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悪の組織の求人広告  作者: Q7/喜友名トト
米国進出編~スリップノット/ソニックユース~
51/106

今から俺はお前らを消す

 (アニス、この戦いが終わったら、伝えたいことがあるんだ) 


 寧人はメールをアニスに送信すると、車内備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、一口飲んだ。落ち着くためだ。これから悪事をはじめる。


 2トップロックスとの対決のために行う悪事として寧人が実行を決めたのは銀行強盗だった。

 通常、クリムゾンはマンハッタンでの銀行強盗などめったにやらない。クリムゾンの運営資金になるほどの金を一銀行が現金で保管しているか怪しいし、仮にあったとしても銀行から強奪すれば、米国ドルの信用が国際的に下がりインフレの要因となり、結果としてせっかく奪った金の価値が下がるからだ。


 だが、今回の目的は金を奪うことではない。それを止めにくるであろうソニックユースとスリップノットと戦うためだ。二人を確実に呼び寄せるには、派手な悪事をやる必要がある。銀行強盗はうってつけだ。



 銀行強盗の実行は寧人と新名、および二人の下に位置するマンハッタン所属のクリムゾン構成員だ。ほかの幹部の者たちは、念のためマンハッタン島を取り囲むように戦力を配置している。これも寧人の発案によるものだ。たとえば寧人らの奮闘によるロックスがダメージを受け、現場から離脱する、というような状況のための備えだった。


 一度に戦える人数など知れている。だから最初に直接戦うのは寧人らだけだ。


 「先輩、今回は……大丈夫っすかね?」


 現場に移動する社内、新名が語りかけてきた。作戦の概要の表向きの部分は新名にも説明している。


 「? ああ銀行強盗とかそういえば意外にもやったことないな。でもクリムゾンの戦力なら簡単だろ」


 作戦はいたってシンプルだ。銀行の周辺に人員を展開し、人を寄せ付けない。精鋭メンバーで銀行突入、強奪、これで終わりだ。警備員が抵抗してくるようなら黙らせる。オーバーテクノロジーの兵器を使いこなすクリムゾンに加え、改造人間の寧人までいれば、それはたやすいことだ。



 「ああ、銀行強盗はラクショーっしょ。俺が言ってるのはそっちじゃなくて、ロックスに勝てるのか、ってことっすよ」


 寧人は過去にスリップノットを倒しきれなかった、そして今回はソニックユースまで相手をする。新名の不安はもっともだろう。


 「……さあね。それにしてもお前、いいのか? 命がけだぜ」


 新名は寧人の部下だが、作戦を強要してはいない。それくらい危険なことはわかっているからだ。


 「命がけ、ねぇ……そんなのいつもっすから慣れましたよいい加減。あ、でもガチでやばそうなら俺逃げるんで」


 「お前らしいな。じゃあそうしろよ」


 飄々とした態度の新名に、寧人は思わず苦笑した。こいつもすいぶん成長したもんだな、なんて思いながら。



 「そろそろ到着かな。んじゃ、さくっと銀行強盗するか」


 「うぃっす」


 作戦開始からわずか数分、寧人率いるクリムゾン部隊はマンハッタン南銀行の制圧を完了した。現金や金塊を最低分だけ大型トラックに積み込み、先導するための強行用大型トレーラーや援護するための車両、バイクとともに逃走を開始した。



 当然、道中では進路を妨害してくるガーディアンが立ちふさがってくるし、道路も封鎖されたりする。他エリアの幹部たちの手による妨害により、とても十分な数が回されてはいないようだが、それでも障害としては通常十分な戦力だ


 しかし。



 「やれ」


 寧人には関係ない。今日これからやることに比べれば、この程度どうということはない。



 寧人の指示一つでクリムゾン構成員は光子バズーカを発射し、バリケードを破壊。あるいはそのまま装甲車両で突っ込み強引に突破。ガーディアンの車両も、バリケードもなにもかも吹き飛ばす。


 クリムゾン部隊の車両群の中央、リムジン後方席に足を組んで座る寧人は眉ひとつ動かさない。いたるところに爆炎や破壊音が満ちるなか、すこしも心を乱さず、部下たちに指示を与え続けている。


 妨害するものはすべて破壊する。怪我をしたくないならそこをどけ。


 寧人たちの車は止まらない。猛スピードで疾走し、道をふさぐものは強引に排除する。行く道は爆発で明けられ、横転した敵車両からは炎が上がる。


 「……うひょー。やっべ。これ昔のハリウッド映画みたいっすね。2050年代くらいまではこういうカーチェイス映画みたいなのが流行ってたらしいっすよ。無茶苦茶っすよこんなの」


 新名もまた、苛烈な悪であることに、戸惑わなくなっているようだった。彼自身、熱源感知機のモニタをチェックしつつ、こちらを攻撃しようとしてくるガーディアンの位置を冷静に確認して先手を打っている。


 「ふーん。無茶苦茶? 結構じゃないか。このくらいやらないとヤツラは釣れないぜ」


 寧人たちはマンハッタンを駆け抜け、ワシントン橋に差し掛かる。橋には一般車両はいない。封鎖されているようだった。だが、疾走する悪の組織を止めることが出来るものはいない。


 そう、これを止めることが出来るのは英雄だけだ。


 突然だった。



 先頭を走っていた大型装甲トレーラーが横転した。激しい音と振動が橋の上に広がる。



 「!? な、なんだ!?」


 構成員たちが慌てた声を出す。


あらゆる障害を破壊してきた装甲車両は横倒しになると、寧人らの進路を防ぐ壁となる。後続の車両は橋の中央あたりでストップを余儀なくされた。


 確認をとると、まずは装甲トレーラーのフロントガラスは銃弾によって破られ、ドライバーは肩に被弾したそうだ。もちろんガラスは防弾なのだが、寸ぷん違わぬ場所に連続して狙撃を受けたことで、弾丸の貫通をゆるしてしまったらしい。


 さらに、それで運転が乱れたところを、突如ハドソン川水上から高速で橋の上に飛び込んできた者が車両内に突入、ドライバーを確保してそのまま離脱、ドライバーを橋からハドソン川に投げ捨てていたのだ。


 もちろん、横転して壁になった車両は破壊しようと思えばできる。がしない。最初から現金を強奪することが目的なわけではない。目標がエサにかかった。それだけのことだ。


 防弾ガラスを破壊するほどの精密射撃、爆走する装甲車両に軽々と単機で追いつき、目にもとまらぬ速さでドライバーを倒した手並み。


 いずれも常人になせる技ではない。


 「……きやがったか。いくぜ、新名」


 「了解っす」


 寧人はリムジン後部席を立ち上がり、車外に出た。あの二人を相手に車内にいたままでいるなど、自殺行為だ。


 部下たちにも同様の指示をだす。


「各自、武器を携帯のうえ、バリケードを構え、敵を捕捉する体勢を取れ」


 クリムゾンの部下たちは大型の盾と火気を手に、車から降りる。


 寧人は進行方向を見る。横転した車両の上に、乗っている男がいた。どうやってそんな高さに一瞬で昇ったのか? その問いは、この男には愚問でしかない。


 米国最強の一角。世界最速の男。


 「どこからでも見える位置に仁王立ちでとうせんぼ、か。なるほど、あれこそロックスの姿だよな。かっこいいったらありゃしない」


 男は沈み行く夕日を背に、神々しいまでのオーラを放っている。


 ちなみに、もう一人のほうの姿は見えない。どこかに隠れてこちらをみているに違いない。


 「はっ、まぁ、あいつらしいっちゃアイツらしいな。とりあえず、俺はあの音速野郎をなんとかするか」


 寧人は男のほうへ向け、歩き出した。部下たちが銃口を向けているあの男へ、ゆっくりと近づく。


 男のほうも寧人の接近に気づいたようだ。


 男はスピードスケーターのようなゴーグルをしているが、その奥の瞳がこちらを見下ろしているのがわかった。二人の視線が衝突する。


 「よう、ちょっと銀行から大金をとってきたんだよ。悪いけどどいてくれないか?」


 寧人は偽りの余裕を表面にだし、男に語り掛けた。


 「この街には人の自由と夢がある。それを、踏みにじらせはしない。投降しないというのなら、私が相手になろう」


 男もまた、声をはる。よく通る、綺麗な声だった。自信に満ち溢れた、正しい男の声だった。


 モトクロスバイクレーサーやエクストリームスポーツプレイヤーを思わせる各部のプロテクターは鮮やかな青。流線型のヘルメットからのぞく美しい金髪。均整のとれた筋肉質な体型。そして、なによりもその足に装着しているメカニクルなローラーシューズ。全米の誰もが知る英雄。



 「へえ、そうかい。じゃあ、お前を倒すぜ。『ソニックユース』!!」


 そこには最速の男、ソニックユースが立ちふさがっていた。


 風が強い。寧人のきているスーツがはためいている。ネクタイがなびく。


 寧人はネクタイを結び直すと一度ソニックユースを睨みつけた。そしてうつむく。ポケットに手をいれたまま、小さく、しかしはっきりと呟く。


 「……変身」


 一瞬にして肉体が変質する。黒い力が体中に満ちる。


 「ウオオオオオッ!!!」


 その場から跳躍、ソニックユースにむけて跳ぶ。同時に新名の指揮のもと、クリムゾン構成員たちの一斉掃射がソニックユースを襲う。



 「!? なに!?」


 突風が吹いたように感じた。そして消えた。ソニックユースがいきなり視界から消えた。

 

 そんなはずはない。たしかにあそこに……。


 その瞬間、寧人の肩に衝撃が走った。


 「止まってみえるね」


 肩に食い込むローラー。見えなかった。まるで見えなかった。一瞬のうちにトレーラーの上から寧人の頭上に移動していた。


 「馬鹿な!?」


 速い。予想よりもはるかに速い。寧人は寒気を覚えた。あわてて、頭上に爪を振り上げるがすでにそこにはいない。


ソニックユースは寧人の肩を蹴り、一瞬にして新名らのもとまで移動していた。



 「うわっ!? この……!!??」


 「ソニックユース!!??」


 「まずい!! まずいぞ!!」


 部下たちは混乱しているようだ。無理もない。


 「落ち着け!! 全員、対象右側に回りこんでから射撃っす!!」


 新名の判断は的確だった。ソニックユースは円形に散開していたクリムゾン部隊の中央に着地していた。そのまま周りのものがソニックユースを撃てば流れ弾で同士討ちは避けられなかっただろう。


 だが、その的確な判断もまったく意味がなかった。


 「無駄だ……!」


 ソニックユースはターンやスピン、ダッキングにスウェー、常人には目で追うことすら不可能な反応ですべての弾丸をかわした。


 「私に弾丸は利かない」


 フィィィン、というようなローラー音が不気味に響いていた。


まるで弾がすり抜けたようにさえ思える。


 「おとなしく武器を捨てたほうがいい。さまなければハドソン川の寒さを味わうことになる」


 「……くっ……」



 部下たちはためらいを見せた。その瞬間さらに状況は悪い方向に傾く。


 「なっ!? ど、どこから撃ってきているんだ!!??」


 ソニックユースと対峙する部下たちが次々に倒れていく。狙撃だった。間違いない。もう一人のA級ロックス、スリップノットの手によるものだ。


 変身した寧人には銃弾のきた方向がわかる。上だ。


 「野郎……! おいテメェ!! いつからそこにいやがった!!」


 見上げれば。スリップノットはワシントン橋の欄干の上にいた。例の黒のコスチュームを身に纏い、淡々と狙撃を繰り返していた。



 「? ソニッ君がカッコよく登場したときからずっといるけど? それがなにか?」


 寧人の叫びにたいしてあくまでも軽い調子で答えるスリップノット。しかも話しながらも武装を変更している。ライフルを欄干におくと、手榴弾のようなものを次々取り出す。


 「スリップ投手、投げたーー!!」


 剛速球だった。極限近くまで鍛え抜かれたスリップノットのなげた小型手榴弾はクリムゾンの車両群の中心に連続して正確に投げ込まれ、半数の車両を火柱に変え、半数の車両をハドソン川に落とした。


 「イェーイ!! ストラック! アウト!!」


 異常なほどにテンションの高いダークヒーローの一撃はクリムゾンの機動力を一瞬にして奪った。人員も何人かは負傷し、また川に落ちている。


 「……上等だ。ならお前から殺してやるよ」


 寧人は再び跳躍、羽根を広げて欄干上のスリップノットに迫る。


 空を切り裂き、間合いを詰める。あとわずか、あと数メートルで爪を突き刺せる距離にたどり着く。


 状況を見守るクリムゾン構成員たちの誰もがそう思っただろう。しかし、それは誤りだった。



 「やらせはしない!!」


 「!?」


 突如、寧人の右側、当然空中から聞こえてくる声。何故、お前がここにいる。さっきまで下にいたじゃないか? 


 寧人の視界には突如現れたブルーのナックルガードが映る。それがそのまま顔面に突き刺さる。加速によって生じた衝撃波と重なり、寧人は吹き飛ばされた。


 一瞬にして上空十数メートルの位置まで疾風のように移動し、そして攻撃してきたのだった。


 


 そのまま橋まで叩きつけられる寧人。重い衝撃音が響き、コンクリートの破片が舞う。



 「……がはっ…!!」


 寧人は肺中の空気を洩らし、苦しみあえいだ。


 「ふーっ! 怖い怖い。ソニックがいて助かったよ! サンクスバディ! いやー。悪いやつってホント怖いよね! 俺を殺そうとしたよ! 困ったもんだ。うんうん」


 「油断するな。スリップノット。そしてもう無駄な攻撃もするな。彼らとて同じ国に生きる権利がある。彼らは捕らえて法の裁きを受けるべきだ。いや、もしかしたらあの男は投降してくるかもしれない。すこし待て」


 上空ではスリップノットが手を叩いてはしゃいでいる。ソニックユースは欄干の上を高速で滑り、こちらの様子を伺っている。



 寧人は内臓まで響くダメージでしばらく立ち上がれなかった。体が回復するまで、すこし考えを整理する。


 状況は絶望的、部下の誰もがそう思っているだろう。


一人でも手に負えないロックスが二人。そして頼みの綱の改造人間、悪の天才様はこの有様。


 車は爆発炎上、封鎖されている橋。他の幹部やクリムゾン構成員たちは助けにはこない。戦うのはあくまで寧人たちだけ。他のものは包囲はしているだろうが、それは寧人らが勝ったときにロックスを逃がさないためだ。


 それは寧人が言い出したことだ。こんなバクチみたいな戦いにクリムゾンの全戦力など出せるわけがない。勝てば奇跡。勝算はわずかだけどある。だからやらせてくれ。そういう戦いだった。


 そして、負けた。もう終わりだ。



 と、思っているに違いなかった。


 「先輩!! ダイジョブっすか?」


 新名が駆け寄ってくる。


 「ああ、問題ない。何もな」


 助け起こされながら答える。問題はない。すべて予想通りだ。


 寧人はあたりを見回した。



すでに橋は炎上する車両と煙で地獄さながらの光景だ。日もまもなく落ちる。視界はますます悪くなるだろう。そして上空にはヘリもきている。あれはマスコミのものだ。橋の両端は封鎖され、もちろんガーディアンやマスコミがいる。踏み込んでこないのはクリムゾンを恐れているから、そしてそんな恐ろしい存在を止める力であるロックスの強さを信じているからだ


 マンハッタンが、いや全米がこの光景を見ているに違いない。誰もがみんな、悪者と戦うスーパーヒーローの姿をみているはずだ。遠視モニタや双眼鏡を使って、橋の両端から、あっちの岸から、こっちの岸から。あるいはテレビで。みんながみている。


 このためだ。このために派手な銀行強盗とカーチェイスをやった。撮影しやすい橋の上を通った。


 どうだ? 新名の言ったとおり。まるで映画のワンシーンだろ? 


 クリムゾンは負けた。トップも行方不明らしいし、そのなかで無謀な悪事を働き、それを止めに来たロックスに叩きのめされ負けた。


欄干の上から見下ろすヒーローのカッコよさと、道路に叩きつけられた悪魔の惨めな姿をみて、そう思っただろう?


 だからこそ、いい。

俺の道を切り開くために最高の、そして最『悪』の状況だ。


 


 思ったより、早かった。準備は整った。あとはすこし耐えるだけだ。


 「新名、当初の予定通り、他の皆と一緒に逃げろ。川に飛び込んでも死にはしないさ」


 この場から離れさえすれば、他エリアの幹部が展開している人員による救出も可能だろう。救命胴衣も用意してある。


 「りょ、了解っす。でも先輩、本当にダイジョブなんすか?」


 「ああ。大丈夫だ。ここから先は俺一人のほうがいい」


 「……もし、前みたいに、街や市民を人質にするつもりなら、きびしいと思いますけど……」


 新名は頭がいい。たしかにそういう手もないではない。だけど確実ではない。


あのときとは違い、注目されている。ガーディアンだっている。そう簡単に市民や街を襲える状態じゃない。それにスリップノットはそれで自分が倒されそうな最終局面では人質など無視するだろう。


そしてなにより、その方法では、仮に上手くいったとしても、敵を始末するだけで終わりだ。


 違う。今回はそれだけじゃ終われない。倒すだけじゃダメなんだ。


 「違うよ。俺は、この戦いで全てを手に入れる。米国最強のロックスを倒した称号も、クリムゾンも」


 そして、最悪の行いをした人間としての業も。

 そして、かわりに大事なものを、失う。


もう二度と、見るだけで明るくなれたあの表情を向けられることはなくなるかもしれない。


 だがそれでも。


 「早く行け。新名」


 俺は行く。世界を変えるために。『アパートの右側』を変えるために。


 どん底をどん底のままにしないために。世界は大多数の正しく満ち足りた者だけのものじゃない。


変化を望む人が少なくとも、関係ない。俺がそうしたいからそうするんだ。



 寧人は歯を食いしばり、立ち上がった。


 「……。わかりました。んじゃ、先輩、死にそうっすから、もし生き残ったら、たまには俺がおごってあげますよ!!」


 新名はそういうと、他の部下たちとともに、救命具を着用し、ハドソン川に飛び込んでいった。小型潜水艇も用意してある。問題はないだろう。


「……間中さんの最後の言葉……あれはこう言いたかかったんですよね?」


 寧人は震える膝を押さえつけ、独り言を言った。


「『悪と言う言葉の本当の意味を教えてくれ』……ええ。もうすこしでわかりそうです」



 寧人は二人のロックスを見上げた。


 「君はどうする? 投降するというのなら、私が付き添おう。これ以上の戦闘は無意味だ」

 

 ソニックユースの寛大な言葉。それも本当に心から言ってくれているのだろう。10年前の寧人なら、サインをほしがったに違いない。でも今は違う。


 寧人は鋭く正義を睨みつけた。



 「投降? ふざけるなよ。今から俺はお前らを消す。ああ、俺はお前と違って、投降したところで消す。覚悟は出来たか?」


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