暗い賽子 始めの難問
「ねーこんな謎しってる」
いきなりイイナが言う
またかよ
毛布にくるまりながらそんなことを言う
毛布は黒と灰色の中間色で
ゆいつイイナも侵入できない領域であった
「実はね――」
と伸ばしてから
「一個300円のアメを30個買ったのになぜかレジには2000円しか残らなかったんだよ、 ねっ変でしょ」
そう言って黒塗りの中にいるリンタに言った
その声に
「数え間違いでは」
とそっけなく言うが
「それは無理」
とかすかに空いた毛布から見ると首を振っていた
「なぜ」
そうリンタが聞くと
「だってハイテクだもーん」
と身も蓋も分けも分から無い事を言う
「どういうことだ」
と怒鳴る
自分の短気が嫌になるが
コイツは無視する俺を
気にもしないように
「いやだってハイテクなんだって だって」
同じことを言われた
「どうハイテクなんだ」
「えーーと全て機械がやるからだってゆうんですよ」
「ゆううんですか」
「はい」
元気のいい回答が返ってきた
うんざりする
静かにいたい
静かな遺体のように
「でも単純に機械の誤作動では」
彼女は「ううん ううん」と首を小さく振って
「それはないんだよ だってハイテクだから」
と言い放った。
「いやだから」
僕は言おうとしてやめた
どうせハイテクの1点張りになるだろう
ぼくだってだてに付き合っていない何年も
「それじゃあ偽札でもまじってたんじゃないか?」
どういう事 と不審そうに聞いて来た
「いやだから、機械なら偽札とかを誤魔化されないんだろ
なんたってハイテクだそうだし」
「うんそうなんだけどさ」
どこか不満そうにイイナが言う
「もしそうなら、アメ2000円分しか買えないはずだよ
だって、、ハイテクだから」
、、、、、、、、、、、、、、、
短い沈黙
怖い感情が彼女を見て浮かぶ
コイツは本当に学生だろうか
実は俺が外に出ない間に
精神病院にでも入っていて抜け出してきたとか、、、って、なわけないか
「だとすればどうやったんだよ」
自称探偵が早くもそこら辺の少女が言ったなぞなぞにギブ発言をすると
「知らない だから君に聞いたんじゃないですか」
そうそっけなく少女が言った。
、、、、、、、、、、、、
外が暗くなっても自問自答は続く
こんな女の精神攻撃にまで身を削る必要はない
考えるな毛布に埋もれろ思考よ消えよ平常を我に
一人危ない宗教的精神を悩んでいたころ
「私帰るね」
暗い事務所で女が言った
「ああ、、」
かすれる声でうなずく
戸が開く音
「帰るんだからね」
なぜか最後デレられて戸が閉まる
そこでようやく安住の闇が
しかしなぜか人のいないこの空間に安心は得ない気がした