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物心ついた頃にはすでにそうなっていた。

初めて会った人はもちろん、先生、友達、親。

分け隔てなく触られるのが嫌だった。

他人はともかく、親のことは大好きだった。

だから、大好きな人に触られることを嫌だと感じる自分が嫌いだった。

ただ、自分から他人に触れるのは平気だった。

面倒臭いもので、握手はギリギリ平気で抱きつきくのも平気だが、抱き返されるのは嫌なのだ。

今でもこの訳のわからない症状は変わらない。

付き合いの長い姉妹同然の親友でさえ例外ではない。

それ故に正しくこの事態は青天の霹靂なのだ。


「どうした?」


事情を知らない彼は梓の頭に置いた手もそのままに問う。

ザックリ裕香が説明すると銀は撫でていた手を止める。


「嫌か?」


嫌だと言ったらどうするのだろうと気になったが、たっぷり間を開けてから答える。


「…………嫌、じゃないです」

「そうか。まあ、今更であるしな」


確かに、会うたび会うたび頭を撫でられている気がする。今更といえば今更だ。


「ハッ!まさか、いつも撫でるのは私の身長を縮めるため?」

「…………縮め、縮め」

「念じないで下さい!まだ伸びます!たぶん……」

「冗談だが、するなと言われるとしとうなる」

「子供みたいなこと言わないっ。もう、撫でちゃだめです。からかうのも大概にして下さい」

「半分くらいは純粋に愛でているのだがな」

「……それも冗談ですか?」

「どうだろう。だが、とりあえずそなたをいじめるのは面白い」

「私は面白くありません」


プイとそっぽを向いてチーズケーキをかじることにする。隣にいる彼が笑うことはないが機嫌がいいのは分かるので余計にむっとする。


「そう拗ねるな。これで機嫌は直るか?」


そう言ってキイチゴタルトのラズベリーがたっぷり乗ったひと切れを口許に差し出される。


「好物で釣るなんて卑怯です」


我ながら単純だと思うが美味しいものに罪はない。ぱくっと頬張ればやっぱり美味しいのだから。


「フツーにカップルだみたいな。お二人さん」

「カップルか仲がいい兄妹か微妙なとこだけどね。でもあーちゃんがいつもより女の子って感じで可愛い~」


今まで黙って二人のやり取りを眺めていた捺と裕香がしみじみと言う。


「梓はこうであろ?いつもは違うのか」

「うーん、よく言えば冷静沈着というか」

「落ち着き過ぎっていうか。あとちょっと毒舌だし」

「とにかく、私たちの中で一番落ち着いてる子なんです」

「だからなんて言うか、誰かに手玉にとられてるというか、可愛がられてる(?)梓って新鮮なんだよな」


いつも通りにしているつもりだったが、いつもの自分がまわりからどう見えているかなんて気にしたことがなかったから何だか妙な気分だ。


「落ち着いてるかなぁ。興味ないだけじゃない?」

「あー確かに私たちは恋バナが多いもんね。あーちゃんは話は聞いてくれるけど恋愛自体には興味ないんだよね」

「まったく、女の子なのに恋に興味ないって変わってるよな。こんな近くにイイオトコがいるのに」


ああもったいないとかいって溜息をつく捺のことはあえて相手にしないことにした。

付き合っていたらどんどん変な方向に持って行かれる。

それからもう少し雑談をして解散することとなった。

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