11.結婚式?!
「春也さん」
「なんだ?」
「このウエディングドレス、私には少し派手じゃありませんか?」
「いいんじゃないか?よく似合ってるぞ」
そう言って春也が微笑んだ。
「・・・恥ずかしいです」
頬を染めた私を、春也は、微笑んで頭を撫でた。
「そろそろ行かないと、皆が待ってる」
春也はそう言って、自分の腕を差し出した。
「・・・わかりました」
「心の準備は出来てるか?」
歩きながら質問してくる春也。
「出来てなくても、行くんでしょう?」
「当たり前だ。200人のお客さんが、俺たちを待っているんだからな」
「・・・やっぱり止めようかな」
「もう、遅い」
春也は私をグイグイ引っ張った。
「わかった!わかりましたから・・・そんなに引っ張らないでください。着慣れていないので、歩きにくい」
私の言葉に微笑み、歩調を緩めた。
「観念したんだな?じゃあ、ゆっくり行くとしよう」
そう言った春也は、もう一度、私の腕をちゃんと確認すると、ゆっくり歩きだした。
教会のドアが開き、中が良く見えた。
・・・たくさんの人。
あ~~~・・・
やっぱり、帰りたい。
「春也さん」
「もう喋るな。式が台無しになるぞ」
「・・・」
もう諦めるしかない。
私は腹をくくって、神父様の前に歩み出た。
『綺麗な花嫁さんね』
小さな声で、女の人たちが呟きあっていた。
…悪い気はしない。
私は改めて、春也のタキシード姿を見た。
「今日の春也さん、とってもカッコいいですね」
「…今頃気づいたのか?」
意地悪に笑った春也は、神父の方を見た。
『では、式を始めます』
神父様の声で、式が始まった。