この席には、
「ほう。藤次郎様を、超える、のう……」
寧人の言葉を聞いたハメット老はくつくつと笑った。
「その心意気は良し。じゃが小僧、才気が追いついてはおらぬようじゃの」
会議室には老人のあざけり笑いだけが響く。
ここまでの語りを聞いていれば寧人にもわかる。この老人は藤次郎以外の人間に本当の意味で仕えることはないのだろう。なればこそ、現在でもメタリカには『首領』がいることになっているのだ。
「おぬしが提案した件、まず一つ目じゃが、な」
メタリカ以外の全ての悪の組織の制圧し吸収する。それが寧人の提案だった。
これは寧人が果たさんとする世界征服には絶対に避けることのできない道である。
「はい。現在、メタリカは世界最大規模の組織ですが。唯一の悪ではありません。俺たちの、メタリカの目標はあくまで世界を制することのはずです。なら、すみやかに他の組織を叩き潰すべきです」
そうだ。あの求人広告にもそう書いてあった。
俺の入った会社の事業内容は、たった一つ。わずか四文字の言葉だ。
その四文字を現実のものにするために動いてきた。そしてやっとここまで来た。
最後の戦いは近い。正義と決着をつけ世界を変えるために、メタリカは本当の意味で唯一最悪の存在になっていなくてはいけない。
寧人はハメットの言葉を待った。
だが、悪の翁は首をゆっくりと振り、そして答えた。
「それは、認めるわけにはいかぬのう」
ひどく、しゃがれた声だった。
会議のテーブルを挟み、寧人の正面に対するハメットが皺だらけの顔を歪ませる。その瞳には老人とは思えぬ圧力がある。
横をみれば、ラーズは目を閉じたまま腕を組んでいる。ヘッドフィールドは神経質に指先をテーブルにタップし続けていた。
重役であるM会議出席者たちは、寧人の考えを支持するつもりはないようだった。
無論、ヘッドフィールドはどうにでもなる、が。他の二人は別だ。
「何故ですか? 現に今、ツルギが部長を務めている第一営業部では他組織の制圧を進めていますし、順調です。問題にされた記憶はありませんが」
米国に出向する前にツルギに出していた指示は滞りなく進んでいる。だがまだ遅い。もっと大きなプロジェクトとして取り組む必要がある。
だが、ハメットの表情は渋いままだった。
「大局をわからぬ小僧が。重役という席はおぬしには過ぎたものじゃったようじゃの。儂の目も曇ったか……」
ハメットは少しイラついているようだった。
「……申し訳ありません。出来れば、理由を説明してくれませんか?」
まだだ。この提案は絶対に通さなければならない。俺には最後までの道筋が見えている。
寧人は一ミリたりとも引くつもりはなかった。
「……よかろう。ヘッドフィールド、この小僧に教えてやれ」
面倒になったのか、ハメットはため息をつくとヘッドフィールドに話を振った。
「よろしくお願いしますよ。プロフェッサーH」
寧人もまた、ヘッドフィールドに笑いかけた。だが、目だけは氷のように冷たいままに。
「……い、いいでしょう。いいですか? 小森くん。常に現場に居続けた貴方には難しい話かもしれませんが……。上には上の、都合というものがあるのです」
回りくどい言い方だ。
「端的にお願いできますか?」
寧人は鋭い口調で告げた。
「は、はい……では……」
ヘッドフィールドは上の都合、とやらの説明を始めた。
他の悪の組織、具体的にはそのなかでもいくつかにはメタリカが攻撃することの出来ない組織がある。
メガデス、アンスラックス、ニルヴァーナ、その他いくつか。
名前を聞けば、メタリカや旧クリムゾンについで大手とされるところがそうだった。
それは、各組織が巨大化していくこれまでの過程のなかで生まれた関係性が原因だ。
どんな時代のどんな組織でもそうだが、あたり一面敵だらけ、という中で組織が生き残り続けるのは難しいものだ。
互いに不可侵の条約を結ぶ、協力関係を結ぶ、一定の約束事のなかでいくつかの悪の組織はその勢力を保っている。
中小勢力などどうでもいいが、大組織ともなれば、互いにうかつに攻め入ることは利害の関係上望ましくない。
それが、ヘッドフィールドの説明だった。
「……なるほど、悪の組織もそのへんは普通ってわけですか? 元々下っ端だったもので、その辺についてはたしかに詳しくはなかったですね……ですが」
寧人は嘘をついた。そんなことくらいわかっている。当然だ。そしてそのまま二の句を告げる。
「それがどうしたっていうんですか? クリムゾンを吸収した今、メタリカがダントツで最強ということくらい誰だって知ってます。条約も同盟もなにもかも破棄してしまえばいい。文句があるなら潰すだけです。それでは、いけませんか?」
寧人の考え方は営業部時代から変わらない。最速の手段で徹底的。それが全てだ。
「……小森。お前の言いたいことはわからんでもない。だが、得策じゃねぇな」
これまで黙っていたラーズが口を開いた。
メタリカ最強の豪傑、武闘派筆頭の男。戦いを求めて藤次郎とともに生きたラーズの言葉には重みがあった。
「仮に、俺たちが他の組織、そうだな。メガデスあたりの制圧に乗り出したとしたら、どうなると思う?」
ラーズは戦闘能力だけの単細胞な無頼漢ではない。闘技に優れるのは勿論のこと、その戦術眼、冷静さも兼ね備えている。
「……それは」
寧人にもラーズの言いたいことは分かった。いや、『わかっていた』
「……おそらく。メガデス以外の他大手が、結託してメタリカに敵対するでしょう」
現在、組織として単独で最強なのはメタリカだ。それはゆるぎない事実だ。
だが、他の大手組織は不可侵の条約があるがゆえに、その状態を良しとしており、ある意味では『安心』しているといえる。
だからこそ、メタリカが不可侵条約を一方的に破棄し他に攻撃しはじめたのなら、他組織はメタリカに脅威を感じるだろう。
次に攻撃されるのは自分たちではないのか? あの恐ろしい連中をどうすればいいのか?
これまで一定の秩序を守っていた集団のなかで一人の逸脱者が現れたとき、集団が逸脱者にする対応はどんな規模でも同じだ。悪を行動理念とする組織ならなおさらだろう。
さすがに、すべての悪の組織を相手にすれば、メタリカも楽勝とはいかないだろう。
ラーズは寧人の返答を受け、頷いた。
「それでも戦う、という選択肢もなくはない。そしてその上で他の全ての組織を殲滅することも出来るかもしれねぇ。だが、こっちも無傷ってわけには、いかねぇだろうな」
ラーズのいうことは筋が通っていた。
それを受け、さらにハメットが言葉を重ねてくる。
「そうじゃ。そうなったとき、全ての悪の組織を倒したとき、そこに残っているのは戦いで消耗しきり、現在より弱体化したメタリカじゃ。その結果になんの意味がある? その上でロックスや世界を制することが出来ると、おぬしは思うのか?」
「……無理でしょうね」
寧人は唇を噛み、答えた。
M会議参加者たちの言葉はもっともだった。
そもそも、なんの問題もないのならすでに彼らの手で他の組織の制圧などとっくに完了しているだろう。
藤次郎が生きていたならどうだったかはわからないが、今となっては彼らの言うことは理がある。
無謀な制圧作戦をしかけボロボロの勝利を得るよりも、ゆっくりと組織を拡大していき、いつの日か訪れるかもしれないそのチャンスを待ったほうがいいのではないか、そのほうがはるかに可能性は高い。
それは寧人も同感だった。
「ふむ、ようやくわかったようじゃの、小僧」
ハメットはこれで話は終わりだとばかりに息をつく。
「残念でしたねぇ。小森くん。まぁ、君は若い、こういうこともあるということですよ」
ヘッドフィールドが笑いをかみ殺しているのが分かる。寧人の考えが否定されたことが嬉しくてたまらないようだった。
寧人は全員からの否定を受け、うつむき、そして答えた。
「……ええ、わかりました」
諦めた。寧人は、自身のさきほどの提案を諦めた。
だが、この提案には先がある。
「……メタリカが他の大組織とことをかまえるわけにはいかない。よくわかりました」
ここまでは新名やツルギとともに予想したとおりの展開だ。
メタリカが他の大組織の制圧に乗り出すのは危険だ。おそらく通らない。
だが、それは絶対にやらなければならないことだ。
ゆっくりと組織を拡大してチャンスを待つ? やっていられるかそんなこと。
それはいつくる? どのくらいの確率だ?
そんなあやふやなものを待てるものか。
己の手で、確実に。それは行われなければならない。
「では、代わりの提案をさせていただきます」
だから、その上で考えていた。
メタリカのリスクを最小限に抑え、その上で他の組織を潰して奪う方法を。
そして一つの結論が出ていた。
そしてそれは、同時に、俺がメタリカの頂点に立つための方法でもある。
「……代わりの提案、じゃと……?」
「おやおや小森くん、諦めが悪いですねぇ……」
「そっちが本命、というツラだな。言ってみな、小森」
重役たちは声質を変えた寧人に視線を向ける。
「……ええ。俺は、引くつもりはありませんよ」
視線を受け、寧人は椅子から立ち上がった。
頂点に立ち世界を壊すために、これまで数々の功績を立て認められ、昇ってきた。
気がつけば常務取締役。だが、これまでの方法では今より上にはいけない。何故なら、最終的に昇進を決定する者たちのすぐ下まで来てしまったからだ。
さらに、明らかになった藤次郎が死んでいるという事実。
重臣たちは今は亡き王に固執し、空位となった王座を守り続けている。
ならばなおのこと、頂点に至る道は閉ざされてしまっているかのように思える。
だが、違う。
このためだ。すべてこのために行動してきた。
クリムゾンを乗っ取ったのも。
新型の改造人間コンペに真紀の案を採用させたことも。
サンタァナを味方にしたのも。
これまで係わったメタリカのものたちをツルギの下につけていたのも。
何もかもすべて、この一手のために。
寧人はM会議参加者をゆっくりと見渡し、全員の注目が集まったのを確認したうえで、言い切った。
「俺は、メタリカを離反します」
一瞬。会議室の時が止まった。
こいつは、なにを言っている?
誰しもがそういう目だった。
「な、どういうことだ!? 小森!」
もっとも早く反応したのはラーズだった。獅子のような激情だった。
「メタリカを、裏切るということかの? 軽々しく口にするとは……ほとほとあきれ果てたぞ。なれば、おぬしは儂らを敵に回す、ということになることはわかっておろうな?」
続いてハメット。不穏なことを言い放った若造に対する、蛇のような殺意が見て取れた。
ヘッドフィールドはどう動けばいいのか、図りかねているようだ。
寧人は右手をかざし、彼らを制し、そしてゆっくりとした声で告げた
「……落ち着いてください。離反、というのは、あくまでも外から見た場合です」
「……何が言いたいのじゃ?」
ハメットの殺気を受け流し、寧人は笑顔で答える。
「分かりやすくいえば、社内ベンチャー、ってやつですよ。後輩の受け売りですけどね」
社内ベンチャー、ビジネスの世界ではたまに使われる言葉だ。企業内で新たな企業を立ち上げ、新事業に乗り出す、といったようなことをさす。
「……具体的には、今ツルギが部長をやっている第一営業部の一部と、サンタァナ、そしてクリムゾンを率いて新たな組織を作ります。メタリカには陰でバックアップはしてもらいますが、他の悪の組織と戦うのはその新組織です。一つ一つ潰して奪っていきますよ」
「小森、お前……」
「察しがいいですね。ラーズ将軍。勿論、その新組織のトップは俺と……あともう一人を予定しています」
トップに立つのは二人。寧人だけでは、戦い抜くことは出来ないという判断からだった。
「そしてこういう筋書きになります。『メタリカ新進気鋭の若手は自分の実力を過信し、メタリカを離反し新組織を立ち上げた。そして他の組織に挑みかかるようだ』……どうですか?」
再び会議室内に訪れる沈黙。だが、誰もが若き悪から視線をそらせずにいた。
「この方法の利点は二つあります。一つは、敵組織が結託しないこと。そりゃそうですよね。元メタリカとはいえ、離反した弱小組織を相手にするためにそこまでするはずが無い。別に仲良しってわけじゃないんだから」
寧人は席を離れ、室内を歩きながら話す。ゆっくりと、だが一つ一つ確実にだ。
弱い自分は切り捨てる。悪を極めるために。最後までこの階段を上るために。
怖くても、ひかずにいられるように。
魂に黒い火を灯す。
いつのころから自在にそれが出来るようになったかは覚えていない。
だが、今ではそれが自由自在だ。
会議室内をつかつかと歩きながら、徐々にその火を強くしていく。
「そして二つ目、メタリカにとってはローリスクハイリターンが期待できます。たとえ俺が失敗して新組織が倒されても、メタリカ本体にとっては致命的なダメージにはならない。そして、もし成功したのなら、俺は……」
この身に宿る火がさらに大きく、熱くなっていくのを感じる。
さらに会議室内を歩く、ラーズ、ヘッドフィールド、ハメットの背後を通過し、そして、空席となっている首領、藤次郎のための席で立ち止まった。
「他の全ての組織を制圧して強大になった新組織を率いて、メタリカに戻ります」
寧人は幹部たちを見据え、明確な言葉をぶつけた。
「……な……」
メタリカが誇る三人の悪は、寧人の言葉に絶句した。
意味のわからない彼らではないはずだ。
すべて、俺の言うとおりだ、ということくらいは一瞬で理解ができることだろう。
クリムゾンを初めとする寧人傘下の者たちは、精鋭ではあるが、メタリカ全体に比する者ではない。
もし、寧人率いる新組織がすべての悪の組織を制圧しその上でメタリカに戻ってくる、という言を信ずるのならば、これに勝ることはない。リスクも押さえられる。
だが、重役たちからすればまだ問題がある。それも想定済みだ。
「……小森くん、貴方の野望はわからないでもない。ですが、いかかがと思いますがねぇ。十中八九、あなたは他の組織に潰されてしまうでしょうから。仮にあなたの仮初めの離反を許したとして、それであなたの新組織とやらが潰えてしまえば、やはりメタリカから見れば、損失になります。ハメット様、これをお認めになりますか?」
ヘッドフィールドはハメットの顔色を伺うそぶりを見せた。
だがハメットも、そしてラーズも黙っている。
ヘッドフィールドの言うことは予想できたことだ。
新組織とはいえ、それはメタリカの一部が抜け出た形になる。それが潰えてしまうのは、メタリカ全体に比べれば小さいが、損失は損失だ。勝算の少ない戦いに賭けるわけにはいかない。
これは、一見するともっともだ。だが違う。それがわかっていないのはヘッドフィールドだけのようだった。
「認めない? わかっていないんですか? これはもう、そういう話ではないんですよ」
寧人は丁寧な口調のまま、ヘッドフィールドにあざけりの視線を向けた。
一度離反を口にした、もう戻ることは出来ない。
「あなた方が新組織の立ち上げを認めず、バックアップをしないというのならそれでもいい。それなら、俺は、本当に離反します」
そうだ。ただそれだけのことだ。無論ツルギら腹心やクリムゾンと共に離反する。
組織への裏切り? 知ったことか。ここは、そういう世界のはずだ。
「そしたらメタリカは俺を倒すしかないでしょう。当然抵抗させてもらいますけどね。流石に俺もメタリカを相手にして勝てるとは断言できません。ですが、俺は簡単には倒せませんよ。そちらにもそれなりの犠牲を覚悟してもらいます。戦いの末に残るのは、現在より弱体化したメタリカです。それに、何の意味がありますか?」
寧人はハメットに視線をやった。
幾年も闇に生きてきた老人との睨み合い、だが寧人が折れることはない。
幾多の正義を超えてきた業がある、悪を貫くために犠牲にしてきた情がある。
だから、折れることは、ない。
「……小僧…」
蛇には、蛇を。
クリムゾンをはじめとする精鋭を率いる俺と戦うのはメタリカにとっても危険なことだ。下手をすれば幹部たちの身すら危険にさらされるさろう。
それくらいなら、新組織の立ち上げを裏からバックアップし、この案を採用したほうがいい。失敗しても滅びるのは俺だけで、成功すれば莫大な利が得られるのだから。
そして、ハメットには人の心の奥を読む洞察力がある。ならわかるはずだ。
これがハッタリではないことを。俺には、本当にメタリカと戦う覚悟があるということを。
先に視線を伏せたのはハメットだった。
「……見事じゃ、小僧」
ハメットは寧人の言葉に異を唱えることはなかった。
「くく…くくっ……うわっはっはっはっは!!!」
静かだった会議室に豪快な笑い声が響く。声の主は、もちろんラーズだった。
「小森! お前は本当に面白いヤツだな! まさかメタリカに裏切りをチラつかせて、思いのままに動かそうなんてな!! その脆弱そうな姿からは想像もつかん! それが出来るのは、間違いなくお前だけだろうよ。藤次郎とはタイプが違うが、お前も同じくらいの極悪人だったようだな!! 」
ラーズはどことなく嬉しそうに見えた。
「ありがとうございます。ラーズ将軍。褒め言葉として受け取っておきますよ。では、よろしいですか?」
新組織の立ち上げ。表向きにはメタリカからの離反とし、その裏ではバックアップを受けつつ、他の組織を制圧する。そしてその後、新組織はメタリカと再度一つになる。
この案に反対する者は、もういなかった。
「……よかろう。おぬしの考えを許す。じゃが小僧。おぬしが行く道は、地獄じゃということはわかっておろうな?」
ハメットの言葉。それは当然のことだ。
そもそも、メタリカの一部の者のみで構成された新組織が、戦いに勝ち残ることは難しいだろう。ヘッドフィールドが言ったように、それは無謀なことかもしれない。
そんなことは当然分かっている。
「……もちろん、覚悟の上です」
しかし、それが出来たのなら。
新組織を率いて全ての悪を軍門に下し、その上でメタリカに戻ることが出来たのなら。
すべての悪をまとめあげることができたのなら。
そのとき、この世界には、史上最大の悪が誕生する。
「……そして、俺が、その地獄を超えて、ここに戻ってくることができたのなら……」
次に続く言葉は本来なら言うまでもないことだ。史上最大の悪を作った男がこの場所に戻ってきたのなら、その男が位置するところは決まっている。ごくごく自然なことだ。
誰にも異を唱えることはできないだろう。それはこの場の誰もが分かっているはずだ。
だが、寧人は心に宿る黒い炎を燃やし、あえて宣言する。
頂点へ。あの日誓ったその場所に、俺はたどり着く。
寧人は目の前に位置する空席となった首領の座に強く手を叩きつけた。
力強い音が室内に鳴り響き、崩御した王の重臣たちの視線が一点に集う。
その中心で、寧人は吼えた。
「この席には、俺が座ります」
小さな声だった。冷たい口調だった。
だがそれは、咆哮だった。
この日、世界には新たなる悪の組織が誕生した。
その名は、『スレイヤー』
世界を、殺すもの。