石に中身を改める必要はないだろうと手早く身に付け──一応他人から見えないように身に纏ったマントもどきのこれまた不自然に小綺麗な布の内にだ──そして風が吹けば倒壊しそうな小屋(倉庫?)の扉を開けて、夜の闇へと歩き出した。
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一人の『私』が人生を終え、一人の『私』がこの世界へと「置かれ」、そしてこの「私」が誕生したあの日から今夜で多分十日程になる。
多分というのはあの『誕生日』、私が居たあの場所から逃げるように立ち去ったその直後の記憶が曖昧だからだ。
しかしまあ、今ここにいるという事は多分大した事があったというワケでもないのだろう、うん。
そして記憶のある範囲で何をしていたかと問われれば、なんと言うか、その、言葉に詰まってしまう。
いや、そりゃ生きている限りは何かしている筈だし、事実ここ最近はそれなりに忙しく結構色々な出来事もあったのだが、しかしそれは掻い摘んで話させて貰いたい。
ぶっちゃけそれらは私に言わせれば面倒な雑事でしかなかった、ただまともな生活を送る為に身の周りの環境を整えただけの、そう、いわば部屋掃除の整理整頓みたいなものだった。
人間衣食足りて礼節を知るという。もうどうしようもなく人外である私が言ってもどうかと思うが、それでも狼少女でもあるまいし、何より人外だろうがうら若き女子としてキッチリとした生活を送りたいものだ。
そんなワケでこの町──あの場所から数えて二つ目の町へと辿り着いたらしいのが丁度五日前。
らしいという台詞からわかるように私が記憶しているのはそこからのものだ、恐らく五日間ぐらいひたすら突っ走って来たのだろう、もちろん十二歳の小娘が走って五日で着くような距離ではなかったが、それはまあそういうことだ。
で、それから私のしたことはまず衣服を調達する事だった。
衣食住の一番目、これがホントの衣の一番というやつか、などと酷くどうでもいい思考をしながら私は歩き出した。
何故ならその時私の着ていた服は誕生パーティ当時のやたら豪華なドレスだったのだ、流石にこのまま町を闊歩するほど天然ではない。
というワケで早々に衣服を調達しなければいけなかったので、他人になるべく見られないように町へと入り込んだのだった。
結局諸事情(後述する)あって衣服の入手に丸一日かけてしまったが、何はともあれまともな(庶民的な、貧相な、ともいう)服を入手した。
ん?あー方法はと言えばそりゃあうん、はい、スイマセン窃盗です。
まあなるべく安っぽいのをチョイスしたしそれ以外には手を付けていないしどころか指一本触れていないしまあ勘弁してください。
代わりに着てたドレス──どう少なく見積もっても拝借した服の百倍の価値はありそう──を置いておこうかとも考えたけれども、「足跡」は極力消しておきたかったので止めておいた、繰り返しスイマセン。
まあそんなワケでようやく「衣」を整え次はまあ「食」を飛ばして「住」を得る事にした、客観的に見れば私にとって文字通りの死活問題はこの「住」だったのだが、だからこそじっくりと取り組みたいと二番目に回した。
結果三日もかけてしまったもののなんとか冒頭のオンボロ小屋を確保したというわけだ、まあ面倒事が絡んできたので仕方ないとも言えるが全くやれやれな結果だった。
で、今日である。
いや、この表現は正しくないかもしれないな。
改めて、今夜である。
そんな今夜に何をするかと言われればもう言うまでもないだろう。
そんなワケで私は歩く。
「食料」を探しに。
「──キヒッ」
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と言いつつも、ここでそろそろ私についての確認をしておくとしよう。
とはいっても、何が何やら何から何まで一体全体どこをどう話せば、という感じなのだが、しかし自分の事を話せと言われればみんなそんな感じだろうと思うしなるたけ明確かつ投げやりに話していこうと思う。
まずは根本的な自己紹介から、といきたい所なのだがしかしここから詰まってしまうのだからかなりやる気を削がれる。
一体私とは誰なのだろう?
いや、別に哲学的な事を言い出したワケではなく真面目な話シンプルな意味で私は自分が誰なのかわからない。
だから私ではなく『私』の話からしていこうかと思う。
まず『私』は二人いる、太陽系の地球という惑星の日本という国で人生を送っていた赤紅朱緋という『私』、
そして私が現在生きているこの世界で生きていた『私』だ。
だが後者の方の『私』についてはここでは説明を控えさせて貰いたい、「赤紅朱緋」と違い『私』はつい先日までこの世界で生きていたのだから、まだ私としても微塵も整理がついていないのだ、いや何年経ってもつく気がしないのだが。
で、『私』──赤紅朱緋について。
私には『私』が生きた二十一年の記憶が残っている。
それもわりかし、はっきりと。
だからこれが所謂「異世界転生」というやつである事も自覚している。
つまりはそういう事らしい。
そして言うまでもなくもう一人の方の『私』の十二年の記憶もだ。
そんなワケで私の記憶は、もはやそっちの方が異世界になってしまった世界の記憶と自分の生きているこの世界の記憶が一緒くたになってしまっているのである。
そしてその結果が「誕生日」のあのヒスり具合だったワケだが、今は不思議と落ち着いている。
いや、落ち着きすぎていると言うべきか。
二人の異なる人間の二つの異なる世界の記憶が混在しているというのに、どうやらもう私はそれに順応してしまったようなのだ、いや、笑えない。
この世界の『私』にあの世界の『私』が重なったのか、あの世界の『私』にこの世界の『私』が重なったのか。
あの世界の『私』がこの世界にやってきたのかこの世界の『私』があの世界の記憶を手に入れたのか。
そんな疑問を「《卵が先か鶏が先か》ってやつでしょ」とあっさりスルーしてしまっている。
私としてはそれで良いのかも知れないがしかし『私』達としては冗談じゃない話だった、そんなあっさり順応されては──一体『私』達の人生は何だったのかという話である。
しかし順応しているのだからそれで良いじゃないか、などという思考だってあるのだ──そしてそんな風に食い違った意見すらも受け入れられる。
受け入れてしまう。
歯車が噛み合いすぎて滞りが無さ過ぎてだからこそ気持ち悪い。
二人の『私』の記憶がそれは異常な事だと告げているにもかかわらず、肝心の私はまるで平常運転なのだ。
二重人格でもなく三重人格でもなく、全てが私であり『私』である。
そんな事を実にあっさりと受け入れてしまっているのだ。
あーキモチワリ。
けど気持ち悪くない。
それこそがキモチワルくて。
それでも気持ち悪くない。
思考が無限ループしている──いやループすらしていないのか。
あー、もうこの位でいいだろうか?
詳しい事はわからない、そう、結局自分自身の事などわからない。
そんな感じで勘弁してほしい。
いや、マジで。
はい、じゃあ次は世界についての話をしよう。
この場合世界観と言った方が良いのかも知れない──異なる世界を知る私としては。
ともあれ今現在私が生きている、そしてこの世界の『私』が生きていたこの世界を、あっちの世界の『私』──「赤紅朱緋」として表現するなら「剣と魔法のファンタジー世界」という風になるのだろう。
ここでは面倒くさいので詳しい説明はその時その時に逐一説明する事にする、今はさながらRPGのような世界とだけ判断してもらいたい。
町に武器屋とか宿屋とかあるモンスターとか亜人種とかがいちゃう世界なのだ。
個人的には(赤紅朱緋的には)かなりテンションが上がる世界観なのだがそれは置いておこう。
さて、はてさて、それじゃあ最後に私についての話になるわけだ。
嗚呼気が重い。
いや、ホント何から話そう?
ふむ、では『私』の世界にあった某傑作小説風に言えば。
吾輩は吸血鬼である。名前はまだ無い。
……うん、そうなのだ。
私はどうやら吸血鬼みたいなのだ。
血を吸う鬼。ヴァンパイア。
「夜を往く者」にして「多重定義者」。
狼男、フランケンシュタインと並ぶ三大怪物と謳われるモンスター達の最高峰である。
まあそれは「赤紅朱緋」の生きた世界の話なのだが。
ちなみに私が今生きている世界では、私の知る限り「吸血鬼」という存在は見たことも聞いたこともない、この世界の『私』は陽が出ている内は決して屋外に出ない引きこもり(今思えば私への変化の予兆だったのだろう)であり、普段は読書ぐらいしか昼間やることがなかったのでかなりの数の本を読破していたのだが、それでも全くそんな存在が登場したことはなかった(只の人喰いの魔物なら何度となく目にしたが)。
もちろんたまたま書かれていなかっただけかも知れないし、知られていなかったとしても世界のどこかにいるのかも知れないが、少なくともメジャーな存在ではないようだ。
そんな吸血鬼こと私だが、まあ早々に自分がそうである事は自覚できていた、「誕生日」の出来事を顧みて「赤紅朱緋」の記憶と照らし合わせば一目瞭然である。
ふむ、では「赤紅朱緋」の世界の吸血鬼像を元に話をしてみよう。
まずは(あの)世界的に有名な吸血鬼といえばブラム・ストーカーの「ドラキュラ」に登場するドラキュラ伯爵できっと満場一致だろう。
基本的に「赤紅朱緋」の国でもドラキュラ伯爵を代表とする東ヨーロッパ産のものが一般的なイメージだったように思う。
まあしかし私はこの通りの美少女なので例えるにはシェリダン・レ・ファニュの「カーミラ」が相応しいのかもしれないが。
つまりはそんな風に、吸血鬼というものは言うまでもなく数百年に渡り様々な創作の題材とされてきた由緒正しき存在だ。
まあ考えて見ればそれも道理だろう、少なくとも私の全ての記憶を思い返してもあれほどまでに人間の理想、否、欲望をぶち込んだ存在は無い。
「怪力無双、変幻自在、神出鬼没」そして容姿端麗に不老不死と来たものだ、考えてみれば単なるチートだろおい。
そんな人間の欲望を形にしたものが所謂「吸血鬼」という存在なのだろう、ある意味では人類史上最高のスーパーヒーローとさえ言えるかもしれない。
しかし、そんな風に自画自賛をしている暇もないだろう。
スーパーヒーローには弱点が付き物であり、そして知っての通り吸血鬼程弱点がてんこ盛りにされている存在もまた無いに違いない。
これには人間の劣等感が現れているのだろうか?まあただただ凄いだけのヤツを見ていて誰もいい気はしまい、そんな吸血鬼がギャフンと退治される所を皆見たがるものなのだろう。
が、退治される本人としてはそんなコト知ったことじゃない、というか冗談じゃない。
そんなワケで私はこの五日間暇を見つけては自分自身のスペック、長所短所、そして弱点を「赤紅朱緋」としての記憶を元に検証してみていた。
まずは基礎的な身体能力、これは言うまでもなくハイスペックだった。
百メートル十秒確実に切れるだろう、重さも百キロ位までなら持ち上げられそうだ。
まあそれでも想像以上、とまでは行かなかったが。
しかしまあ例えが悪かったのかもしれない。うん、時間止められるかなんて思った私が悪いのだきっと。
ちなみにあの「誕生日」の時のスペックよりは多分だいぶ落ちているだろう、なんとなくそう理解できた。あれはきっと抑えられていた力が爆発した感じだったのだろうと思う。
だが同時に限界があの程度どころではないという事もなんとなく理解できていた、これからきっと成長してゆくのだろう、それこそRPGのように経験を積めば。
……ん?
前にこんな話をした気がしたが……まあいいだろう、別に。
きっと修行とかすればいいのだ、今から楽しみである。
よし、最終目標は時間停止にしてやる、夢は大きいに越した事は無い。
などと儚げな少女だった私が思うには野蛮な発想だと思うかもしれないが、これにも理由がある。
身体能力を試す最中に気が付いた事だが、何だか「思うように体が動かせる」のだ。
例えばバク宙が容易くできるようになった。
そりゃ身体能力がそんなに上がれば出来るだろうと思うだろうし実際それもあるのだろうが、しかしどちらの『私』もバク宙などはやった事もなく、もちろんそもそもやろうとも思わなかった事である、それがいきなりやって成功したのだ。
そのあとで試して見たら「三角飛び」だってできた、今ならどんなシュートも止められそうである(二段ジャンプは出来なかった、無念)。
そんなワケで言葉にするのは難しいが、多分私は単純な運動的な行為なら、少なくとも一目見てそれに必要な身体能力が足りていれば一発で再現出来るだろう。
これが吸血鬼としての能力かはわからないがあって困るものでもない。というか凄く重宝するだろう、きっと。
もしかすると記憶にある創作物の主人公達の必殺技なんかも使えるようになるかも知れない、おお、テンション上がるわー。
まあ基本的なスペックはこんなところでいいだろう。
では続いて確認できた吸血鬼としての能力を紹介しよう。
まずは吸血鬼として代名詞的な不老不死性、まあ不老は流石に確認出来ないが不死の方は「誕生日」に確認できた、何せ斬り飛ばされた腕が元に戻っていたのだから。
そう、「元に戻った」。
あれはそう表現するのが一番正しいだろう、それが最もしっくり来た言葉だった。少なくとも「治癒」とか「再生」みたいななんというか温かみのあるものじゃない、あれじゃ「再生」どころか「巻き戻し」である。
ちなみにその「元に戻る力」は自身の衣服(いや、RPGっぽく装備品と言うべきか)にまで及ぶようで「誕生日」に血みどろになっていたはずのドレスが今の町に着いた時には新品同然になっていた、女子として嬉しい能力である。
しかし今の自力(もういっそ次からレベルって言ってしまおう)ではおそらく全快の状態でも四肢を一回「戻す」のが限界だろう、先に言ってしまうが吸血鬼の殺し方である首を跳ねるとか心臓に杭を突き刺すとかをされれば確実に死んじゃうに違いない、まあそれが普通だろうしそれもレベルが上がればきっと耐えれるようになるだろう、これもなんとなく確信できた。
次に試したのは「千変万化」、つまりは変身能力である。
これも吸血鬼おなじみの能力だろう、蝙蝠になったり狼になったり霧になったり。
しかしこれもまだまだレベルが足りないらしい、色々と試してみたが出来たのは髪や爪を伸ばす事ぐらいだった、これじゃ生物の延長線上である。まあこれはこれで役立ったしいきなり霧になって戻れなくなったりしたら怖いのでまだまだこれぐらいで十分だろう、レベルアップにつれて少しずつ馴らして行くとしよう。
次に試したものは眼力だった、吸血鬼と目を合わせると魅了されるとか洗脳されるとかいうアレである。
ぶっちゃけると「邪眼」「魔眼」というヤツだ。
個人的(赤紅朱緋的!)に心躍る能力である。
が、これもまだまだ発展途上のようで目を合わせてもその辺のチンピラで気絶させるか金縛りをかけるかぐらいのものだったが(以下略)。
そして最後にもう一つ意外な能力があった。
まあこれも「誕生日」に使ったもので「念動力」、SF風に言えばサイコキネシスだがそれも何故だか使えるようである。
念動力を使う吸血鬼がいるのかは記憶に無かったが、日本妖怪の神通力的なものだと考えればまあ納得出来なくもなかった、別に使えるんだからまあいいや。
これも他のものと同じくまだまだ弱々しく、多分腕力と同じぐらいの力だろう。
まあそれでも軽くリンゴを握り潰すくらいの力はあるワケで(以下略)。
まあこれで吸血鬼の優れた能力については全部話しただろうか?
では一番重要な弱点について話すとしよう。
吸血鬼の弱点といえばいくつも候補が挙がり、ともすれば吸血鬼程殺し易い不死者はいないとさえ言えるかもしれない。
まあ「赤紅朱緋」の記憶では青空の下で海水浴をしているような吸血鬼も居た気がするが、残念ながら私は割とクラシックな吸血鬼のようで普通に弱点は弱点らしかった。
そんなワケで太陽はダメだ、日光は無理だ。
陽に当たったらきっと即死する、間違い無く消滅する。
最早太陽には生理的嫌悪しかなくなってしまった、日光浴とか狂気の沙汰である。それくらい無理だ、絶対的なまでに天敵だ。
無理無理無理無理無理無理。
うん。
そのせいか影も出来ない、まあそれは弱点でもないただの吸血鬼の特徴なのだろうが、同時に鏡にも映らないのは割と真剣に困った。
いや、身だしなみを確認出来ないのは女子として結構問題である。
考えてみてほしい、万が一顔に変な汚れがついていたらどうする?どころか今この瞬間の顔も誰かにラクガキされているかもしれない、デコに「肉」とか書かれてるかもしれない、修学旅行の夜とか絶対に眠れない!
とかね。
まあ冗談は置いておいて(汚れは「元に戻る」)しかし自分自身の姿を確認出来ない、自分が誰かわからないというのは結構なストレスである。
多分髪の色が変わっただけで姿は『私』と変わっていないんだろうけどもだからこそ見れないのは辛かった。
まあ見れたところで辛い事には変わりないんだろうけど。
かの人造人間フランケンシュタインは水に映った自分の姿を見て絶望したというし。
ともあれ、他の弱点。
一気に言ってしまうと十字架、聖水、銀、大蒜とかであるが、多分全部苦手である。
まず十字架、これもまた「誕生日」に関わったので覚えている、なんせ生まれたのが教会だったのだ。
だから恐らく物理的なダメージは無いのだろうが、しかし精神的なダメージとしては微妙に効果有りのようだ、あの時はきっと誕生時の弾みで無効化していたのだろう、だからつまりはその程度なのだ。
が、現在の私としてはかなり嫌なものなので教会には近寄りたくもない。
蚊取り線香を焚かれた蚊の気分がわかった気がする、コンチクショウ。
ちなみに苦手と言っても十字架がであって十字そのものが苦手なワケではない、何かこう聖なるオーラっぽいものがあると多分ダメなのだろう、まだ見たこともないが多分聖水も同じ感じだと思う。
残りの銀と大蒜だがこれもおそらくアウトだ、想像しただけで嫌な感じがする。
例えるなら黒板引っ掻いた音とか発砲スチロールの擦れた音とかをウン百倍に不快にさせた感じである、うう、想像しただけで背筋が寒くなった。
他は流れる水を渡れないとか初めて入る家には許可が無いと入れないとかだろうか?
前者はまだ試していないが後者は既に身を持って確認したが、これはセーフである。
まあ、いちいち許可を得なければ入れないというのなら、ショッピングものんびり出来やしない。セーフで本当に良かったと思う。
さて、長くなったが弱点も現在確認したものは全て説明出来ただろう。
少なくとも他に植物の種とかの粒を集めなければ気が済まないとか縄の結び目を解こうと躍起になるとかは無かった、いやいや一安心だ。
まあしかしこれだけ弱点があればもう不死という肩書きは撤回した方がいいんじゃないかとも思う、いや案外私明日とかに死んじゃわないかな?改めて言うと心配になってきた。
まあそんな事にならないようにせいぜい気をつけて行くとしよう、ウッカリ丸太とかで潰されるかもしれないし。
兎にも角にも、私は月明かりの下を歩くのだった。
あ、そうそう。
ちなみにトマトジュースは嫌いである。
よるをゆくもの。