5.二者択一?!
1週間後の日曜日。私は空港の前に立っていた。
私の答えはただ一つ・・・
アメリカ行きの搭乗口。春也の姿が見えた。
「春也さん」
私が呼ぶっとそっと振り返って、手を振った。
「答えは出たのか?」
真剣な眼差しで見つめられた。
「・・・はい」
「聞かせてくれ」
私は息を呑んだ。
「私は、アメリカには行きません。あの会社が・・・青木社長を…愛しています。
苛めなんかに負けません」
「そんなに強い心があるのに、なぜ、アイツに好きだと言わない?」
「言えません。愛しているからこそ、言わない言葉もあるんです」
「そんなの納得できないな」
「私は納得してます」
「すみれが好きだと言ってくれたら、会社を潰してでも、お前を守る奴なのに」
「フフ、やりかねませんね」
「…お、噂をすれば」
春也が指差した。
息を切らせながら、こちらに向かって走ってきたのは…
「・・・修二さん」
「時間だから行くよ。アイツにちゃんと伝えてやれよ?アイツを一生独身にしておくつもりか?」
「・・・考えておきます」
その言葉にクスッと笑った春也は、私の頭を撫でると、エスカレーターで、下に下りて行った。
「すみれ!」
ガバッと私を抱きしめた。
「く、苦しいですよ。修二さん」
「行かせないと言ったはずだぞ?」
「・・・」
「オレの言う事が、聞けないのか?」
「修二さん」
「行かせない」
「あの…人の話しを聞いてくれますか?」
「・・・」
やっと私を見た。クスッと笑った私。
「・・・何が可笑しい?」
「もう、アメリカ行きの飛行機は出てしまいました」
「・・・だから?」
「私はアメリカには行きません」
微笑んだ私を見た修二さんは、ただ、私を見つめた。
「秘書を続けてもよろしいですか、社長?」
「…当たり前だ」
もう一度、強く、強く、私を抱きしめた。
「だから、苦しいって」
「オレの傍にいろ。何があっても」
「・・・はい」
「逃げたりなんかしたら、どこまでも追いかけるからな?」
「…ストーカーですか?」
「ストーカーみたいなもんだ」
…愛してる。
その言葉はまだ言えないけど、いつか、言えたら、その時は、ちゃんと聞いてくださいね?
修二さんは私の手を引いて歩き出した。