13.その性格叩き直せ?!
次の日から本当に雅也は、秘書課で働きだした。
なんだか、社長が二人になったみたいだ。
自分の会社を持っていると言っていた雅也だったから、そんなオレ様的な態度に、秘書課の皆はお手上げ状態だった。
「雅也、お前ここに何しに来た?」
修二さんの一言。
「兄貴を見習いに?」
そう言って笑った。
少し呆れ顔の修二さんが、私を見つめる。
「雅也を頼めるか?」
・・・頼まれたくはない。
「…私にできる事、何か考えてみますね」
そう言った私は、雅也を連れて廊下に出た。
「あの、今秘書課の一人、いえ、一人の人として雅也さんに言いたいんですけど」
「・・・何?」
「昔、お父様と何があったかは深くは知りませんが、この会社を潰すことだけは、許しません。貴方、仮にも会社を持つ社長でしょう?貴方みたいな社員がいたら、会社は上手く回りませんよ」
終わったと同時に、雅也は私を突然抱き寄せた。
「兄貴、意外にお喋りなんだな。アンタにそんな事まで言っていたとは・・・
それにオレに楯突いたのも、アンタが初めてだ」
そう言って微笑んだ。
「離してください。まだ話が・・・ん?!」
私の言葉を遮るように、雅也は私にキスをした。私は驚き、雅也を突き飛ばした。
「何してるんですか?!」
真っ赤な顔の私に。
「アンタの事、気に入った」
そう言って微笑んだ。
そんな雅也を私は睨んだ。
「その顔、そそるね?」
「なっ?!」
そんな時だった。
「すみれ、こんなところにいたの?!」
慌てた洋子さんが現れた。
「貴方、社長のお父さんでしたよね?」
「そうだけど?」
「会長が倒れたの!至急大学病院に向かってください」
「何でオレが・・・」
…駄々をこねる子供か?私は腹が立って、雅也を無理やり病院に連れて行った。
病室の前、なかなか中に入ろうとしない雅也。
「いい加減、中に入ってください!」
「兄貴が会えば、それでいいさ」
それだけ言うと、帰ろうとした。
「雅也さん!」
私は雅也の頬を勢いよく叩いた。
「会長・・・お父様に、もしものことがあったらどうするんですか?もう、昔の事情も聞けないんですよ?」
「…事情?」
「何の理由もなく、お母様を一人、死なせたと思いますか?」
「・・・」
「さぁ、中に入りましょう」
私はそっと背中を押した。観念したように、雅也はドアを開けた。
「…親父」
会長がこちらを見て、少し笑った。
「声が大きいな・・・全部、聞こえてたぞ?」
「倒れたんじゃ?」
「ただの過労だ・・・母さんの事、すべて話そうか?」
・・・そう言った会長の顔は、父親の顔に変わっていた。
それを見届けた私は静かに病室を出ていった。
ドアを閉めたと同時に、
「すみれ」
修二さんの声が聞こえた。
綿他紙は微笑み、修二さんに抱きついた。
「すみれ?」
「お父様は、元気そうです・・・昔の誤解もきっと、もう、なくなりますよ」
そう言って修二さんから離れた。
「部外者は帰ります」
「・・・雅也を連れてきてくれて、ありがとう」
私は微笑み、頷くと、病院を後にした。
次の日、私はいつものように、1番乗りで秘書室に入った。
背伸びをしながら、窓の外を見た。
「おはよ、すみれ」
その声に振り返ると、雅也が立っていた。
「おはようございます」
昨日はやり過ぎたと、謝ると、
「オレ、会社継ぐから」
「・・・え?」
驚く私を雅也は抱きしめた。
「エ?ちょっと放してください」
「オレが変われたのは、アンタのおかげだ。アンタといると、幸せになれそうな気がする。だから、兄貴なんか止めて、オレにしろよ?」
と、驚きの発言。
「・・・あ」
気が付けば、修二さんが立っていた。
「オレの婚約者から離れろ、雅也」
修二さんが、私たちに歩み寄る。でも雅也は、私を放そうとしない。
「オレにはすみれが必要だ。兄貴は一人でも大丈夫だろう?だから、オレにすみれをくれよ」
「…それは出来ない相談だな」
そう言った修二さんは私を自分の方に引き寄せた。
どうしていいかわからず、オロオロする私。
雅也と修二さんの間に、火花が見えた気がした。




