表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/24

8.逃避行?!

まだ誰もいない、早朝の会社に私は向かった。

デスクの整理をして、引く継いでもらう書類を整理した。

間もなくして、藤田さんがやってきた。


「こんな朝早くに、オレに何の用だ?」

「すみません。あのこの書類、藤田さんに引き継いでもらいたくて」


「会社を、辞めてしまうような言い方、だな?」

「その通りです」

私はそう言って微笑んだ。


藤田さんは驚いた顔をしている。

「なぜ、急に?」

「藤田さん、香華さんが、社長と結ばれても、貴方はそれでいいですか?」


「・・・彼女に幸せが、オレの幸せだ」

「…私もそうなんです」


「まさか、社長の事を?」

私は頷いて見せた。


「社長には?」

「最後の我が儘で、好きだと言ってしまいました。でも、私がここを辞める事は知りません。だから、この辞表を。社長に、渡してもらえますか?」


私が書類と一緒に辞表を手渡した。


「辞めてどこへ?」

「アメリカへ」


「・・・遠いな」

「それだけ離れれば、すべて忘れられるような気がして」


「…無理だけはするなよ」

「・・・はい」


「…分かった、社長が帰ってきたら、渡しておくよ」

「すみません、お願いします。それと…洋子さんに、何も言わずに辞めてしまって、ごめんなさいと伝えてください」


「わかった」

「もう、行きますね?皆が出社する前に、出ていきたいので」

そう言って深々と頭を下げた。


家に帰った私は、家のモノをすべて処分して、キャリーバックにつめられるだけ詰めて、鍵をかけた。

 部屋のカギをポストに入れて、空港へ向かった。


「・・・もしもし」

「…なん時の飛行機だ?」


「・・・そっちに着くのは、明日の午後2時です」

「わかった・・・気をつけて」


「ありがとうございます…私の我が儘を聞いてくれて」

「すみれの我が儘なんて、可愛いもんだ」


「そうですね、春也さんの我が儘に比べれば」

「…思ったより元気そうだな」



「…そうでもないですよ」


さようなら。


・・・修二さん。


私はアメリカ行きの飛行機に乗った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ