6.待ち人?!
・・・遅い!!仕事だけど、なんでこんなに遅いの?
時計は深夜0時。今夜は、藤田さんを連れて、接待に向かった修二さん。
『約束』
を、守る為に、合鍵で、修二さんの部屋にいる私。
付き合っているわけでも、結婚しているわけでもないんだから、ここでいつまでも待っているわけにはいかない。明日だって早いのだから。
私は溜息をつき、立ち上がった。
あくびをしながら、ノブに手をかけた。
…ガチャ。
私より先に、誰かがドアを開けた。
「・・・」
「すみれ、ただいま」
・・・抱きつかれた。…相当酔っているみたい。お酒臭いし・・・
「今日はもう帰りますね?」
「ダメ」
そう言った修二さんは、グイグイと私をリビングに連れて行く。
「…キャッ」
ソファーに押し倒されてしまった。
「・・・しよ?」
「?!」
「ダメです!」
「冷たいな…前はあんなに・・・」
「や?!やめてください、酔ってる人と、そんな事はしません」
ネクタイと上着を脱がした私は、修二さんを寝室に連れて行った。
「今夜は寝てください、いいですね?」
・・・ちょっと言い過ぎたかな?と、思いながら、私は寝室のドアを閉めた。
・・・朝。目が覚めた私は。
「なんでここに?!」
飛び上がるほど驚く羽目に。
寝る時は、家の鍵はちゃんと閉めたはず。確認したことも覚えてる。
じゃあなんで、今、ここに修二さんが寝ているの?
「修二さん、起きてください」
思いっきり揺らして起こした。
「・・・ん?・・・おはよ」
「おはよ、じゃありません!なんでここにいるんですか?」
「一緒に寝たかったから?」
「どうやって入ったんですか?」
「鍵をかけて入ったに決まってるだろ?」
平然と答える修二さん。
「この鍵は、私しか持ってませんよ?」
「うちの鍵とここのカギ、一緒だって言わなかったっけ?」
「・・・うそ」
「うそじゃないよ。ここの部屋、しばらく親戚が使ってたから、何かと便利がいいって一緒にしたんだ」
「鍵、代えてください」
「なんで?」
なんでって・・・
「何かと不便で・・・」
「オレがいたらイヤ?」
そう言うわけでは・・・
何も言わない私を見た修二さんは、
「わかった、今度、鍵代えてもらうから」
と、寂しそうに呟いた。
「い!・・・いいです・・・同じでも」
そう言わずにはいられなかった。
私の言葉に、修二さんの顔から、笑みがこぼれた。
・・・その笑顔は反則です。
ギュッと抱きしめたくなっちゃうじゃないですか。
…ところで、この腕枕からは、いつ解放されるのかしら?
「修二さん」
「ん?」
「そろそろ、仕事へ行く準備がしたいんですが?」
「あ~・・・もうそんな時間か」
「すみれ、どうした?」
「…あの、ご飯、食べていきますか?」
「・・・良いのか?」
「いいですよ」
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
なんだか、同棲してるみたい。
それはそれで、幸せ。
こんな幸せな時間が過ごせるなんて、夢みたい。大好きな人と・・・
好きだと言わなくても、私の傍にいてくれる修二さん。
甘えていいのか、自分の気持ちをちゃんと伝えた方がいいのか。
ずっと考えていた。
こんなにも愛されて、幸せなのに、伝えないのは、悪い気がする。
でも、
離れる時が来てしまうなんて、今の私には、考えもつかなかった。